『現在の肌タイプは、皮膚表面の皮脂成分と水分の量のバランスで判断をしています。どこの化粧品メーカーも 基本的には同じですが、基準としている統計データの違いや水分測定や油分測定の方法の違いによるものが 理由として挙げられます。』
『また、体調によっても、気温と湿度によっても水分と油分は変化しますから、結果としてやはり違うことが往々に してあります。カウンセリングがいい加減なのではなく、そもそも肌タイプは体調と環境によっても変化するものだと 認識して下さい。そして、季節の変わるとき、計ってみてもらい、一番多く判断される肌タイプに合わせて化粧品を 選ぶと良いでしょう。』
『現在まで、きちんと医学的に調べられたことがありません。ただし、遺伝する皮膚病があることから、皮膚の 性質はやはり遺伝するとみて良いのではないでしょうか。』
『しかし、どの性質が優勢で遺伝するのかわかりません。いま、最も妥当な考え方としては、どちらの親に似て いるかを判断して、似ている方の肌の性質を比較的多く受け継いでいると考えてみても良いでしょう。形に表 れる性質は肌にも高い確率で遺伝していると考えることが出来ます。つまり、シミやソバカス、ニキビは大いに 参考となるのではないかと思います。私の家族の実例から、ひょっとしてシワの出来方も似ている可能性があり ます。』
『親の顔を見て、将来の自分の姿とオーバーラップさせてみる。そして、トラブルや加齢の兆候があるのなら、 それを防ぐためのスキンケア、または健康管理をしてみてはいかがでしょうか。きっと、親よりも若く美しい肌を 維持できるはずです。』
(すみませんが、学識経験者の方で、この件で研究したことがありましたり、文献をご存じの方、教えていただ
ければ助かります。また、自分の家族をみて、この件でご意見のある方、是非、現状を教えて下さい。匿名で
公開し、肌と遺伝をディスカッションしてみませんか? 改めて、別のコーナーで話し合ってみたいですね。)
『混合肌とは、目や頬、口の周りはドライスキンなのに鼻の周りや顎、額はオイリースキンというような状態の 肌タイプをそう呼んでいます。化粧品メーカーにより、呼び方もコンビネーションスキン、ミックススキン、脂性 乾燥肌とか様々ですが、ほぼ同じ状態の肌タイプと言えます。』
『肌タイプについてアンケートを取ると、やはり多いのは混合肌タイプです。年齢を問わず多い傾向にあり ます。だから、すぐに、食生活や生活環境、ストレス社会の性で混合肌が増えているというのは、科学的に みて、早とちりではないかと思います。』
『まず、同じ条件できちんと肌タイプの比率を統計学的に調べられた結果ではないのですが、確かに混合 肌タイプと思っている人が増える傾向にあります。』
『しかし、肌タイプについての知識や関心が時代と共に高まっているので、アンケート上増えている事実も 考えておかなければなりません。そして、何より重要なのは、ほとんどの人が顔の部位によってキメや皮脂 の分泌量が違うことです。ドライ部位とオイリー部位のギャップがどの位有れば混合肌とするか、これは難し い問題です。化粧品メーカーによってこの基準が違うので混乱されているのでしょうが、化粧の崩れ方や テカリの出方の激しさ、化粧品が合わせにくいなどと思われている方は、混合肌と判断してアドバイスする のが現実的ではないでしょうか? 油分計で頬と額を計って差を見ることでも客観的に判断することがで きます。頬がドライスキンの皮脂量、額がオイリースキンの皮脂量だったなら、立派な混合肌でしょう。』
『天然植物性の原料で作られた化粧品は、肌に良さそう。反対に、化学合成された原料や、鉱物油を含む 化粧品って、なんだか肌に悪そうだと思われています。』
『確かに、イメージ的にはそう思われても仕方がないでしょう。ところで、鉱物油って油田から出た真っ黒い 原油のイメージを浮かべるのではないでしょうか?または、ガソリンや灯油のイメージでしょうか?』
『原油は精製されて、様々なタイプのオイルへと作られます。その中には、肌に安全性が高く、しかも乾燥を 防いでくれるワセリンも含まれています。皮膚保留性も高いので、薬用軟膏のベースとして使われて来まし た。良く知られているものとして、メンソレータムが代表的でしょう。もちろん、化粧品にも使われています。 J&Jの「ベビーオイル」は流動パラフィンという液状の鉱物油です。純度によって肌への安全性も違います が、現在はどこの化粧品メーカーも高純度の石油系オイルを上手に使いこなしています。』
『鉱物油のイメージが原油から離れない以上、あえて積極的に高純度鉱物油原料配合って宣伝しても、決し て良い効果はでないので、これからも表には出ないでしょう。それでも、非常に扱いやすい、スキンケア効果 の高い化粧品原料です。逆に、鉱物油を含まないことのみを特徴にして、鉱物油が悪者と言い過ぎるのは、 化粧品原料の基本的知識がない為でしょう。』
『この質問は本当に聞きたいことですね。やはり、一番効く商品を選ぶのに、配合成分は気になります。』
『今年も、ルシノールという成分が新たに市場に登場しました。化学的にはレゾルシンの誘導体で、チロシ ナーゼの働きを抑えてメラニン色素を作らないようにする美白成分です。』
