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text by Takawo Nishi


〜98-99シーズン編B〜

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12月11日
 ベティス×エスパニョール(スペイン・リーグ)を見ていたら、なぜかクレメンテがベンチでイライラしながら煙草を吸っていた。知らなかった。いつからベティスの監督になったんだ。いつからって、キプロスに負けた後に決まってるが。試合は1-0でエスパニョールの勝ち。ベティス、あえて「宝の」とは言わないがデニウソンが持ち腐れ状態になってるような気がする。かつての無敵艦隊の指揮官も、W杯からこっち、ずっと天中殺か。見ていて切ないものがあった。
 引き続きラ・コルーニャ×A・マドリード(同)を見ていたのだが、途中でマンチェスター連合×ブレンビー(CL第3節。古い。)が始まったので、チャンネルを切り替える。ブレンビーって、シュマイケルの古巣だったんですね。しかしラ・コルーニャのほうも気になるんで、スタメンにベッカムの名がないことを確認してから「こうやって浮気してると、得点シーン見逃すんだよなー」などと言いつつチャンネルをスペインに戻したのだが、まだ0-0だった。ところが、だ。キコのシュートが外れるのを見届けてからCLに戻ると、すでにマンチェスターに1点が入っていた。キックオフから3分もたっていない。うーむ。やはりそうであったか。
 妻には、「流れ星と同じなんだから、ずっと同じとこ見てなきゃダメなのよ」となじられた。ほほー。なかなかうまいレトリックじゃないか。我が妻ながら感心、感心。そういう問題ではないですね。
 しかし俺はその後も懲りずにザッピングを繰り返し、両方で入った計5ゴールのうち4ゴールを見逃した時点で自分が厭になってテレビを消した。見たのはマンチェスターの3点目、コールのゴールだけだ。まさにスーパーづがん、である。ラ・コルーニャとA・マドリード、途中まで1-1だったけど、どっちが勝ったのかなぁ。

 ……ラジオで「大阪の五輪立候補の態勢が固まった」というニュースを聞いて思ったのだが、実現した場合、やはり開会式は吉本が仕切るのだろうか。だったら、冒頭のファンファーレはノックと上岡で「パンパカパーン」とやってほしい。んで、5万大観衆が全員で椅子からずっこける。そこまで世界相手にボケをかます覚悟があるのなら見てみたい、大阪オリンピックである。

12月10日
 アジア大会2次リーグ、韓国には完敗したもののクウェートには残り7分から逆転勝ち。テレビ中継は見逃してしまい、新聞で読んだだけだが、西アジア・ナンバー1に勝ったのはえらい。W杯1次予選のオマーン戦以来、アラブのチームには勝ってないような気がするし。……あれ? イランは中東だけどアラブではないよな。でもエジプトはアフリカだけどアラブか? ま、いいや。
 それにしても、やはりトルシエには運があるのだろうか。これでベスト8に進出できたら、少しは彼の運にすがってもいいような気がするぞ。それに、「0-1の負けは許さない。負けるなら0-2だ」という選手への指示は、なかなかのものだと思う。こういうレトリックの使えるリーダーは、日本にはほとんどいないだろうな。

12月9日
 昨夜は、某K社内で結成された草野球チームの納会に出席。俺は今回が初の顔見せで、「新人選手」として紹介される。34歳の俺が「若手」(下から2番目!)だというのだから、大したチームである。鍋をつつきながら、メンバーが喜々として語る試合の思い出話に耳を傾けていたら、すぐにもキャッチボールを始めたい気分になった。どうして野球って、こうも男の子をそわそわうずうずさせるんだろうか。
 しかし最後は四谷3丁目の、男のママがやっているカラオケスナックへ繰り出し、野球のことはすっとんでしまった。「男のママがやっている四谷3丁目の店」的な場所は、俺がもっとも苦手とするものの一つであるが、久しぶりに身を置いたせいか妙に新鮮だった。「いちご白書をもう一度」を唄ったら、「名曲だよなー」としんみりしてる人が約3名ほどいた。「あ、これってユーミンの作詞・作曲なんだ」と言った人も約1名いた。ほかの席には、ぐずぐずに酔っ払ってるサラリーマンが大量にいた。師走である。
 深夜1時すぎに帰宅したら、妻が1人でベンフィカ×FCポルト(ポルトガル・リーグ)を見ていた。彼女はポルトガル人も好きなんである。

