東京国立近代美術館フィルムセンターの特集上映 『発掘された映画たち2008』 に関する発言の抜粋です。 古い発言ほど上になっています。 リンク先のURLの維持更新は行っていませんので、 リンク先が失われている場合もありますが、ご了承ください。 コメントは談話室へお願いします。
土曜は昼に家を出て京橋は 東京国立近代美術館フィルムセンターへ。 24日に始まった上映企画 『発掘された映画たち2008』 を観てきました。 観たのはプログラムは「8 安部善重コレクション1」。 目当ては 『乙女シリーズ その一 花物語 福寿草』 (川手二郎 (dir.), 1935)。 吉屋 信子 原作、川手 二郎 監督の乙女映画です。 1935年の作品ということで昭和恐慌や満州事変などの暗い世相も反映されたものでしたが。 モガ度は高くありませんでしたが、なんとも可愛らしい映画でした。く〜 (多くは語らない)。
ちなみに、当時はトーキーで上映ですが、今回の上映はサイレント版。 字幕も当時のもので、サイレントとして自然に観られるものでした。 トーキー時代に入ってからしばらくは、 トーキー版とサイレント版の両方が作られることもあったということなのでしょうか。
しかし、1991年以来今回で6回目、2005年以来久ぶりとなるこの「発掘された映画たち」企画。 サイレント映画好きにはたまりませんね。今回の目玉は 「2 発掘されたアニメーション映画」でしょう。上映は5月11日(日)の13時。 今年の『イメージフォーラム・フェスティバル』のプログラムには、 いまいちピンとくるものが無いので、行くなら京橋の方にしようかなぁ、という気分です。
しかし、サイレント映画って面白いです。 映像表現の黎明期ならの試行錯誤と勢いが、モダニズム〜、という感じで。 Avant-Garde 物だけじゃなくて、小津とか、コメディとかも普通に好きです。 入院中も Buster Keaton を DVD box set で観てましたよ。く〜。
5月1日は昼過ぎまで休養に充てたものの、15時前に京橋の 東京国立近代美術館フィルムセンターへ。 『発掘された映画たち2008』の プログラム「28 戦前の普及宣伝映画」を観てきました。
お目当ては『郵便物語 遞信シリーズ・第一扁』 (1936)。 郵便制度を扱ったサイレント映画といえば、 Russian Avant-Garde アニメーション映画の名作 Mikhail Tsekhanovsky (dir.), Pochta (1929) (レビュー) を思い出すわけですが、それに比べてどうかな、という興味で。 Pochta が万国郵便制度の意義や理念を強調したものに対して、 『郵便物語』はより実際的に国内の郵便制度の現状を解説するものでした。 映像表現的にも地味。 それでも、こういう映画を観ていると、郵便制度って近代的とつくづく思います。
映像的には、続く明治製糖の宣伝映画 『製糖の実況』 (1927) の方が面白かったかも。 近代的な工場のプロセスを捉えたサイレント映画です。 自動化は進んでいないとはいえ、メカニカルな映像が多くて VJのネタに良さそうなシーンも多かったです。 『我等の明治』 (1936) と『伸びゆく明治』 (1936) は 明治製菓の社員教育用白黒トーキー映画でした。ま、これはこんなものでしょうか。
それなりに楽しんで観ましたが、 1920年代から1930年代初頭の Russian Avant-Garde の教育宣伝映画を思い返すに、 あれって実に斬新だったんだなぁ、と再認識してしまいました。 ま、自分の贔屓目が入ってるかもしれませんが。
日曜は昼前に家を出て京橋へ。 東京国立近代美術館フィルムセンターで 『発掘された映画たち2008』 のプログラム 「2 発掘されたアニメーション映画」を観てきました。
今回の上映会の目玉ともいうべき、日本アニメーションの起源に迫る1910年代の2本、 『なまくら刀 (塙凹内名刀之巻)』 (1917) と 『浦島太郎』 (1918) も もちろん楽しみましたが、2分という短さもあり、資料的に興味深いという感じ。 むしろ、最も楽しめたのは、サイレントの 『漫画 瘤取り』 (1929)。 太郎平、次郎平、天狗の踊りの動きの面白さもあるのですが、 Disney などの影響を感じさせないキャラクターのデザインや動きが気に入りました (ちなみに、Walt Disney, Steamboat Willie は1928年)。 こういうアニメーションの可能性もあったんだなあ、と。
後半の戦争直後トーキー期の作品になると、 デフォルメされたキャラクターやアクション、ミュージカル仕立ての演出など、 Disney や Tex Avery、Hanna & Barbera などのアメリカ・アニメーション の影響を強く感じるようになります。 そんな中では、『熊に喰われぬ男』 (1948) の 江戸道中物という主題とアメリカっぽい演出とのミスマッチが面白かったです。 『バクダッド姫』 (1948) での中東イスラームの描き方は まさにオリエンタリズム〜という感じで (以下略)。
おそらく混むだろうと予想して、 会場には少し早めの上映開始45分前に行ったのですが、 それでも既に100人近い行列が出来ていました。 結局、席数310の大ホールが満席。 このホールが満席になったのを見たのは初めてかも。 以前に観た2回の観客数が20〜30人程度だったことを考えると、桁違いです。 客層も、他の2回が中年以上の男か老夫婦がほとんどだったのに対し、 今回は若い女性やカップルの客もそれなりにみかけました。 それも、アート・アニメーションを好んで観ていそうな感じの。 ふぅ〜ん。