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text by Takawo Nishi


〜98-99シーズン編・その4〜

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12月27日
 天皇杯準決勝。清水が名古屋に、横浜Fが鹿島に勝って、元日の決勝に進出。潰れそうで潰れなかったチームと、潰れそうもなかったのに潰れたチームの決戦である。延長で負けたとはいえ、名古屋の小倉は終盤に途中出場して(たぶん)最初のボールタッチで同点ゴールを叩き込んでいた。狭いニアサイドへぶち込むシュート力、が彼にはあったのだった。素晴らしい技術と集中力。横浜Fはまるで予定調和のような快進撃である。対戦するチームにどこか遠慮があるような気がするのは俺だけだろうか。

 渋谷のサッカーグッズ店カンピオーネへ行き、ユベントスのユニフォームを買う。……と、当たり前のように書いてはみたが、34にもなってそんなもん買うかね。俺は子供か。でも嬉しかった。俺はいつまでも少年の心を失わない男なのである。ほんとうはアヤックスのセカンドジャージ(あるいはウディネーゼ)が欲しかったのだが、さすがにそこまでマニアックなものはなかったので、とりあえずビアンコ・ネロにした。着てみると、インザーギには負けるがデシャンよりは似合っているような気がした。ところでスポンサーのリベルタ・ディジターレってどんな会社なんだろう。自由デジタル社、か。現代用語の基礎知識とか出版してそうだ。あれは自由国民社ですね。ちなみに妻はポルトガル代表のユニフォームを買っていた。シブい選択である。
 スポンサーといえば、どうしてバルセロナのユニフォームにはいっさいスポンサー名が入っていないのだろうか。ヨーロッパ広しといえども、これはバルセロナだけのような気がするのだが。

12月26日
 オビエド×ベティスを観る。オビエドのバルデスが札幌のバルデスの(双子の)弟だということが判明した。ヘッドでゴールを決めていた。

12月25日
 やってもやっても終わらなかった300ページの大著をついに脱稿。どんな仕事も、いつかは終わる。J-WAVEを聴きながら仕事していたのだが、ワムの「ラスト・クリスマス」を2時間おきに聴かされていたような気がする。

12月24日
 明石家サンタのイブ恒例プレゼントショーを見る。スポーツとは関係ないようなものだが、デトロイト行きが決まった木田が紋付き袴姿で今年も出演していた。来年も出るらしい。あっちでもマンガ描くんだろうか。がんばれ木田。番組は例年よりネタに切れ味がなく、あまり面白くなかった。仕事すればよかった。

12月23日
 ふだんほとんど見ないNEWS23をたまたま見ていたら、長嶋が筑紫やら草野やらのインタビューを受けていた。今年の投手陣の崩壊ぶりについて、「やはり防御率の失点力が……」と口走ったように聞こえた。失点力。いま流行の「老人力」を踏まえた上での発言か。それにしても失点力って。あれはパワーだったのか。そんなネガティブ・パワーなら、睡眠力とか逃避力とか停滞力とか痴力怠力とか、俺にだっていろいろあるぞ。えへん。……しかしそうなると、同じことを言っていても、「不眠症」は気の毒な感じだが、「睡眠力不足」はバカっぽいだけだな。どうでもいいけど。「いやぁ、ここんとこ停滞力不足で」ってのは、やる気満々ということか。うーむ。怠力が漲ってきたぜ。
 インタビュー終了後、男のアナウンサーが「長嶋さんがいなくなった後の喪失感を考えたら、やめちゃいけないですよ」という意味のことを言っていた。このたわけ者が。喪失感ではなく、爽快感と言わんか。

12月22日
 いよいよ今年も大詰めである。めちゃ忙しいのである。なのに昨夜もフェイエノールト×アヤックスとバリャドリッド×バルセロナをザッピングしつつ観戦したのである。何をやっておるのだ。
 オランダのほうは、1-1のドロー。アヤックスはリトマネン不在(ケガか?)で、ベニ(マッカーシー)、ババンギダ、ヴァンベルトというブラック系3トップになっていた。別にいいんだけど、なんか違うような気もした。
 バルセロナ戦は、例によって倉敷&金子ペアによる放送。この2人、妙に気があっていて笑える。「うわわわ」と叫ぶタイミングも一緒だし、「しっかりしろバルサ」的な感覚も共有しているようだ。サッカー放送におけるKKコンビと呼んであげよう。試合のほうは、1-0でバルセロナの勝ち。連敗を4で止めたということだが、ただ勝っただけ。1点リードの後半10分にリバウドに代えてDFの選手を投入したファン・ハールの采配は、KKコンビからも猛烈な疑問と批判を投げかけられておった。事実、この交代後はなりふりかまわず守ってる感じ。ファンタジーもへったくれもない。だってクライファートが左サイドバックの位置まで下がってディフェンスしてるんだもん。勝って喜んでるのは監督だけのように見えた。

