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1.Veni Sancte Spiritus
2.Orme Sanguine
3.Suda Sangue
4.Perdono
5.Stabat Mater
6.Miserere
7.Velum Templi
8.Vexilla Regis
9.Christus Vincit
10.Alleluia No Nobis
11.Messe Vultum Tuum: Introitu
12.Messe Vultum Tuum: Kyrie
13.Messe Vultum Tuum: Agnus De
14.Miserere


2005.09.01.Thu. 10 : 05 a.m.
BGM : Nebbiu (Sacred Songs) / Tempus Fugit


 テンプス・フュージットはブラジルのプログレバンドである。いつどこでそんなものを知ったのか忘れてしまったが、かなり以前から聴いてみたいと思っていた。そこでAmazonに注文したのが、このアルバムだ。ほんとうは『The Dawn After the Storm』という作品が欲しいのだが、残念ながら在庫切れだったので、もうひとつアーティスト名検索で出てきた『Nebbiu』を買ってみたのだった。わくわくしながら聴いた。1曲目は美しいアカペラの男声コーラスから始まった。すばらしいハーモニーは、バンドの音楽的な底力を感じさせた。期待が高まった。1曲目はコーラスだけで終了。なるほど、いかにもプログレらしい難儀な仕掛けである。

 しかし、2曲目も美しいアカペラの男声コーラスから始まった。いつまでたっても楽器の音が鳴らない。「おかしい」と思い始めた。そういえばAmazonにはレビューも何も載っていなかったし、これは何か違うものではないのか。ぐぐってみた。フランスに「テンプス・フーギット男声アンサンブル」というグループが存在することがわかった。私が買ったのは、「 “来たれ聖なる精霊よ”“スターバト・マーテル”“ミサ「ウルトゥム・トゥウム」”“ハレルヤ”“ミゼレーレ”他全12曲、クラシックの世界でも良く知られたミサ曲をテンプス・フーギット男声アンサンブルが絶唱」したものだった。要するに、最初から最後まで美しいアカペラの男声コーラスしか入っていないのである。うー。しくじった。2560円もしたのに。2000円以上のCDなんてめったに買わないのに。ラーメンズの「ネイノーさん」(そういうコントがあるんです)なら、「あ、おまえナニ買ってんの〜、バカじゃネイノ〜」と言うだろう。べつにネイノーさんじゃなくても言いますね。しかし、まあ、これはこれで悪くない。運命的な出会いだと思って、大事に聴くことにしよう。でも、正直、ちょっと眠たくなる。

 もっとも、眠たいのはテンプス・フーギット男声アンサンブルだけのせいではない。2学期がスタートしたことで、今日からまた7時半に起床する生活だから眠いのである。だが「早起きは三文の得」とはよく言ったもので、なんとなく儲けた気分がしなくもない。朝の徒歩通勤は気持ちが良い。その三文で2560円の損失が埋められたとは思えないが。

 しかしその一方で、2年半ほど前にゴーストした本の重版がきのう決定。とっくに終わった本だと思っていたが、まだ動いているようで大変ありがたい。ここ数ヶ月、それまでに比べると重版のお知らせが増えているような印象。少しは景気が良くなっているのかもしれない。がんばれ景気。頼むぞ景気。

 ゆうべは、インテル×トレビーゾ(セリエ第1節)をビデオ観戦。始まりやがったなぁセリエ。どうしてセリエだけは、始まった途端に「やれやれ」という気分になるんだろう。例年ほど移籍情報を熱心に追っていなかったし、選手名鑑もまだ買っていないので知らなかったのだが、フィリッピーニ兄弟がトレビーゾでプレイしていて驚いた。一体いつの間にそんなことになっていたのか。ようやくラツィオの選手として愛着が持てるようになっていただけに残念だ。どっちか一人ぐらい残してくれたっていいじゃないか。なんでいちいち一緒に移籍すんだ? ともあれ、二人とも効果的なクロスを入れるなどがんばっていたが、試合はアドリアーノのトリプレッタで3-0。アドリアーノって、すごいフットボーラーなのに、なぜかフットボールをやっているように見えない感じ。じゃあ何をやってるように見えるのかと訊かれても困るのだが、アドリアーノがボールを持ったときだけ別の競技になっているように感じるのだった。前提条件がみんなと違うっていうか。なんというか。あと、インテルのユニフォームを着たフィーゴはドリブルする後ろ姿がとても面倒臭そうに見えるのだが、それはきっとこちらの先入観によるもの。

