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Review: 金森 万象 (監督), 髙木 新平 (主演) 『大活劇 爭鬪』 (映画)
嶋田 丈裕 (Takehiro Shimada; aka TFJ)
2026/02/25

横浜シネマリンの『柳下美恵のピアノdeフィルム vol.17』で、このサイレント映画をピアノ伴奏付きで観ました。

『大活劇 爭鬪』
1924 / 東亜キネマ / 90 min. / 35 mm / 白黒 / サイレント.
監督: 金森 万象; 原作・脚本: 寿々喜多 呂九平.
髙木 新平 (南京鼠のサム), 関 操 (李 鳳勝), 青山 万里子 (その妻 桃蘭), 森 静子 (娘 桃鈴・後に美代子), etc.

マキノ映画が東亜キネマに吸収合併された1924年に、阪東 妻三郎 と並ぶマキノ映画のスターだった 髙木 新平 が主演した映画です。 『雄呂血』 (1925) [鑑賞メモ] と同じ 寿々喜多 呂九平 の脚本で、スタッフや俳優は当時の 阪東 妻三郎 の映画と被りがありますが、 時代劇ではなくニューヨーク (ただし撮影は神戸) と神戸を舞台とした現代劇でした。

ニューヨークで中国系のギャングに襲われていた寄席芸人 李らを救ったサムが、 彼らと神戸に戻り、李の娘を神戸に探すうちに、その娘を救い出すため、再びギャングと闘うことになる、という、活劇映画です。 「鳥人」と言われただけあって、冒頭の 髙木 新平 演じるサムがギャングに追われて建物内外や屋上を走り回る場面や、最後の中華料理店内での乱闘シーンでの身軽さを生かした立ち回りなど、見応えありました。 しかし、中盤の人情劇的な展開は少々退屈したでしょうか。 『雄呂血』でもそうでしたが、長く説明的な字幕が追いきれないところがありましたが、 物語自体は込み入ったものではなかったので、付いていかれなくなるほどではありませんでした。

前半の建物の内外や屋上の際どいところをパルクールのように走り回る場面を観ていて、以前もそういう日本のサイレント映画を観たことがあるような、と思ったのですが、 それは 八代 毅 (ハヤフサヒデト) の『争闘阿修羅街』 (大都映画, 1938) でした [鑑賞メモ]。 映画『争闘阿修羅街』のタイトルの「争闘」は『大活劇 爭鬪』を意識したもので、 そして、ハヤフサヒデトに先んじて「鳥人」の先駆者 髙木 新平 がいたということを知ったことが、観ての収穫でした。