アメリカ出身で1984年から20年間ドイツ Ballet Frankfurt の芸術監督として、 2004年の Ballet Frankfurt 終了後、ドイツの Dresden と Frankfurt を拠点とする The Forsythe Company を設立、 2015年からはアメリカに戻り University of Southern California の Glorya Kaufman School of Dance の教授、芸術顧問を務める振付家 William Forsythe と クルド系のドイツ出身で Los Angeles を拠点とするダンサー/振付家の Rauf "RubberLegz" Yasit との共同キュレーションで、 ダンサーたちと共同で振り付けた2023年作品です。 Ballet Frankfurt [鑑賞メモ] 時代の作品は、他のカンパニーのレパートリーになっているものもあり、 最近も観る機会はありましたが [鑑賞メモ]、 最近の作品を観るのは初めてです。 全体としてナラティブな要素もなく、音楽を身体で抽象的に空間に表現するものでもなく、 ヒップホップやバレエの動きを分析して再構成していくのを観るような作品でした。
会場に入ると、客席に囲まれた白い正方形の舞台上で寝転び絡み合いジリジリと動く2人。その会場の形もあって、まるで柔道の寝技よう。 そのうちの体格の良い1人が Rauf "RubberLegz" Yasit でしょうか。 一瞬の暗転を経て開演すると、もう1人が現れて2人を解きほぐし起き上がらせて動きが始まります。 Yasit はヒップホップダンスをバックグラウンドとするようで、特に床に手を突いての power moves のテクニックを解体再構成したような動きを織り交ぜつつ、他のダンサーと動きを絡めていきます。 続いて、2人のダンサーがバレエのテクニックを解体再構成したような動きで踊ります。反転した跳躍のような動きなど、Forsythe らしく感じました。 そして、最後はそのダンサーのうちの1人 (Brigel Gjoka でしょうか) と Yasit が、 バレエとヒップホップの動きをユーモア込めて対比するようなデュオで終わりました。
舞台装置の無い正方形の白い舞台に少々暖かめの白い照明をフラットに使い、時々、場面を区切るように暗転しますが、その間で大きく状況を転換するわけではありませんでした。 音楽も使わず、高周波のハム音のようなキーンという電子音が音量低く断続的に鳴る程度。 そんな、劇的な効果すら排除したミニマリスト的な演出でしたが、 それだけに、ダンサーによるボディパーカッションのように身体を叩く音や、掛け声に近い動きに合わせた息遣いがむしろ際立ち、音楽のようにすら聴こえました。