 ところで肝心のラツィオは中継なし。相手はセリエ唯一の日本人所属クラブなのになぁ。セリエの放映権がどうなっているのかがよくわからない。ラツィオの陣容がどうなっているのかもよくわからない。どうやら、もうフェルナンド・コウトもネグロもいなくなったようで、私がラツィオを見始めた98年当時のメンバーは全員消えたみたいですね。さびしいのう。開幕のメッシーナ戦には1-0で勝ったようなのでめでたいが、コウトはどこで何をやっているのだろうか。というか、どこで無駄なファウルを犯しているのだろうか。いや、ファウルを犯せる立場にいるのだろうか。どうなんだろうか。







1.It's Only a Movie
2.Leroy
3.Buffet Tea for Two
4.Boom Bang
5.Boots 'N' Roots
6.Banger
7.Sweet Desire
8.Suspicion
9.Check Out
10.Hometown [*]
11.Holding the Compass [Live][*]
12.Weavers Answer [Live][*]
13.Dim [Live][*]
14.Procession/No Mule's Fool [Live][*]


2005.08.31.Wed. 14 : 45 p.m.
BGM : It's Only A Movie / Family


 一昨日の月曜は、夕刻よりギターのレッスン。終了後、師匠の作ったガンボをいただく。うちの師匠はGuestbook(No.17)に書いてあるとおりのケイジャン通&料理の腕前も相当なものなので、私が先日こしらえたガンボとはひと味もふた味も違う本格派である。自分でも作ろうと思い立っている方のために書いておくと、私のレシピと違うのは以下のとおり。

●ルーは濃いチョコレート色になるまで炒める。ただしこれは焦げ付く直前の状態なので難しい。最後は火を止めてから余熱で仕上げる感じだそうだ。
●スパイスには、ルイジアナ州では当たり前に売っているケイジャン・シーズニング・ミックスというものを使う。
●玉ねぎ、セロリ、ピーマンのほかにトマトも使う。
●野菜はルーと別に炒めてあとで合流させてもよい。その場合は油を余計に使うので、いくらか除去する。
●オクラは早い段階でほかの野菜と一緒に炒めて、ぐずぐずになるまでよく煮込む。
●ガンボはシチューではなくスープなので、具(エビ、ホタテなど)は細かく刻んで入れる。
●できあがったガンボは、ごはんとは別の器に入れてスープとして供する。
●器に盛ったスープに、ルイジアナから取り寄せたガンボ・フィレ(サッサフラスという木の葉っぱを乾燥させて粉末化したもの。ちょっと山椒に似ている)をお好みに応じて投入し、混ぜ混ぜしてからごはんにかけて食う。
●あまり関係ない話だが、師匠が現地で買ってきたレシピ本を見て、オクラ(okra)が英語であることを初めて知った。アクセントは「o」である。「ホテル・オークラ」が英語圏の人にどうイメージされているのかが心配だ。それはともかく、オクラは私のレシピよりも大量に投入したほうがよさそう。
 ほかにもあったような気がするが、まあ、そんな感じ。私のガンボも、食ったことがないものをヤマカンで作ったわりには意外にガンボっぽかったのだとわかって安心したが、やはりスパイス(と料理人の腕)が違うと味の奥行きや幅がまるで違う。すんげえ旨かった。米国の食文化は、世間で思われているほど浅いものではない。ぱくぱくガンボを食いながら、アコーディオンやフィドルの入ったケイジャン・ミュージックを聴き、ケイジャン文化に関するレクチャーを受ける。ルイジアナ、すごく面白そう。いつか行ってみたい。行って、ザリガニ食いてえよ。すごく旨いらしいんだよ。……などと思っていたら、ルイジアナを含めた米国南部はカトリーナの襲撃で大変なことになっている模様。行ったこともないのに妙に情が移っているので、心配だ。いや、そうじゃなくても心配はしなくちゃいけませんが。

 師匠のガンボを少し分けてもらって持ち帰ったところ、翌朝、妻子も「おいしい、おいしい」と喜んで食っていた。いつも私だけうまい手料理をご馳走になっているので家族に羨ましがられていたのだが、しかしギターを教わった上に家族の食事まで面倒みてもらっちゃいけませんね。

 きのうの火曜日は、夏休み最後のレジャーとして東京サマーランドへ。月曜に「水曜の朝まで」という仕事を『わしズム』編集部から突発的に発注されたのだが、家族との約束は守らないといけない。とはいえ断ったわけではなく、「帰ってから家でやればいいや」ということである。午前中指定の宅配便で資料が届くのを待ってから出発、到着後ただちにプールサイドで目を通して編集部に電話し、書き方を確認。水着姿で仕事の打ち合わせをしたのは初めてだ。相手には見えないとはいえ、恥ずかしくて意味もなくコソコソしてしまった。さんざん遊んで帰宅し、夜10時すぎから2ページ分のリライト作業。水遊び&車の運転&晩飯の後なので頭がボーっとしてしまい、いささか手間取ったものの、1時にフィニッシュ。長い一日だった。ともあれ、今日で夏休みもおしまいである。例年になく、セガレと多くの時間を共有できた夏だった。







