TFJ's Sidewalk Cafe > 談話室 (Conversation Room) > 抜粋アーカイヴ >

20年前 (1988年) にインターネットを使い始めたことについて

[2086] 嶋田 丈裕 <tfj(at)kt.rim.or.jp>
- 若林, 東京, Wed Jan 2 2:19:22 2008

去年はこの談話室開設10周年だったわけですが、 今年2008年はインターネットを使い始めて20年です。 大学3年に進学した1988年4月、大学の教育用計算機センターのアカウントを取得して、 メールやネットニュースを使い始めたのでした。 使い始めた当初はインターネットという意識はなくUSENETとかJUNETとか呼んでましたが。 国内のネットワークリンクのほとんどはTCP/IPではなくUUCPでしたが、 学内にはTCP/IPの工学部LANや 大型計算機センター経由のアメリカへのリンクなどは既にありました。 ちなみに、OSは BSD系 System V系以前の Amdahl 社のメインフレーム UNIX UTS。 課題のために取得したアカウントでしたが、 むしろネットニュースやメールを使いこなすことが、 コンピュータやネットワークについて学ぶ大きな動機になったものでした。 そういえば、USENETやJUNETではなく インターネットというものを意識するようになったきっかけも、 1989年に使い始めた IRC (Internet Relay Chat) でした。

このウェブサイト TFJ's Sidewalk Cafe に関わることとしては、 1988年の夏頃から学内のネットニュースに音楽に関する話題を投稿し始めました。 当時はブログはおろかWWWすら無く、 ネットニュースやメーリングリストくらいしかそういう場はありませんでした。 2006年まで音盤雑記帖歴史の塵捨場のレビューの コンテントタイプが text/plain だったのは、そういう時代の名残だったのでした。

当時のネットニュース記事のバックアップCD-Rが発見できたので調べてみたところ、 学内のネットニュースの音楽関連のニュースグループに 初めて投稿したのは1988年8月5日、 レコードレビューという形で初めて投稿したのは1988年10月26日、 一連のレビュー記事の Subject として現在も使っている Cahiers des Disques を使い出したのは 1989年12月1日でした。 日本国内のニュースグループである JUNET の fj.rec.music への初投稿は さすがに発見できませんでしたが、おそらく1989年です。 ちなみに、1988年に投稿したレコードレビューで取り上げたのは以下のレコードでした。

レビューで取り上げているのが リイシューやアンソロジーのCDを除いてアナログばかりだという所に、 1988年という時代を感じます。 The Feelies、The Smiths、New Order といった indie/alt の有名所に交じって Beat Happening とか Talulah Gosh とか 53rd & 3rd レーベル界隈をプッシュしていて、 そういえば当時 indie pop にのめりこんでたなぁ、と (遠い目)。 ちなみに、1988年当時のレビューのスタイルはこんな感じでした、と、 一例として 1988/10/31に書いた Beat Happening, Jamboree のレビューを引用紹介 (改行、2バイト文字等の扱いはオリジナルの plain text から整形)。 読み返していてダメ出ししたい所が多過ぎで引用紹介するのも憚られる所もありますが……(汗)。 ま、新春ネタ (自虐) ということで。 当時21歳の若気の至りということでダメな点は大目に見て頂ければと。

"Jamboree"
Beat Happening
(Kelvin / 53rd & 3rd AGAS2)

女性1人、男性2人の3人組。楽器構成は、ギターとベース。 ドラムは入ってるが、添える程度。音数が基本的に少ない。 玩具を楽器に使っていると思われるところがある。 一応Yo-Yo Studioというスタジオで録音していることになっているが、 1st LP の中に入っていたライナーの写真を見ると自宅録音に限り無く近いと思われる。 そういうバンドだ。 『ヴィレッジ・ボイス』88年3月29日号にでた G. Marcus の評から。 「まるでこれまでの13年がなかったかのように、 ワシントン州オリンピアのこのバンドは、パンクロックを発明している。 Marine Girlsが自家製カセットでもって、 イギリスのハットフィールドで1981年にパンクロックを発明したのと多少同じ感じだ。」 確かに、2年前に出た 1st LP "Beat Happening" (Kelvin / Rough Trade ROUGH105) は、 "Bad Seeds" を除いてはボーカルも女性で、 とりとめなさといい、演奏の薄さといい、Marine Girlsを思わせるところがあった。 しかし、この 2nd LP では、半分以上男性がボーカルをとり、 ギターもヘビーな音が増えて、そう、Swell Mapsみたい。 そう、これは80年頃のイギリスのポストパンクバンドだよ、って言われても、 何も知らなかったら、判らないだろう。 録音の悪さといい、無理やり入ってきては押し出されるように出ていくベースといい、 メインテーマを述べるベースといい、そんな感じなんだよね。 歌詞がよく判れば、もっと面白いだろうに。 この、2nd LP には "Free Flexi Disc" がついている。 このバンドの曲を聴いていて、 Young Marble Giants とかMarine Girlsって実はパンクだったんだな、 という再認識ができた。 ともすれば、ニューアクスティックという言葉に惑わされがちだからね。 ところで、53rd & 3rdは、最近できたエジンバラのレーベル。 このBeat HappeningやCamper Van Beethoben、Sonic Youth などをフューチャーした "Good Feeling" (53rd & 3rd AGAS3) なるオムニバスLPをだしている。 これから期待することが出来るレーベルであるといえよう。

こんな感じでレコード等のレビューをインターネット (といっても最初は学内のニュースグループですが) に向けて書き始めて20年、 レビューを書くもの良く言えば習慣ですが、惰性という面も否定できません。 今年は初心を思い出して新鮮な気持ちで書ければと思っています。 その一方で、blog ツールの類は使っていないものの、 去年、ついに脱 text/plain し、 談話室に画像をインライン表示するようにすらしてしまいました。 20年前とインターネット環境は全く変っています。 blog サービスの類を使わずあえて自作 cgi による掲示板を使ったり、 CSS を使いながらあえて1990年代半ばの HTML 2.0 風のデザインにしたりと、 最初期ウェブサイト風 DIY 趣味も拘って残していきたいとは思っていますが、 それと調和する形で新しいやりかたも少しずつ試していけたらと思っています。 去年末に始めた談話室内のコーナー「今日の YouTube」は、 そういう所を意識したという面もあります。

こんな感じで、 今年もこのウェブサイト TFJ's Sidewalk Cafe を運営したいと思いますので、 よろしくお願いします。