 忘れていたが、土曜日の晩にオランダ×ペルーを観戦。オランダは開催国のためEURO2000の予選が免除されており、こうして代表強化を図っているのである。2-0と得点は少なかったが、久々にオランダサッカーを堪能。ベルカンプもオフェルマルスもクライファートもスタムもコクーも、クラブでやってるときより生き生きして見えたのは気のせいではないと思う。新監督のライカールトもかっこよかった。それにしてもライカールト、まだ35歳である。俺も来年、35だ。ありゃまこりゃま。

12月21日
 サンプドリア×ACミラン観戦。オルテガ、髪切ってたんで、どこにいるのかしばらくわからなかった。ちゃんと後頭部があったので安心した。でも、顔がお面に見えなくてつまらない。
 他試合のダイジェストによれば、サラスは2ゴール、インザーギはハットトリックを決めたとのこと。べりー・ないす。ところでビエリはまだ出てこないのか?

12月20日
 友人の結婚式に出席。二次会でバンド演奏などしたために疲労困憊。帰宅後、フィオレンティーナ×ペルージャを見ながら不覚にも寝入ってしまい、中田の同点PKを見逃す。わけあって、彼にPKを蹴られるのはとても困る。サラスやインザーギやアモローゾは点を入れているだろうか。
 天皇杯4回戦、コンサドーレはジュビロに2-3で惜敗とのこと。見てないからどんな試合だったのかわからんが、とりあえず、よくやったじゃないか。2ndステージでは1-6ぐらいで大敗していたのに。ドゥンガのいないジュビロ相手なら十分に戦えるということか。なぜアビスパに負けた。

12月19日
 アジア大会サッカー決勝。2-1でイランがクウェートを下して金メダル獲得。やはりアジア最強であることが改めて証明された、というところか。ダエイはバイエルンとは見違えるほど生き生きしていた。

12月18日
 出張から帰宅。疲労のためサッカーを見ずに寝る。

12月17日
 大阪出張。宿泊先のホテルで、イタリア代表×世界選抜を前半だけ見る。都並&川平の軽薄調が、CSの地味なサッカー中継を見慣れた目と耳には新鮮。バティストゥータやイタリアの誰かが決めたゴールのような、GKが体を寄せている狭いニアサイドに強引にぶち込むシュート力(スピード&コントロール)を日本人選手が身につける日は来るのだろうか。

12月16日
 おお。フラビオ(前日本代表フィジコ)まで札幌に来てくれるのか。頼もしや。ついでにマリオも呼んでGK(コーチじゃなくて)やってもらったらどうかね。……ところで加茂さんって、もう死ぬまで解説者なんだろうか。

 スペイン・リーグ第14節(12月13 日開催)、バルセロナは1-3でビジャレアルに惨敗。それも0-3にされてからジオバンニのゴールで1点返しただけ。ビジャレアルというのは、今季はじめて1部に昇格した(しかも昨季は2部4位)チームだそうな。バルセロナと試合すること自体が初めてだというのだから、カタルーニャ人が受けたショックのデカさも想像できるというものだ。ビジャレアルの選手たち、みんな目に異様な光が宿っていたね。たぶん、ブラジルに勝ったときの日本もこの日のビジャレアルみたいな状態だったんだろうなー。悲しみ漂うノウ・カンプ。スタンドを埋め尽くす抗議の白いハンカチーフ。どんな強豪も、自信をなくしたときの戦いぶりというのは惨めなものである。
 とはいえ、ボール支配率は7:3でバルセロナが圧倒。ちょっとだけ運が良ければ5点は入っていたはずだが、クライファートのどんぴしゃヘッドもセルジの豪快ミドルも、奇跡のスーパーセーブを連発する相手GKに阻まれる。GK出身のゲスト金子達仁は「このGK、生涯最高のデキなんじゃないでしょうか」と溜め息をついていた。一方、ビジャレアルのシュートは、どっから撃っても魅入られたようにバルサゴールへ吸い込まれてゆく。なんか俺、バルセロナがいとおしくなってきたよ。まるで阪神みたいなんだもん。いや、阪神ファンではないんだけどね。
 しかし、それでもクビにならないファン・ハール。スタンドで頭を抱える会長やら副会長やらの暗澹たる表情を見ていたら、すぐにでも「オランダへ帰れ!」と怒鳴りつけそうな感じだったけど、なんでそんなに執着するんだろう。クライフに嗤われるからか。とっくに嗤ってると思うけど。