 12月8日
 つい成り行きで見てしまったサッカーファンも多いだろう。セリエAとチャンピオンズリーグの合間にWOWOWで放送していた映画『探偵物語』である。俺も懐かしさのあまり本気で観戦、いや観賞してしまった。
 この作品が公開された1983年は、俺が大学に入った年だ。ということは、薬師丸ひろ子が玉川大学に入学した年でもある。2人の熱烈なファンだった俺にとって、優作&ひろ子の共演は、ユーベ×レアルのCL決勝に匹敵するほどの「ビッグな顔合わせ」であった。無理にサッカーと結びつけなくてよろしい。
 それにしても、松田優作が逝ってしまってから早9年である。9年前のあの晩、女性誌芸能班に属していた俺は、神楽坂のカラオケ屋で飲んでいるところをポケベルで呼び出された。彼が死んだと聞かされたときは、「どこで、誰に殺されたんだ」としか考えなかった。もちろん、『太陽にほえろ!』の殉職シーンも脳裡をかすめた。なにしろ39歳という若さだ。病死など、想像力の範疇を越えていた。
 いったん編集部に戻り、すぐに善福寺の自宅へ駆けつけた。誰かが大声で泣き叫ぶ声が聞こえた。通夜と葬儀にも出かけた。葬儀場でテレビのレポーターに囲まれた薬師丸ひろ子の近くに行ってメモを取っていたら、その姿がワイドショーに映ってしまった。追悼記事を担当した。唯一、「お仕事」でなく作った芸能記事だった。
 そして『探偵物語』は、15年たっても素敵な映画だった。金田一シリーズを含めて、角川映画は意外に偉大だった。……ところでラストシーンのバックに流れてる曲、もっと延々とトロンボーンのソロ(たぶん向井滋春)が続いていたような印象があったんだけど、あんがい短かったな。自分もトロンボーンを吹き始めたばかりで、向井滋春が新たなアイドルとなりつつあった時期なので、過剰に刷り込まれていたのかもしれない。人の(俺の)記憶はアテにならないものである。

12月7日
 サラス、えらい! 実はラツィオ好きな俺である。ユベントス戦の後半、無理な体勢から最高のタイミングで打ったシュートは、これぞストライカーって感じだったぞ。
 しかし愚妻にとってサラスは、「抱かれたくないサッカー選手ナンバー1」だとのこと。なに言ってんだ、おまえ。ちなみに2位はネドベド(ラツィオ)で、以下、アサノビッチ(パナシナイコス)、カンポ(レアル)、イェレミース(バイエルン)、バティストゥータ(フィオレンティーナ)あたりがランクインするらしい。「カランブーは?」ときいたら、「そうでもない」だって。ふーん。俺だったらカランブーよりバティのほうがいいけどなー。それにしても、じゃあ俺は、バティよりカランブーを選ぶ女に選ばれたってことなのか? うむむ。ぜんぜん嬉しくないぞ。

12月5日
 コンサドーレ、無念の2部落ち。3点目を取られたあたりから、不覚にも涙ぐんでしまった。なんと残酷な試合を企画したのだ、Jリーグは。今年だけの年間順位を見れば、札幌は14位である。そのチームが、短期決戦で精神的な弱さを露呈して敗退したとはいえ、なぜ2部落ちせねばならぬのか。前年の順位ポイントまで加算するという、「既得権に甘い日本特有のメンタリティ」の犠牲になったとしか言いようがない。わずか1試合しかチャンスを与えられなかったフロンターレも同様である。
 しかし、いまさら何を言っても始まらぬ。岡田監督の手腕に期待しつつ、いつの日か札幌がJ1を制するときが訪れるのを信じて声援を送るのみ。いつになく感傷的な俺であった。