Disc 1
1.Hi-De-Ho (By The City)
2.Wasn't Born To Follow (By The City)
3.Up On The Roof
4.Child Of Mine
5.I Feel The Earth Move
6.So Far Away
7.It's Too Late
8.Home Again
9.Beautiful
10.Way Over Yonder
11.You've Got A Friend
12.Where You Lead
13.Will You Love Me Tomorrow?
14.Smackwater Jack
15.Tapestry
16.(You Make Me Feel Like) A Natural Woman
17.Music
18.Brother, Brother

Disc 2
1.Sweet Seasons
2.Pocket Money
3.It's Going To Take Some Time
4.Bitter With The Sweet
5.Goodbye Don't Mean I'm Gone
6.At This Time In My Life
7.Been To Canaan
8.Ties That Bind
9.Corazon
10.Believe In Humanity (Live In Central Park)
11.Jazzman
12.Wrap Around Joy
13.Nightingale
14.Really Rosie
15.Alligators All Around
16.There's A Space Between Us
17.Only Love Is Real
18.You've Got A Firend (Live At Carnegie Hall, NYC)


2005.08.29.Mon. 13 : 15 p.m.
BGM : A Natural Woman (The Ode Collection 1968-1976) / Carole King


 木曜の晩は、チェルシー×ウェストブロムウィッチ(プレミア第2週)をビデオ観戦。GKクディチーニ、右SBジョンソンというナメた布陣だったものの、ランパードの2発、ジョー・コール、ドログバで4-0の楽勝である。ジョンソンは相変わらず、なぜ代表に呼ばれるのか理解できない面白守備を連発。ほぼノー・プレッシャーにもかかわらず、大慌てでGKにダイビングヘッドのバックパスをやってのけた豪快なプレイには笑った。いとも簡単にパニック状態に陥る性格は、ディフェンダーに向いていない。もっとダメだったのは、ランパードの娘ルナちゃん誕生を祝う「ゆりかご」パフォーマンスである。テリー、キャプテンのくせに一人だけ左右がみんなと逆。そういうことでは一人前のスクールメイツになれないので、しっかり周囲の動きと合わせてほしい。二度目(チームの4点目)はランパードとちょっとだけシンクロしていたけれど。

 金曜日は、ひたすら仕事。

 土曜日は、亀戸カメリアホールで「森圭一郎ワンマンライブ(レインボータウンFM開局2周年記念ライブイベント)」を鑑賞。レインボータウンFMというのは江東区のローカル局であるらしい。その開局2周年記念ということで、ライブの前にごちゃごちゃとセレモニーがあって、かったるかった。ローカル局にはローカル局の事情ってもんがあるんだろうけどさ。それにしたって、番組のパーソナリティが次々と出てきて挨拶するのはまあご愛敬だとしても、いちおう金を取って客を入れる音楽イベントで、地元選出の前衆議院議員が挨拶するのってどうかと思う。時期が時期だけにしょうがないが、「郵政民営化の実現に向けて頑張ります」って、うるさいよ。こっちは音楽を聴きに来てんだよ。はやく森君に歌わせろよ。そして、挨拶を済ませたとたんにさっさと帰るなよ。

 森君は去年よりもプロとして一回りも二回りも大きくなったような印象で、1時間半におよぶ堂々たるステージは実にすばらしいものだった。客席を包み込むオーラのようなものを身につけている。『16歳』『夕食』『引っ越し』といった短いタイトルの歌はいずれも映像喚起力が強く、ささやかな絵画の個展を眺めているような気分。驚いたのは、アンコールでピアノの弾き語りを聴かせてくれたことだ。終わってから楽屋で聞いたところ、1年ぐらい前から独学で練習していたという。器用な人だ。なかなかギターが上達せず、自分の不器用さにウンザリしていた今日この頃だが、負けないように頑張ろう。

 終演後、あれはどこのイベントだったのか、JR亀戸駅のプラットホームから大輪の花火を鑑賞することができた。知られざる特等席。電車を一本見送って、しばし見とれる。そろそろ、夏も終わりである。

 土曜の晩は、トッテナム×チェルシー(プレミア第3週)をライブ観戦。ウェストブロム戦の快勝でスッキリしたかと思いきや、また曖昧模糊とした戦いぶり。トッテナムの圧力はすばらしく、エシアンもダビッツとの相撲(投げの打ち合い)にことごとく負けており、やられてもおかしくないムードだったものの、ミドがバカげた一発レッドを食らってくれたおかげで、終わってみれば0-2の勝利である。この内容で開幕4連勝って、ちょっとあり得ない。やけにツイていて気分がいいぞ。リーグ戦でこれだけツキに恵まれていれば、本来は出場資格がないのに無理やり割り込んできやがって予備予選から勝ち上がってきた5位チームとCLで同組になっても、まあ文句は言えない。これが悪しき前例とならないよう、グループリーグで蹴落とすのみ。がんばれベティス。