 それにしても金子達仁、「あー!」とか「ぎゃー!」とか「うわぁぁぁぁ」とか、観戦中のメンタリティは「入ったったったったぁぁぁ」の杉山茂樹とおんなじである。ま、バルセロナには住んでたから特別な思い入れもあるんだろうけど。ともかく、書く文章が硬派だからといって、人格も硬派だとは限らないのである。サッカーライターの正体見たりサッカーおやじ。しかし、退屈な解説を聞かされるより楽しくて悪くない。サッカー事情に詳しい兄ちゃんと一緒に茶の間で見てる感覚。とりわけ倉敷アナとのコンビは絶妙である。

12月15日
 俺は決してヒマではない。それどころか、うんざりするほど年内にやるべき仕事が残っている。だからヒマではないが、朝、仕事場に来るとまだ眠いので、ウオーミングアップがわりにこの日誌を書いている。今朝はいきなりMacがフリーズしたので目が覚めたが。凍るほど寒かねーだろ。
 昨夜、撮っておいたペルージャ戦を(展開と結果は知っていたので後半の後半だけ)見た。終了後にリプレイされたラパイッチのゴールは、一昨日の吉原のVゴールに似ていた(ちょうどサイドを左右裏返しにした感じ)。しかし全てにスピードが1.7倍ぐらいあった。なんと遠い、ワールドクラスへの道よ。バルセロナが興味を持っているらしいと聞いたときには耳を疑ったが、あれを見るとラパイッチも捨てたもんじゃないと思った。

 ところで来年の南米選手権、U-25代表(without 五輪代表)を送り込むとかいう話だが、そういうことでいいんですか。せっかくの御厚意に対して、失礼な気がするのは俺だけだろうか。南米選手権みたいなガチンコ勝負の場には、ちゃんとフル代表で臨むのが礼儀ってもんじゃないのかね。だいたい、中田も中村も小野もいないU-25って、どんなチームだ。城と久保の2トップになるのか? うわお。何にしても、そんな、キリン杯に主力抜きでやって来たクロアチアみたいなまねを、日本ごときがやっていいわけがない、と思うぞ。いい機会なんだから、フル代表でどこまで戦えるのかやってみろよ。
 失礼といえば、このあいだちらっと見た米国×豪州の親善試合もひどかった。アメリカでやってんだけど、アメフトのグラウンドなもんで、ヤード数を表示したラインがうっすら(というか、かなり明瞭に)残っているのだ。MLSがいつもそうなのはやむを得ないとしても、外国の代表を呼んだときぐらい、ちゃんと消したほうがいいと思う。前線から最終ラインまでの距離とか、妙にわかりやすいけど。あ、だから「メジャー」リーグっていうのか。

 関係ないが、B.I.P.本誌で友人の編集者による連載エッセイ『大食日誌』がスタート。胸焼けするほど面白いので、是非ご一読を。

12月14日
 なんだ、新聞休刊日だから知らなかったけど、昨日の天皇杯、横浜Mも仙台に、C大阪も甲府に、市原も本田技研に負けたんですね。大荒れとか大波乱とか言いたいところだが、これだけ雁首揃えて負けるってことは、その程度のレベルと言ったほうが正確なんだろうな。ふん、だ。みんな、やめちまえ。

12月13日
 CSで23時から天皇杯3回戦コンサドーレ×ヴィッセルを録画中継していたので、当然、中田×エムボマ(ペルージャ×カリアリ)をうっちゃって観戦。モンテディオがガンバを下したと聞いては、札幌だって黙ってはいられない。燃やせ草魂。
 そして結果は、見事なリベンジであった。マラドーナはアルゼンチンへ帰り、バルデスも途中から引っ込んで最後はまるで2部チームのようなメンツになっていたが(2部なんだけど)、しっかり意地を見せてくれた。神戸の「幻の2点目」はオフサイドには見えなかったけど。目の覚めるような切り返しでディフェンスを2人抜き去ってエリアの外からぶち込んだコータ吉原のVゴールは、贔屓目に見ればワールドクラスだったぜ。すごいじゃないか吉原。ちょっと、なべやかんに似てるのが気になるが。とにかくこの勢いで4回戦も……と言いたいところだが、次の相手はジュビロである。ふう。ま、しばらくジュビロとも試合できないわけだから、一生懸命がんばろー。うおりゃー。