12月4日
 ディレクTVの料金が全体に値下がりし、「昼間っからセリエAが見られるのも悪くないわよね」という愚妻の後押しもあって、とうとうCSのWOWOWにまで加入してしまった。妻はイタリア人が好きなのである。それにしても、昼間どころか、ほぼ毎日、朝7時からセリエAやってるんだな、これが。で、10時からチャンピオンズリーグやって、2時からまたセリエA。夜も8時からセリエA、12時からCL、という具合である。朝と昼は同じカードだけど。俺が仕事してるあいだ、妻が一人でセリエA見てるかと思うと、なんか妙な気分だ。
 そのうえ今月は1980年以降のウィンブルドン決勝を毎晩1試合ずつやっているのであった。昨夜は82年のナブラチロワ×クリス・エバートなんか見てしまったが、やっぱエバートってきれいだよなー。ナブラチロワも若々しくて(当時26歳)よかった。何がいいんだか。エバートは木のラケット使ってた。
 とにかく、これで理論的にはイタリアとスペインのリーグ戦を全試合見られるようになったぞ。物理的には不可能だけど。そんなに見てどうすんだ。我ながらアホぢゃないかと思うね。ま、いいや。ますます地上波と縁遠くなって、「世間知らず度」がアップしそうだが。それに、飼っているサル(1歳半・オス)の頭に「テレビというのは、いつも画面が緑色に染まっているものだ」と刷り込まれてしまうんじゃないかと心配である。

12月3日
 ……負けた。やっぱり負けた。コンサドーレ、参入戦3連敗である。フロンターレとの死闘を「火事場のクソ力」で制して一度は崖っぷちを乗り越えている分、アビスパに時の勢いがあるということか。ちなみに昨日の試合、投稿欄では中継のないことを憤慨してみせたが、帰宅して飼っているサルを風呂に入れた後でCSを見てみたら、ESPNで生中継していた。すでに1-0で、マラドーナはピッチから姿を消していた。ありゃまこりゃま、である。
 どうやら2部落ちしても札幌は岡田監督になるらしい。緊急避難的に指揮を取るのはW杯予選で慣れてるだろうから、どうせなら次の試合からベンチに入ればいいじゃん。いまの監督、「なぜ点が入らないのかわからない」なんて言ってる状態だし。どうでもいいけど、「わからない」ってゆーなよな。

 そういえば、インテルがシモーニ監督を解任したと聞いたが本当だろうか。やっとレアルに勝って、これからって時だったのにねぇ。お気の毒さまでした。ま、これまでの戦いぶりを見ればしょーがねーか。やっぱ負けたら監督が責任取んなきゃなー。……おい、聞いてんのか長嶋。おまえに言ってんだよ、俺は。

12月2日
 トヨタCは2-1でレアルの勝ち。あえて2-1でヴァスコと読んでいたのだが、真逆だった。トトカルチョを仕組まなくてよかった。こんなことばかり言っている。
 それはともかく、どうしても日テレのサッカー中継は好きになれない。ただでさえ嫌いなのに、実況が船越じゃなおさらだ。彼にはバラエティ専門になってスポーツから手を引いてもらいたい。それに、アカンのは実況だけじゃないぞ。ディレクターのスイッチングもなってない。FKのたびにロベカル抜くなよ。蹴りもしないのに。レアルの試合いくつかチェックすりゃ、あの距離でロベカルが蹴るのは五分五分以下だってわかるだろ。ばか。あの映像が世界中に流れてるかと思うと、恥ずかしくてたまらん。
 そういえば2002年のW杯中継はNHK・民放相乗りのオリンピック方式になるという話があったが、本当なのか。ぜぇーったいにイヤだぞ俺は。ファックな民放アナの絶叫なんぞ、聞きとうないわ。しかもスタジオにはV6だのスピードだのたのきんトリオだのが「ニッポンには優勝を目指してほしいですっ」とか言いながら興奮した面もちで陣取っていたりするんだろ? あ、たのきんはいないですね、たのきんは。でも長野五輪ではなぜか少年隊がいました。……とにかく、民放参入を何とか阻止する手段はないんだろうか。どんなに卑劣な手を使ってでも食い止めたい気分である。

 トヨタC後、バルセロナ×A・マドリードを観戦。相変わらず、バルサはいいところなし。解説の金子達仁(ついに彼もCSに参入!)に「点を取れる気がしない」と酷評されておった。結果は0-1で負け。しかもホームで。終盤には、怒ったサポーターが飛ばした紙飛行機がピッチにたくさん突き刺さっていた。ファン・ハールは終始うつろな横顔をカメラに抜かれていたし。いつもと違ってユニフォームの邪悪さが薄まり、渋くてかっこよく見えたのはリバウドが出ていないせいか……などと思っていたら、実際いつもと違う特別なユニフォームだったらしい。なんだそりゃ。それより、途中から出てきたジュニーニョはうまかったなぁ。最近、あらためてブラジル人選手の魅力に酔っている俺なのであった。