 日曜の晩は、アラベス×バルセロナ(リーガ第1節)をビデオ観戦。ユニフォームの胸に北京五輪か何かのロゴが入ると噂されていたバルサだが、従来どおりノー・スポンサーだったことは慶賀の至りである。バルセロナのような名門クラブが(いやどんな弱小クラブだろうとサッカーをやっているかぎり)、あんな「サッカーの敵」でしかない国から金を受け取っていいはずがない。でも赤いパンツはちょっとカッコ悪い。試合はスコアレスドロー。チェルシーのツキを少し分けてあげたかった。少し分けてあげるだけで0-2ぐらいにはなったはずなのだが。







1.She Said Yeah
2.Talkin' About You
3.You Better Move On
4.Look What You've Done
5.The Singer Not The Song
6.Route 66
7.Get Off Of My Cloud
8.I'm Free
9.As Tears Go By
10.Gotta Get Away
11.Blue Turns To Grey
12.I'm Moving On


2005.08.25.Thu. 13 : 15 p.m.
BGM : December's Children / The Rolling Stones


 たぶん本日発売の『月刊PLAYBOY』10月号のローリング・ストーンズ特集では、対談記事(萩原健太さん×寺田正典さん)の構成を担当。取材はとても楽しく、勉強になった。ここまで完全に趣味と実益を兼ねた仕事は、そう滅多にあるものではない。キース・リチャーズがある時期からギターの6弦を外した理由が、よくわかりました。というか、取材現場でそういう話題についていけること自体が嬉しかったりする。

 きのうは終日、『わしズム』のコラムにかかりきりだった。もうシギーのダメ出しを受けられないかと思うと寂しいし、なんとなく心細いような気もするが、版元がかわっても連載を続行させてもらえるのは、とてもありがたいこと。さんざん鍛えてくれた前任者の顔に泥を塗らないよう、頑張らなければいけません。新しい担当者Sさんがどんな刺激を与えてくれるかが、楽しみでもある。

 一昨日、デンハーグ×ヘラクレス(エールディビジ第2節)を後半30分ぐらいから観た。要するに平山のゴールシーンだけ観たということ。以前から平山って何かに似てるよなぁと思っていたのだが、それは「でっかいリス」だということがわかった。巨大な小動物。小さな巨人と巨大な小動物は、どちらのほうが大きいだろうか。ともあれ、いずれもセットプレイからヘッドで2発。チームの逆転勝利に大貢献。2点目は、ゴールの外に掻き出されたが得点が認められたものだった。近頃、あの手のゴールをよく目にするような気がする。「ディフェンダーが外に出したつもりだったが入ってたゴール」を端的に言い表す比喩表現を思いついたのだが、あまりに下品すぎて人格を疑われかねないので、公開の場では書けない。でも、書きたい。強い衝動。そのうち誰かへの私信に書いてしまうかもしれないが、そのときはどうか人格を疑わないでほしい。







1. Stranded
2. Cryin' All Night
3. It Will Be Alright
4. Nothin' You Can Do About It
5. Should We Carry On
6. Leave Me Alone
7. Sweet Body
8. Bix
9. She Waits For Me
10. After The Love Is Gone


2005.08.23.Tue. 16 : 45 p.m.
BGM : Airplay / Airplay


 あー。アレ(トラック4)とかコレ(トラック10)とか、こっちがオリジナルだったのかー。ふーん。ちなみに邦題はなぜか「ロマンティック」だ。ふーん。

 巻末キーワード解説の仕事は、執筆そのものよりも調べ物に時間を使う。たった200字とはいえ、最新の数字などを書き込もうと思うと、なかなか厄介だ。たいがいのことはネットで済むが、データが古いことも少なくない。誰もが私みたいに頻繁にサイトを更新しているわけではないのである。とくに役所のサイトはモタモタしやがっていることが多い。先日も、自衛官の定員数を知りたくて防衛庁のサイトを見たら、「平成16年3月31日現在」の数字しか載っていなかった。そのあとに新防衛大綱で兵力削減が決まっているので、定員も減っているはず。しょうがないので、電話で訊いてみることにした。「電話すればいい」と気づくまでかなり時間がかかったあたりが、ジャーナリストとは違うところだ。ゴーストライターに、「電話取材」という習慣はないのである。というか、電話取材ってとても苦手。