12月12日
 サッカーの実況に求められる最低限の使命は、ボールに触った選手の名をきちんと呼ぶことである。「左にサイドチェンジした」なんてことは画面を見ればわかるが、顔も背番号も見えにくいサッカー中継においては、そのパスがどの選手に渡ったのかが判別しにくい。
 俺の知るかぎり、その使命をもっとも(というか、ほとんど唯一)忠実に果たしている日本人アナウンサーは、倉敷保雄(フリー)である。ESPNやJ-Sportsが主な活躍の場なので、CSやCATVに加入している人しか彼の実況に触れられないのが残念だ。たぶんBS-1でたまに場つなぎ的に放送される「世界サッカー情報」(番組名は不正確かも)でテンポのよいナレーションを担当しているマイルドな声の持ち主が彼だと思う。ナレーターの名前がクレジットされないので断言はできないが。
 たとえばアヤックスの試合で、彼が「……フランク・デブール、オリセー、リトマネーン、ヴァンベルト、ヴァンベルト、ヴァンベルトォォォォ、シュート!」などと実況するのを聞いていると、そのリズム感が実に心地よい。名前を呼ぶタイミングが絶妙なのだ。単に選手の名前を知っているだけではなく、サッカーそのものをよく理解していないと、ああいう具合にはできないんじゃないかと思う。
 もちろん、名前を几帳面に呼ぶだけが彼の取り柄ではない。試合がダレたときに持ち出す話題は気が利いているし、ジョークもうまい。選手のプレイ意図を的確に表現する言葉も持っている。何より、ものをよく知っているのがすごい。サッカーの歴史から現在の最新情報まで、決して一夜漬けではなく身についている。解説者が「あ、そうなんですか」ということもしばしばである。とにかく、サッカーをこよなく愛していることが伝わってくるのが嬉しい。ちょっと口調がバタ臭い(J-WAVEのロバート・ハリスを想起させる感じ?)ので苦手な向きもあるかもしれないが、俺にとっては、ファンクラブがあるなら入ってもいいというぐらいのフェイバリット・アナである。
 ちなみに昨夜は、放送時間帯が少しずつ重なっていたR・マドリード×エスパニョール、コリンチャンス×サンパウロ、バイエルン×ボッフムの3カードが彼の担当であったので、どれを聞こうか(見ようか、ではなく!)迷って、またザッピングしてしまった。WOWOWも、彼を起用すればいいのに。俺はWOWOWの八塚浩(CSでも盛んに仕事をしている)の暑苦しさ、粘っこさが苦手である。
 ところで、これもCSやCATVに加入している人しか知らないと思うが、上野晃というアナウンサーの声、日テレの山下末則(世界陸上東京大会でカール・ルイスの世界新記録を実況した人)にそっくりなんだよなー。もしかして偽名でバイトしてたりするんだろうか。

 話は変わるが、リーガ・エスパニョーラって、もっと点が入るんじゃなかったのか。R・マドリード×エスパニョールも、その後にやってたA・マドリード×A・ビルバオも、ともにスコアレス・ドローだった。ゴールだけがサッカーの醍醐味ではないなんてことは承知しているけれど、もうちょっと何とかしてくれ。ちゃんと観戦していてもゴールシーンが見られない俺である。

 忘れていたが、アジア大会はUAEに敗れて2次リーグ敗退。ありゃまこりゃま。トルシエ、もはや運が尽きたか。それは尽きたのではなく、はじめから無かったということではないのか。
 この大会、2次リーグは1試合も観戦できなかったのだが、新聞(日刊スポーツ)だけで情報を仕入れていると、いかにマスメディアが激しくてのひらを返すかがふだん以上に実感できる。クウェート戦の後とUAE戦の後では、同じチームや監督について書いているとは信じられないぐらいの豹変ぶり。やはり自分の目で試合を見ないといけません。……ところで昨日の日刊スポーツだが、橋本聖子の結婚って1面で報じるようなネタなのか。まったく解せない。



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