11月29日
 ジャパンCは2番のシルクジャスティスから買って玉砕。思えばジャパンCは俺が初めて取った思い出深いレースなのであった。あれは何年前だろう。トウカイテイオーとナチュラリズム。あんときゃ興奮したなー。取った馬券は7-14だった。たぶん、生涯忘れないと思うね。くだらん話だが。
 5年ほど前までは毎週のように後楽園の場外に通っていた時期もあったのだが、しばらく競馬から遠ざかっていたんで、このごろはたまに馬柱を見ても知らない馬ばっかしである。ナイスネイチャだのマチカネタンホイザだのセキテイリュウオーだのダイタクヘリオスだのといった名前がないとG1に見えないんだから、いくら何でも頭が古すぎる。ま、買っても買ってもハズレんのは今も昔も同じだけどよ。ほっといてくれ。
 Jリーグのチャンピオンシップは鹿島が去年の借りを返して優勝。しかし俺としては、2日と5日の参入戦のほうが気になって、それどころじゃないっす。いったい、世の中的にはどっちが強いと思われてるんだろうか。というより、アビスパとコンサドーレが戦うことさえ知らん人のほうが多いか。やれやれ。

11月28日
 やはりロベルト・バッジョは千両役者なのであった。
 CL1次リーグの正念場、インテル×レアル戦である。信じられない勢いで画面の外から前線に飛び出してきたシードルフの同点ゴールに死ぬほど感動していた俺だが、バッジョが登場してからはすっかりインテリスタ。ドローでは息の根を止められかねないあの苦しい局面で、まさかの2ゴールを決めてみせるとは。あの技術、あの気迫、あの勝負強さ。この感激を味わわせるためにサッカーは存在していたのだ、と思わせてしまうほどの好ゲームであったぞ。ちと大袈裟ではあるが。

 ところでプロ野球のストーブリーグのほうは、新垣の担当スカウトが自殺してえらいことになっている。痛ましい話だ。なぜオリックス指名を受けた新垣本人が胃潰瘍で入院するほどダイエーに固執するのかを含めて、わかりにくい部分の多い騒動である。ドラフトでハズレくじを引いたときの王監督の挙動(一瞬、当たりくじを見せびらかすような仕種をしたように見えた)にも何か不審なものがあったし。根拠はないが、あらかじめ仕組まれていた「新垣ダイエー入りの筋書き」が、土壇場になって何かの手違いでひっくり返ってしまった……みたいな「闇」の存在を感じさせるのである。うがちすぎだとは思うけど。
 いずれにしても、ドラフト存廃問題ってのは出口の見えない厄介なテーマであるなぁ。何であれ自由競争が基本、だと俺的には思うけど、そう簡単には割り切れん部分もあるし。ただ、少なくとも「3年か4年ガマンすれば逆指名」という今の制度は、大学やノンプロで選手のポテンシャルが低下することはあっても向上することはほとんどないという点で、本人を含めたすべての関係者にとって不幸なシステムではないだろうか。
 とりあえずの対症療法としては、高校生にも逆指名権を与え、ただし逆指名で獲得できるのは各球団1名だけ、ぐらいがちょうどいいような気もする。「くじ運に翻弄される人生の悲喜こもごも」を無責任に楽しんでいる庶民の本音で言えば、大半が事前に逆指名で決まってる今のドラフト会議はイベントとしても盛り上がらないしさ。それに、やっぱ上原・二岡がどっちも巨人に入っちゃったんじゃマズイだろ。またぞろ「それでも勝てないジャイアンツ」のアホらしさが浮き彫りにされてしまうじゃんか。あはは。情けない。