 広報課に電話をして、「自衛官の定員を知りたいのですが、サイトに掲載されている平成16年3月31日現在の定員数には、同年12月に閣議決定された防衛大綱の削減案が反映されていないんですよね?」と質問した。何度か言葉をやりとりした(面倒なのでいちいち書かない)のち、広報課員は「いまサイトが開けないので、調べてから現在の数字に書き換えるよう指示しておきます」と答えた。いやいや、それはそうしたほうがいいけど、私は今すぐに現在の定員を知りたくて電話をしているのです。べつに、サイトの数字が古いことを指摘したいだけの親切な人ではないのです。たばこの注意文言の件で財務省にメールしたときもそうだったが、どうも役所というのは論点を勝手にずらしやがる傾向があるようで困る。

 何度か言葉をやりとりした(面倒なのでいちいち書かない)のち、調べて折り返し電話をもらうことにした。10分後に電話。わりと迅速である。日本たばこや厚生労働省や財務省よりも格段に速い。防衛庁のレスポンスが良いのは、国民としてわりと安心だ。最初の電話ではモゴモゴと面倒臭そうに喋っていた広報課員が、今回はやけにハキハキとした口調で、平成17年度版の防衛白書に載っている自衛官の定員および現員数ならびに充足率を読み上げてくれた。「正解」を手にした役人というのは、いつだって元気だ。それにしても、防衛庁の広報課員の手元には、ふだん、パソコンも防衛白書も置かれていないのだろうか。デスクの上には電話しかないのかもしれない。それとも、玄関の下駄箱とかの上に電話が置いてあるのかな。昔のご家庭かよ。

 ともあれ必要な情報は手に入ったのだが、さらにサイトをよく調べてみたら、平成17年度版の防衛白書の数字は、ほかのページにちゃんと載っていた。役所への電話は、やはり時間の無駄になるようだ。ちなみに、このページの「防衛庁・自衛隊の人員構成」は、それからおよそ1時間後に、平成17年3月31日現在の数字に更新されていた。やはり、迅速。決してヒマなわけではないと思いたい。いずれにしろ、数字が正されたのは私のおかげだ。生まれて初めて、わが国の防衛に貢献したような気がする。







1.Feelin' alright
2.Behind you
3.Better by far
4.Silver strings
5.The Last Unicorn
6.Give me more
7.Man in a car
8.Let it shine
9.Nightmare


2005.08.22.Mon. 15 : 55 p.m.
BGM : Better By Far / Caravan


 ぶへへへへ。けさビデオ観戦したチェルシー×アーセナル(プレミア第2週)は、ドログバのスーパーゴールを守りきって1-0であった。ランパードが後方からゴール前に放り込んだボールが、ドログバの魔術的なコントロールによってゴールイン。あれをスーパーゴールと呼ばずに何をスーパーゴールと呼ぶというのか。なにしろシュートしとらんのに得点が入ったのだから常識を超越している。つまりマンガである。マンガのようなプレイをする奴はえらい。レーマン的には真空投げを食らったような気分であろう。ぶへへへへ。前節に続くアンフェアな結果で、内容的にはあまり見るべき所の無かったチェルシーではあるが、見るべき所が無いのに勝ってしまうのは結果オーライで生きている私のような人間をたいへん勇気づけることであるし、何より、ナントカシールドに続いての連勝によってアーセナルに対する苦手意識が完全に払拭されたのが大きい。少なくとも、私の苦手意識は払拭された。私の苦手意識が消えるのは、私にとってとても良いこと。これでアーセナルの無敗優勝という最悪の事態がなくなったことも、精神衛生に大変よろしい。まったくもって余計なお世話だが、アーセナルはユニフォームの色を元に戻したほうがいいと思う。どっかの大学そっくりな臙脂色は、わりと弱そう。そして、チェルシーのユニフォームがどう変わったかは、あまり話題にしたくない。

 土曜日は、駒大苫小牧×京都外大西(全国高等学校野球選手権決勝)を観戦。去年、旅行中だったために決勝戦を見逃したときは、「嗚呼こんなこと一生に一度しかないだろうに」と、道産子として痛恨の極みだったのだが、そんなふうに思ったことを苫小牧ナインに詫びなければならない。わずか1年後に、その喜びを味わわせてもらえるとは思わなかった。3-3に追いつかれても慌てることなく、「これでもかこれでもか」と言わんばかりの凄まじい内野ゴロ攻撃でなし崩し的に2点をむしり取り、5-3の勝利。両軍ともミスがらみの失点の多い試合ではあったが、なんにせよ、57年ぶりの連覇という快挙はあっぱれというほかない。高校野球には「あっぱれ」という言葉がよく似合う。図に乗って、駒大苫小牧中野八王子とかそういう系列校を作ったりしないことを祈るばかりである。ともあれ、おめでとう北海道。体調のあまり良くない北海道在住のおじやおばたちが、これで少し元気になってくれるといいのだが。

