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Review: 『ICCアニュアル2026 遺す/残る/受け止める』 @ NTTインターコミュニケーション・センター (美術展); 新国立劇場バレエ団 『String SAGA / 暗やみから解き放たれて』 @ 新国立劇場 中劇場 (バレエ)
嶋田 丈裕 (Takehiro Shimada; aka TFJ)
2026/07/20

7月頭の週末土曜は午後遅めに初台へ。まずはこの展覧会を観ました。

ICC Annual 2026: What Is Left, What Remains, and What We Take on
NTTインターコミュニケーション・センター [ICC] ギャラリーB
2026/06/20-2026/11/08 (月休;8/2休), 11:00-18:00.

アニュアルのグループ展の2026年版です [2024年の鑑賞メモ]。 今年は近現代の社会問題に関わる出来事の記録に関するリサーチに基づき、それを映像や音声を使ったインスタレーションとしてプレゼンテーションする作品が集まっていました。 中でも印象に残った作品について個別に。

セルロイド の原料であり日本統治時代の台湾の主要資源出会った 樟脳 に取材した 吳 其育 [Wu Chi-Yu] 《セルロイドの物語:無主地のデータ》 “Stories of Celluloid: Terra Nullius Data” (2024)。 ディスプレイ2個と壁への投影の3つの映像作品を垂木とベニア板で作ったシンプルな方流れ屋根の様な構造物と組み合わせてのインスタレーションは良く観られる形式と思いましたが、 当時の台湾での樟脳生産の様子が伺われるようでもあり、20世紀前半の白黒映画の雰囲気の含め、興味を引かれました。

昨年の資生堂ギャラリーでの個展『Any girl can be glamorous』も良かった すずえり は [鑑賞メモ]、 BLACKSPACE Productions の 比嘉 了 との共同名義作品 《Resistance Array》 (2026)。 メディアアート作品にありがちですが、 2019年の香港と南米チリのレーザー・プロテスト (レーザーポインターを使った抗議運動) に関するSNS投稿の関連性の可視化については、ランダムに近いパターンを生成するための入力以上のものでは無かったとは思います。 しかし、『Any girl can be glamorous』でも使われていた光に音声を変調する手法を使い、 レーザーポインタの光に香港の民主化デモの録音を変調し、 観客に壁に付けられた太陽電池付きスピーカーへレーザーポインタの光を当てさせることで、 香港の民主化デモの音を再生するだけでなく、観客にレーザー・プロテスト的な動きを追体験させるという所が、面白く感じられました。

展覧会を観た後は隣の劇場へ移動して、この公演を観ました。

The National Ballet of Japan: String SAGA / Escaping the Weight of Darkness
新国立劇場 中劇場
2026/07/04, 18:00-19:30.
『String SAGA』
振付: 宝満 直也; 音楽: 久石 譲; 美術: 長峰麻貴; 衣裳: matohu; 照明: 吉本 有輝子.
出演: 五月女 遥, 赤井 綾乃, 根岸 祐衣, 石山 蓮, 長谷川 諒太, 森本 晃介, 花形 悠月, 山本 涼杏, 上中 佑樹, 大木 満里奈, 橋本 真央, 仲村 啓、小川 尚宏, 山田 悠貴, 直塚 美穂, 中家 正博.
新作初演
Escaping the Weight of Darkness 『暗やみから解き放たれて』
Choreography by Jessica Lang; Music by Ólafur Arnalds, Nils Fram, Josh Kramer, John Metcalfe; Set Designer: Jessica Lang; Costume Designer: 山田 いずみ [Yamada Izumi]; Lighting Designer: Nicole Pearce.
出演: 小野 絢子, 米沢 唯, 井澤 駿, 速水 渉悟, 森本 亮介, 宇賀 大将, 飯野 萌子, 吉田 朱里,, 金城 帆香 ほか
新国立劇場バレエ団 委嘱; 世界初演: 2014-03-24, 新国立劇場.

バレエ団オリジナルの現代バレエ作品からなるダブルビルです。 新作の『String SAGA』は今の自分の興味と完全にすれ違ってしまいましたが、 Jessica Lang へ委嘱した『暗やみから解き放たれて』は、 雲を思わせる光るオブジェもシュールで、 抽象的なプロットながら微かに物語的なものを想起させるところがあり、そのバランスの良さに引かれました。 特に、II (第2場)での、後方幕下からのぞく男女2人の足の動きと幕前の男女2人の動きの食い違いが、内面のすれ違いを見るようでした。

新国立劇場バレエ団にはもっとコンテンポラリーな新作に取り組んで欲しいと、今回の公演も足を運びましたが、 客層や上演時の反応をみても、場違いな公演に来てしまった感が否めません。