11月26日
 しくしくしくしく。ひっく。うがごげ。コンサドーレって、ヴィッセルより弱かったのかー。そうなのかー。だけど神戸に連敗するかね、ふつう。あー、辛い。すごく辛いぞJ1参入戦。アビスパ×フロンターレは他人事だからめちゃ面白かったけど、当事者になるとただ辛いだけだ。誰が当事者なんだかよくわからんが。
 しかし見てるほうもシビれたけど、選手はもっとシビれてたな。みんな、おそるおそるボールタッチしてる感じで、小学生並みのトラップ・ミス連発。いくら何でも、そこまで下手じゃないだろ、おまえら。2ndステージは、もっといいサッカーしてたじゃんかよぉ。ウーゴぉ。バルデスぅ。どうしちゃったんだよぅ。
 あーあ、きょうの試合を見るかぎりアビスパにさえ勝てる気がしない。ま、来年はJ2の閑散としたスタジアムで「生コンサドーレ」を観戦するってのも、味わい深いかもなー。優勝も狙えるし。川崎に行けばフロンターレとの死闘が見られるわけだろ? それにしても岡ちゃん、十両落ちしても札幌の監督やるんだろうか。
 ところで昨夜、スペイン・リーグのラ・コルーニャ×オビエドを見ていたら、オビエドに名前がバルデスで顔も札幌のバルデスそっくり(というより、ほぼ同じ)のFWがいて、とてもびっくりした。バルデスかと思ったぞ。いや、バルデスなんだけど。「あした参入戦なのに、スペインでボール蹴ってる場合か」とも思った。録画中継だから、きのうの試合ってわけじゃないんですけどもね。バルデスって双子なんですか。誰か知ってたら教えてくれ。でも、それ以外に合理的な説明がつかないから、双子なんだろうなー。あれが赤の他人だったらオカルトだ。スキンヘッドも同じだったし。ゴールしなかったから、例の「携帯電話パフォーマンス」をやるかどうかは確認できなかったけど。
 双子なんだったら、あっちも札幌に来ればいいじゃん。バルデスが疲れたら、交代でまたバルデス投入だ。これは怖いぞー。バルデスに次ぐバルデス。ついでにマラドーナ兄も連れて来てしまへ。天下無敵の2部チームの完成だ。うおー。こんちくしょー。ばかやろー。

11月19日
 どうも昔からそうなのだが、テレビ観戦していて得点シーンを見逃すことが多い。トイレに立ったときはもちろん、ちょっと妻に呼ばれて振り向いた瞬間なんかにも、背後から「入ったぁああ!」というアナウンサーの声が聞こえてくることがしばしばある。
 昨夜のベンフィカ×ヘルシンキ戦など、その典型である。ベンフィカの1点目(同点G)は、冷蔵庫のドアを開けて飲み物を取り出そうとした瞬間に決まっていた。そして2点目(勝ち越しG)が入ったのは、俺が一瞬、考え事をしながら煙草の灰を灰皿に落とした(したがって視線も灰皿に落ちていた)瞬間だ。2点とも見逃した。そのくせ応援してないヘルシンキのゴールは2つともしっかり見ている。おもしろくない。
 それにしてもベンフィカ、あきまへんなぁ。まるでポルトガル代表を見てるようだった。打っても打ってもシュートが入らん。あの左サイドの背の低い15番の選手、なんで使われてるのか理解できないぞ。パスのタイミングは悪いし、足は速くないし、味方の意図を把握できてないし、CKは下手だし。あと、ときおり映るベンフィカのベンチって、すごく頼りなさげな雰囲気が漂っていて、勝てる気がしない。どれが監督なのかもよくわかんない感じだ。もっと堂々と構えなさい。
 昨夜は、リーベル・プレート×ボカ・ジュニオルス(アルゼンチン・リーグ)も少しだけ観戦。全然おもしろくない。プレイもピッチも汚すぎる。ところでラモン・ディアスって、まだリーベルの監督やってたんですね。