 きのうの日曜日は、ガンボ作りにトライ。ネットで調べた複数のレシピはそれぞれ段取りが違い、どれも全面的には信用できなかったので、さまざまな情報を総合した上で、最終的にはヤマカンで自分の信じるやり方をしてみた。


【ある種のガンボの作り方】
こちらの記述も参照してください)

◇材料(3人前強)
オクラ(100g)、大正エビ(200g)、ソーセージ(200g)、安いほうのカニ缶、那須塩原の玉ねぎ(3/4個)、セロリ(2本)、ピーマン(3個)、にんにく、バター、タイム、レッドペッパー、バジリコ、サラダ油、薄力粉、水、熱、塩、胡椒、愛、幻想

◇手順
1)玉ねぎ(1/2個)、セロリ、ピーマンをみじん切りにする。セロリのみじん切りは、料理の中でもっとも好きな作業の一つ。

2)エビの殻をむいて背わたを取る。エビの背わた取りは、料理の中でもっとも残虐な気分になれる二つの作業のうちの一つ。ちなみに、もう一つはトマトの湯むき。

3)サブの鍋にむいたエビの殻と玉ねぎ(1/4個)を入れて湯を沸かし、スープを作る。ベイリーフというものを入れる方法もあるようだが、久我山のピーコックに売ってなかったので無視。

4)メインの鍋でサラダ油(1/4カップ)を熱し、薄力粉(1/4カップ強)を入れて茶色くなるまで20分ほど炒める。これを「ルー」と呼ぶそうだ。そういうこととは知らなかった。色は、日焼けしたセガレの肌よりもやや濃いぐらいが目安。

5)メインの鍋に1)の野菜と愛を投入してルーと一緒に炒める。ルーと別に炒めてあとで一緒にする方法もあるようなので、本当にこれでいいのかどうか不安を感じながらも、えーいままよと言いながら手を動かす。

6)手が疲れて炒めるのが面倒になったら、サブの鍋でこしらえたスープをメインの鍋におたまで少しずつそそぎ込む。分量がよくわからないが、「これじゃセガレがおかわりしたときに足りないな」と思ったら、必要なだけ足す。ルーの分量とのバランスは、このさい知ったことではない。タイムとバジリコをテキトーに振りまき、弱火で1時間ほど煮込む。

7)くたびれたので、ソファでしばし横になる。愚妻に「ごはんは任せた」と言って、炊飯器に米をセットしてもらう。

8)このあとソーセージとオクラ(いずれも厚さ3〜5ミリの輪切り)を投入するのだが、そういえばスープ投入の前に野菜と一緒に炒めておく方法もあったことを思い出し、なんとなく炒めておいたほうがよさそうな気がしたので、別のフライパンでにんにく(みじん切り)と共にバター炒めにする。糸を引くものを炒めるのは少し気持ちが悪い。一緒に炒められているソーセージたちの悲鳴が聞こえるような気がする。「いためる」というより「いためつけている」ような気分。

9)炒まったソーセージとオクラをメインの鍋に投入する。この頃には、もう引き返せないので「どう作ろうとおれの自由だ。自由ってすばらしい」と開き直っている。

10)15分ほどそのまま煮込む。ちょっと旨そうな感じになってくる。うへへ。

11)家族に風呂に入るよう指示を出す。

12)塩、胡椒、レッドペッパー、幻想で味を調え、エビとカニ缶をぶち込む。カニ缶はあらかじめ缶を取り除いておくことを忘れずに。結局カニ缶の味に支配されてしまうのではないかという疑念は、「悪霊退散!」と唱えて頭から追い払う。エビが赤くなったところで火を止める。

13)風呂に入る。

14)風呂から出る。

15)ライ・クーダーの『Boomer's Story』をかける。ちょっと違うような気もしたが、ドクター・ジョンの『Gumbo』を仕事場に置いてきてしまったので、仕方がない。お手元にライ・クーダーがないご家庭の場合は、ローリング・ストーンズの『Let It Bleed』あたりで代用しても可。

16)鍋に軽く火を通す。皿の中央に盛りつけたごはんをガンボスープで包囲する。テーブルに置いて、携帯で撮影。決して美しい食い物とは言えない。これにザリガニを入れたくなるのは、ちょっとわかるような気がする。というか、ザリガニいそう。

17)冷蔵庫からビールを取り出し、家族を食卓に招集する。

18)食う。「おお、これ、旨いよな。なっ」と家族に同意を強要する。

19)「父さんが作ったんだから旨くないわけないじゃん」とセガレが泣かせることを言う。ほんとうは口に合わないのではないかという疑念は、頭から追い払う。


 そんなわけで、やや塩気がきつく(塩味はカニ缶投入後に調整すべきだった)、全体的にくどい感じはしたが、かなり旨かった。なにしろ食ったことがないので、これが正しいガンボだったのかどうか定かではない(本当はもっといろんな種類のハーブを使うようだ)が、オクラのトロ味は十分に効いていたので、ガンボの最低条件は満たしていたのではないかと思う。かつて経験したことのない、めずらしい食感。生まれて初めて、オクラを旨いと思った。次はチキンでやってみよう。







