りゅーとぴあ 新潟市民芸術文化会館 を拠点にするダンスカンパニー Noism Company Niigata [鑑賞メモ] の2025年冬の公演はダブルビルでした。
前半は、新潟市の有志《安吾の会》から依頼がきっかけという2026年に生誕120年の 坂口 安吾 を題材とする作品です。 短編『私は海を抱きしめていたい』 (1947) に着想したとのことですが、 むしろ、坂口 安吾 が好んだという Erik Satie のピアノ曲を使い、 特に (山高帽ではなくシルクハットでしたが) ハットにコートまで黒づくめの男性の衣裳もむしろ Erik Satie の方を参照していました。 井関をフィーチャーして浜の映像使ったいかにも Noism0 な後半、ラストより、 複数ペアで淡々としかし緩急メリハリ感じた前半が好みでしょうか。 ミニマルでモノトーンな舞台と、男性の黒ずくめの衣裳に、女性のドレス様の赤い衣裳がコントラストとなってとても映えていましたし、それを引き立たせるような動きでした。
しかし、その一方で、予習で原作 [青空文庫] を読んだ際に、当時の日本映画で描かれた戦前のカフェーの女給や戦後間もない赤線周辺の水商売の女性を想起しただけに、 いかにもヨーロッパ風の男女のダンスにしてしまったのは流石に保守的というか西洋中心主義に過ぎないか、とも思ってしまいました。 もっとも、原作から想起される20世紀前半日本の盛場の場末を描くという方向性は、資質的にも Noism に求めるものではないか、とも思ってしまいましたが。
休憩を挟んで後半は、2021年の『春の祭典』 [鑑賞メモ] の改訂版の上演です。 2021年の上演の時にも感じたことですが、 Le Sacre du Printemps が まるでディザスター映画、パニック映画の映画音楽として最初から書かれていたのではないかと思うぐらい動きにハマっている所が (実際のところは映画音楽が Stravinsky の影響を受けていると言った方がよい)、とても面白い作品です。 人数を減らしたことも改訂のポイントかもしれませんが、 冒頭に一人生き残った怯える女性 (井関) を示し、そこから何が起こったのかを示しつつ最後は冒頭の場面へと戻るというプロットとなった所に、 このようなことは歴史において度々繰り返されていると示されたようにも感じました。