11月18日
 アヤックス×PSV(オランダ・リーグ)観戦。2-2のドローだったけど、いいねー、ヴァンベルト。ババンギダはケガが治ってもポジション無いな。何たって、小気味がいい。「黒いオーウェン」と言ったら言い過ぎか。俺としては吉原(札幌)に「黄色いオーウェン」になってもらいたいんだけど。
 引き続き、バルセロナ×サラマンカ(スペイン・リーグ)を観る。評判が落ちる一方のバルセロナだけど、個々の選手は時折グレイトなプレイを見せてくれる。ゴール前でDFを3人もかわしたルイス・エンリケのドリブルには驚いた。がつがつ突進するだけが取り柄だと思い込んでいたリバウドが通した絶妙のスルーパスには溜め息が出た。それなのに、ああ、それなのに、2人が作ったビッグチャンスを潰したのは、いずれもクライファートであった。なぜぢゃ。なぜシュートが枠にいかんのぢゃ。
 途中で、同じ時間帯にCLをやっていることに気づき、スパルタク×インテルにチャンネルを切り替える。げ、寒そう。グランドぼろぼろだし。もしアヤックスがここで試合したら、何にもできないんじゃないかしら。でも面白かったなぁ。暴力的な「ヤケクソ感」を漂わせつつ、だからこその集中力が空気を引き締めてる感じ。互角に渡り合う両者を見ていてふと思ったのだが、インテルとスパルタクって、選手の年俸総額にどれくらい差があるんだろうか。当然、巨人の1軍と2軍より大きいよなー。巨人と日本生命野球部ぐらいの差か。どうでもいいんだけど、それだけ差があってもサッカーってこういう試合ができるんだなー、と思ったわけでした。
 一方、同じ試合を見ながら愚妻のほうは、「シメオネって怖いよねー。でも、こういう顔にかぎって、お母さんとソックリだったりするのよ、きっと」だって。うぬぬ。シメオネのおふくろ。んなこと考えてもみなかったぞ。そういえば彼女は以前、ラツィオの試合を見ながら「ネドベドって、脳みそ少なそう」とのたまったことがあった。ひどい、と思った。
 CLを見届けてからバルサ戦にチャンネルを戻す。こちらも1-1のドロー(バルサの得点はコクーのヘッド)であった。解説者(名前忘れた)が「バルサは重傷ですね」と言っていた。クライファートがいようがいまいが、ダメなものはダメってことか。

11月17日
 うげげ。原辰徳が「中田化」してるみたいだぞ。記者と筆談なんかしちゃって。なんか腹立ててるみたいだけど、あいつの場合、ぺらぺら調子に乗って喋りすぎた自分がいけないんじゃないのか。擬態語連発で「長嶋二世」なんて言われちゃってるし、参ったな。うっかり「原監督待望」を口走ってしまった俺の立場はどーなるんだよ、まったく。
 それにしても、あんなにお喋りな奴だったとはなー。現役時代は、ケガにも負けず、チャンスに弱いという批判にも負けず、落合入団にも負けず、寡黙に頑張ってたじゃないか。俺は、そういう原が好きだったのに。しょせん、脳天気なボンボンだったのか。やれやれ。この上、長嶋の下でろくでもない「帝王学」なんか身につけちまったんじゃ、どうしようもないな。やっぱ森だ。森が帰ってきてくんないと、俺はあと10年ぐらい溜め息をつき続けることになってしまうぞ。

 昨夜はリバプール×バレンシア(UEFA杯)を観戦。スコアレスドローだった。決してつまんなくはなかったが、オーウェンはサブ。後半途中から出ていたが、いいところはなし。調子悪いのか。それはともかく、タッチラインの内側50センチのゾーンをドリブルで走らせたら、マクマナマンは世界一早いかもしれない。……タッチライン際のマクマナマンのドリブルとかけて、毒カレー事件の逮捕状と解く。そのココロは、出そうで出ない。お粗末。

11月16日
 ローマ×ユベントス観戦。メンバー表を見て、「インザーギは1トップ向きじゃないんじゃないのか」と思っていたら、解説の岡ちゃんもそういう意味のことを言っていた。ほほぅ、俺もなかなかサッカーわかってきたじゃないか。えっへん。それに、「このシステムじゃダビッツにかかる負担がデカすぎるんちゃうか」と思っていたら、そのせいかどうか知らないがケガで交代しちまった。ダビッツだって人間だ。出場停止明けで本人も張り切りすぎたのかもしれんけど。
 それにしても、あんまり仕事をさせてもらえなかったとはいえ、今更ながらジダンは素敵だなぁ。あれだけマークがきつくても、やることはやる。彼がボール持ったときだけ、周囲の時間がゆったりと優雅に流れるように見えるのが凄い。どうしてあんな悠然とした動作でボールがキープできるんだろうか。何かこう、合気道とか剣術とかを極めた老人が、屈強な若者を涼しい顔で倒してしまうような「ゆとり」を感じる。『剣客商売』の秋山小兵衛みたいな感じといえばいいでしょうか。