1.Right Place, Wrong Time
2.Same Old Same Old
3.Just the Same
4.Qualified
5.Traveling Mood
6.Peace Brother Peace
7.Life
8.Such a Night
9.Shoo Fly Marches On
10.I Been Hoodood
11.Cold Cold Cold


2005.08.19.Fri. 13 : 10 p.m.
BGM : In The Right Place / Dr. John


 このところ、やたらとギターの弦が切れる。それも、太い4〜6弦ばかりだ。1〜3弦は細いのにぜんぜん切れない。まるで、1〜3弦を使うベンディングの練習を私がサボっているみたいじゃないか。まあ、すぐ指が痛くなるので何十分も続けられるわけではないが、サボってはいないぞ。なのに、ゆうべも5弦が切れた。たしかに、いま練習している曲は低弦をかなり酷使するが、この1ヶ月のあいだに3本合わせて5回か6回は切れている。そんなに切れるものだろうか、弦って。無駄に力いっぱい叩きすぎているのかもしれない。弦の張り替えはわりと難しく、きちんと張るには習熟が必要なので、その意味では練習になっていいのだが、あの、弦が「ぼちっ」と切れた瞬間の喪失感というのは、あまり気持ちの良いものではないですね。Macがフリーズした瞬間と同じぐらい激しく茫然とする。何の前触れもなく音楽の進行を物理的に止められると、理不尽に表現の自由を奪われたかのような哀しみの感情がわいてくるのだった。話を大袈裟にしすぎているが、音楽は止まらないことがとても大事。本番で切れないことを祈るばかりである。いや、弦が切れていないのに音楽が止まらないよう祈るべきか。いや、祈ってないで練習すべきか。







1.Pelham Melody
2.Liquid Groove
3.Keep In Mind
4.Desire
5.Marvin My Love
6.Who Knows?
7.Jack Hammer
8.Gotcha
9.Fanatic
10.Bali
11.Something For Now


2005.08.18.Thu. 15 : 50 p.m.
BGM : No Comment / Tania Maria


 去年も関わった某イヤーブックの巻末キーワード解説200字×200本ノックというわりとヘヴィな仕事は入っているものの、〆切までけっこう余裕があるので油断している今日この頃だ。油断していると自覚しながら油断し続けるのは、あまり気分の良いものではない。かなり落ち着かない。ならば油断しなければいいのだが、そうもいかないのが油断の油断たるところである。油断の誘惑にはなかなか抗えない。禁断の油断。ところで、どうしてユダンは「油断」と書くのだろうか。というか、なぜ「油断」が「気を抜く」「注意を怠る」「隙を見せる」といった意味になるんだろう。わかるような気もするが、わからないような気もする言葉だ。いったい何のアブラをうっかり断ってしまったのであろうか。チェルシーを持っている人のことだろうか。なるほど油断はダメだ。絶対ダメ。そういえば、かつて私たちの国は石油を断たれたことを契機に戦争へ突入したと聞いている。この場合は「油断した」のではなく「油断された」わけだが、いずれにしろ油断は「大敵」なのである。大敵だったから日本は負けた。油断は、してもされてもいけない。

 などと思いながらも、呑気に朝から散髪しに吉祥寺へ。三発しに行ったわけではないので、音読するときはイントネーションに気をつけるように。9時過ぎに行きつけの理髪店に行ったら、開店は10時だった。油断しているときというのは、えてしてこういうものである。しょうがないので、パルコの裏手にあるイタリア風を気取ったろくでもないカフェで時間を潰す。何がろくでもないかというと、やたら寒いのである。20分ほど座っていたら、くしゃみが立て続けに10発ほど出た。だから10発じゃなくて散髪しに来たんだってばよ。ほかの客はおろか店員すらいない二階のがらんとした空間で、一人くしゃみを連発するのはかなり切ない。くしゃみをした後、人は必ず「あー」とか「うー」とか「ちくしょう」とか言うからである。平日の朝に一人で無駄に時間を潰しながら「あー」とか「うー」とか「ちくしょう」とか言っているのは、とてもバカみたいな感じ。

