先日のオフラインパーティで「フォントについて そんなに熱く語れる人がいるとは思わなかった」と言われてしまったわけですが、 フォント (というか、正確にはタイプフェイス) について熱く語りたいそんな貴方にお薦めなのが、この動画。 って、一ヶ月ほど前に、某マイミクの日記で知ったものですが。
今日の YouTube:
ポピュラーなコンピュータ用フォントを擬人化しての寸劇です。 Zapf Dingbats をメンバーとして認めるかどうか、という フォント会議 (font conference) してます。
そこそこ面白いとは思うのですが、擬人化の仕方が少々不満。 というのも、フォント (タイプフェイスが正確とは思いますが、 ここではコンピュータ用を意識してるのでフォントとしておきます) の デザインから人物像を作っているのではなく、 ほとんどがその名前から人物像を作っているからです。 名は体を表わす、という面もあるかとは思いますが、 特に Futura さんを見てかな〜りガックリ。それは無いよ〜。
Futura さんは、やっぱり、1920s なファッションじゃなくちゃー。 それも、Chanel とか着たパリの garçonne じゃなくて、Bauhaus の女学生風。 もしくは、Franfurter Küche のケーススタディ映画に出てくる ショートボブの女性とか (と書いて、判る人がどれだけいるのか!?)。 柏木 博 『家事の政治学』 に載ってる映画スチルが インターネットのどこかにあれば、と期待したけど、無いですね……。
以前に Futura について熱く語った ことがあることから判るように、僕の最も好きなタイプフェイスは Futura です。 Helvetica より好き。
Century Gothic さんはゴスっ娘として登場してますね。
これはこれでけっこうカワイイとは思うけど、やっぱり、Futura さん似で少し若め、
1920s リバイバルなファッションの女の子、にして欲しかったなぁ。
Arial Narrow さんが、粗野な男というのは、意外。
Miscosoft Windows でもっとも使われるフォントだからかな?
けど、Arial さんといったら、
Midcentury modern を真似たような服装の少し野暮ったい女の子、というイメージかなぁ。
で、Helvetica さんは European Midcentury modern なファッションのクールビューティですよね。
けど、Dior の New Look とか
Helvetica さんのイメージとはちょっと合わないような。何が合うかな〜。むむむ。
Times New Roman さんは、
スキンヘッドの少々トガッたアメリカのビジネスマンみたいな感じなのかな?
けど、Times New Roman さんは、やっぱり、大戦間期 (1930s) の英国紳士だよなー。
小脇に The Times 紙抱えてたりして。
自分のイメージに最も合っていたのは、Courier New さんかしらん。
ネクタイが曲がってたりと、ちょっとヌケた所もあるサラリーマン風。
けど、American Midcentury なファッションのタイピストのお姉さん、というのがいいなー。
もちろん、向かうタイプライターはIBM製。
と妄想していると、墓穴を掘りそうそうなので、ここで止め。 というか、ここまで書いた時点で、既に掘った後か。 フォントの擬人化でつい女性をイメージしがちな自分に気付いて、自己嫌悪 orz。
ま、実際にグラフィック・デザインをする際には、 タイプフェイス・デザインの来歴などに拘らずに そのイメージを使いこなせばいいと思います。 しかし、一方で、タイプフェイスのデザインも、 同時代の建築やデザイン、ファッションなど時代精神を共有していると思います。 Font Conference のように擬人化して遊ぶのであれば、 そのデザインの時代背景をうまく織り込めばもっと面白くなっただろうに、 と思ってしまいます。 ま、タイプフェイスの名前からイメージ作りした物にくらべ、 近代デザイン史の知識が要求される分だけ、 一般ウケし辛いものになってしまうような気もしますが……。 ?B とか見ても、誰もそんなこと気にしてないみたいだしなぁ……。