 ところで数日前、バルセロナ×バレンシア(スペイン・リーグ第5節)を見た。C・ロペスが先制G、クライファートが同点Gと、W杯のオランダ×アルゼンチンを彷彿とさせる展開(順番が逆だけど)。結局リバウドの勝ち越しGでバルセロナが勝った……んだと思ったけど、違ったかな。
 ま、いいや、結果なんてどうでも。俺にとって問題なのは、クライファートの有無によってバルセロナというチームの「好感度」が大きく変わってしまうことである。俺はクライファートが好きだ。しかしリバウドは嫌いだ。フィーゴは好きだが、ルイス・エンリケも好きだ。あれ、好きな奴のほうが多いな。だが、それを凌駕するほどリバウドがイヤだ。何がって、顔が嫌いなだけなんだけどさ。リバウドがあのジャージ着てると、ほんとに底意地が悪そうに見えるじゃありませんか。あと、コクーは好きだけど、バルセロナにいると何かイヤだ。だけどクライファートはバルセロナにいてもイヤじゃない。俺は何が言いたいんですか。
 とにかく俺の場合は、EURO96とかフランスW杯とか、代表チームを見るところから「好き嫌い」が始まっている上に、「選手」の魅力でサッカーを見ている面が大きいんで、クラブチームの「好き嫌い」がどうも自分でも判然としない。たとえばインテルなら、バッジオやサモラーノには頑張ってほしいけど、シメオネは嫌いである。ロナウドもなぜか苦手だ。レアルなら、ラウールもイエロもセードルフもレドンドも(ついでに監督のヒディンクも)かっこいいと思うけど、ミヤトビッチとスーケルが何でか知らんが苦手である。意外にバイエルンはエウベルやエフェンベルクが魅力的なんで、ちょっと好感を抱いていたりするのだが、あの小汚いイェレミースを見るとうんざりする(ちなみに一昨日、ブンデスリーガにおけるダエイのゴールシーンを初めて見た。岡野でも入るような簡単な場面だった)。
 そんなわけだから、欧州のリーグ戦を見ていても、「いけ・ばか・やめて」状態にはまずならない。サモラーノからのパスをシメオネがシュートしようとしたり、セードルフのスルーパスにミヤトビッチが走り込んだりすると、決めてほしいのか外してほしいのかわからなくなって、判断停止状態になってしまうのであった。ユベントスとアヤックスには嫌いな選手がいなくて、ま、好きといえば好きなんだけど、「好きなチームはユーベとアヤックスです」ってのも何か「にわかファン」丸出しでバカみたいだしねぇ。それで「野球は巨人」っていうんじゃ、我ながらアホかと思うぞ。アーセナルとかマンチェスターUTDとかリバプールとかチェルシーとかはほとんど文句なしで好きだけど、プレミアリーグ見られないしな。
 そりゃまあ、日本人なんだから欧州のクラブに本気で感情移入できないのも当然といえば当然だろうけど、なんちゅうかこう、興奮できないのが寂しいなぁ。もちろん、興奮できなくても見ていて楽しめるのが、連中の凄いところなんだと思うが。いずれにしろ、やっぱトトカルチョでもやんないと燃えるものが出てこないのかもしんない。

11月13日
 淀川さんの葬儀に参列。それほど深い関係があったわけではないのだが、一緒に作った本(「生死半半」という、タイトルどおり生き死にの話)の内容が内容なので、行かずにはいられなかった。それにしても、今日は「13日の金曜日」である。同名の映画もあったけど、きっとあんなのは好きじゃなかっただろーなぁ、などと思いつつ。
 読売がヴェルディから撤退とのこと。出版社(中央公論)は抱えられるけど、サッカーは抱えられんということか。さらにベルマーレもフジタが身売り先を探しているという話だが、大丈夫なんだろうかね。あ、大丈夫じゃないからみんな困ってるんですね。Jリーグの理想と現実かぁ。よくわからんけど、結局のところ日本サッカー界は、フランスに行くためにずいぶん無理しちゃってたのかなーって感じでしょうか。去年の今頃(そういえばジョホールバルから早1年であるな)は「W杯に出られなかったらJリーグもおしまいだ」みたいな話だったと思うんだけど、出場してもこれだもんねぇ。イランに負けてたら、いったいどんなことになってたんだ。どうでもいいけど、なんか「2002年の話なんかしてる場合じゃない」ってムードになりそうで心配だぞ。



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