 散髪を済ませたのち、いつもの中古レコード店に立ち寄る。スタンプカードが一杯になっていたので、それだけで1500円分もの買い物ができた。スタンプカードってすばらしい。たいがいのスタンプカードは紛失する私だが、この店のカードだけはなくすことがなく、もう3回ほど一杯にしている。きっと、相性がいいのだろう。じっさい、この店は棚も私と相性がいいようだ。中古店というのは、とりあえず入ってはみたもののなんだか棚を物色するのが面倒臭くなってすぐに出てしまうことが多いものだが、この店の場合、とくにアテもなくブラブラと店内を歩いていると、必ず視線を吸い寄せられる品物がある。小さな店なので品揃えは少ないのだが、ジャンルに偏りがなく、メジャーなものからマニアックなものまでコンパクトに並んでいるのがいいのかもしれない。いま聴いているタニア・マリアも、今日そこで手に入れた一枚。タニア・マリアがピアノとユニゾンで口ずさむスキャットは、いつだって気持ちがいい。ぶらりと立ち寄ったカフェで、ほどよく冷えたフルーツを思いがけずサービスされた時のような幸福感。油断は大敵だが、ときどき素敵だ。ちなみに、ぶらりと立ち寄ったカフェでほどよく冷えたフルーツを思いがけずサービスされた経験はない。

 日本×イラン(W杯アジア最終予選ただし消化試合)は、加地のごっつぁんゴール、大黒のかどうかよくわからないなし崩しゴール、ちょっと見ないあいだに少し太ったような気がするアリ・ダエイのPKで2-1。べつに、ごっつぁんゴールという言葉で加地の得点を貶めているわけではない。むしろ逆である。ああやって、どフリーの人間が無人のゴールにシュートを流し込むというのは、ある意味、サッカーにおける得点の理想型であろう。たぶん、ああいう守備側のエアポケットはファーサイドにしか出現しない(クロスの出所を見ている守備者にとってはファーサイドが死角になりやすい)から、ニアポストで勝負するストライカーがいないと、この理想型は成立しないのではあるまいか。ニアに飛び込む根性を持っている大黒はえらいと思いました。まるで関係ないが、不機嫌な小笠原は不機嫌な貴乃花に似ているというのが愚妻の意見。私はむしろ福西が巨人の二岡にとてもよく似ていると思うけれど、べつにそれとこれとは矛盾しない。







■GP
1.Still Feeling Blue
2.We'll Sweep Out The Ashes In The Morning
3.Song For You, A
4.Streets Of Baltimore
5.She
6.That's All It Took
7.New Soft Shoe, The
8.Kiss The Children
9.Cry One More Time
10.How Much I've Lied
11.Big Mouth Blues

■Grievous Angel
12.Return Of The Grievous Angel
13.Hearts On Fire
14.I Can't Dance
15.Brass Buttons
16.$1000 Wedding
17.Medley Live From Northern Quebec: Cash On The Barrelhead / Hickory Wind
18.Love Hurts
19.Ooh Las Vegas
20.In My Hour Of Darkness


2005.08.17.Wed. 17 : 05 p.m.
BGM : GP & Grievous Angel (2 in 1) / Gram Parsons


 ゆうべ、久しぶりにペンと紙を使って手紙を書いた。お世話になった人への、御礼状である。いきなり紙に書き出すのは不安だし、文案もスラスラとは思いつかないので、まずパソコンで下書きをしてから、便箋に清書。ワープロが「清書の道具」だった時代が懐かしい。下書きの段階ではほんの短い文面にしたつもりだったが、手書きしてみると異様に長く感じられ、ちょっと後悔した。キーボードと手書きでは、同じ距離を進むにも自動車と自転車ぐらい労力が違う。そして、自転車の乗り方は忘れることがないが、字の書き方は怪しい。どのぐらいのスピードで書くとどのぐらいの丁寧さになるのか、何度か書き直すまで把握できなかった。ものすごくゆっくり書かないと、手紙として許容される最低限の文字にならないことに愕然とする。ものすごくゆっくり弾かないと音楽として許容される最低限のフレーズにならない私のギターみたいだ。わずか2枚(書き損じを含めれば5枚ぐらいになるが)の便箋を文字で埋めただけで、ギターの練習に支障が出るほど手首が痛くなった。肉体は使わないとなまる。さらに、どういうわけか首筋も痛んだ。無駄なところに力が入っていたのだろう。弾いているとどういうわけか足の指が攣ることがある私のギターみたいだ。

 ……といったようなクダラナイ文章は、手書きだったらバカバカしくて絶対に書かないはずである。手書きだったら絶対に書かれないはずの文章が書かれて世に出るというのは、良いことなのだろうか、それとも悪いことなのだろうか。たぶん、良いことと悪いことが半分ずつあるに違いない。良いことが増えれば、悪いことも同じくらい増える。それが、こうして日々ウェブ上に物を書いている者の実感である。良いことを増やすのが良いことなのか、悪いことを減らすのが良いことなのか、それがモンダイだ。




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