『現在、医薬部外品というカテゴリーの中で、美白効果を言うための主成分は、ビタミンC及びその誘導体、 コウジ酸、アルブチン、プラセンタエキス、エラグ酸、そしてルシノールが使われています。働きは、みな同じ く、メラニン色素合成する酵素「チロシナーゼ」の働きを抑えることです。現在は、この働き意外では美白効 果として薬事法的には認められていないのです。』
『ところが、美白の研究はどんどん進んでおり、メラニン色素の合成をコントロールする方法はたくさんあり、 実際は複雑ですが、微妙にお互いが作用を連携してコントロールしているのです。まだ、解っていないことも あり、今後新発見されることも十分にあります。』
『このような現在、美白成分は安全性と効果を充分考慮して許可されていますから、最終的にはほぼ同じ 効果性になると考えられます。後は、どのような他の美容成分と組み合わせるか、と、肌への浸透を考えた ベースの作り方により決まります。この辺が、各社のノウハウや特許があり、効き目の違いになるのです。 各社、それぞれ努力して開発をしていますので、成分的なこともあるでしょうが、自分の肌に合って、しかも 感触が良く、使い続けやすい商品を選ぶことが重要でしょう。つまり、主剤となる美白成分だけで効果は 決まらないのが現状の美白商品ではないかと思います。』
『若いうちから高価な高効果化粧品を使うことに対する素朴な疑問として良く聞かれます。』
『一見、納得性のある言い分ですね。肌を甘やかすという定義がやはり人間的な解釈で、この疑問はここに 重要な論理の仕掛けがあります。逆に、若いうちから高効果の化粧品で肌を鍛えておくと、老化しにくい若々 しい肌にしてくれると考えてみるとどうでしょう。つまり、化粧品は肌を甘やかすのか鍛えるのか? 十分な、 研究がこの点でされていませんので結論は出せませんが、私の考えとしては、若い時ほど鍛えてその効果 が出せるように思えます。つまり、加齢の影響が出始めると、元に戻す状態に回復することがメインとなり、 プラスよりマイナスの解消に多大な作業をしなくてはなりません。』
『鍛えるという言葉が、やはり解釈が難しいのですが、筋肉や脳の場合に置き換えると、それぞれに鍛え時 があるように、肌にもあると考えてみた方が生理学的に納得しやすいと思います。私の推論では、思春期の 性ホルモンのアンバランスが解消して、肌の機能が落ち着いた頃だと思います。ただし、スキンケアは毎日 続けて行うという習慣が大事なので、経済的に無理のない商品とシステムを選ぶことだと思っています。』
『まず甘草という薬用植物ですが、グリチルリチンという炎症を抑える成分を含んでいることから昔から化粧品 によく使われていました。もちろん、医薬品にも多く使われています。喉の痛みのトローチや目薬にも処方さ れていますので成分表に書かれている商品も多くあります。』
『ところが、甘草(マメ科の植物)は世界中にたくさんの仲間があり、ほとんどがグリチルリチンを含んでいますが その他にも有用な成分を含んでいることが発見されました。その代表が美白効果をもつ成分で、グラブリン、 グラブリジンという名前です。かなり強いメラニン色素の合成抑制効果を持つ成分です。そして、これらの美白 成分を多く含むエキスを作る抽出法が、油を使って溶かす方法だったので「油溶性甘草エキス」と呼ばれて 化粧品メーカーに紹介されたのです。』
『しかし、始めてこの美白効果をもつ甘草エキスに着目し製品化を大々的にしようと考えていた化粧品メーカー は、何とか新しく呼び名を付け、今までの消炎効果の甘草エキスと差別化を考えました。そこで、美白成分を含 む種類の甘草がロシア付近に産出していたことに着目して「ロシア産甘草エキス」と名付けて市場デビューさせ たのです。タイミング的に、当時はまだソ連と呼ばれていた時期で、商品がデビューしたときがソ連の崩壊した 年で、「ソ連産甘草エキス」と名を付けなくて良かったと、名付けた商品開発者は冷や汗をかいたということです。 その、商品開発者とは実は、私ですが・・・。』
『ということなので、「ロシア産甘草エキス」も「油溶性甘草エキス」も同じエキスで、美白効果をもつ甘草エキス です。このように、同じ成分でも、化粧品メーカーは、よりわかりやすく、しかも他社との差別化を図ろうと努力を していますので、様々な名前を付けて訴求しています。逆に、分かり難く、混乱の元になっている場合もあり、 反省もしています。何時か、このような実例を取り上げて、わかりやすい一覧表でも作ってみます。』
『界面活性剤が肌を傷つけると、よく言われていますが、ここには大きな誤解が含まれています。そもそも 界面活性剤にはたくさんの種類があり、働きも肌への刺激性も様々です。もちろん、化粧品に配合する場合 安全性に気を付けて、刺激がほとんどでないような種類や組み合わせ、使用量となっています。』
『界面活性剤とは、水と油のような溶け合わない物質を混ざりやすいようにしてくれる成分です。水と油を混ぜる とすぐに分かれて間にはっきりと境界が見えますね、これを「界面」といいます。安定した界面を活性化して不安 定にして混ざりやすくする成分を界面活性剤と言います。だから油が水に溶けるように白く濁って入っていきま す。もちろん手を洗う石鹸成分は界面活性剤です。石鹸は洗い流しますので肌に残らず刺激がないのですが、 万が一、洗いが不十分なら石鹸成分が肌に吸収されて刺激が出ます。』
『一方、化粧品を作る上で欠かせないものに水と油を混ぜてクリームや乳液を作ってくれる「乳化剤」も界面活性 剤の仲間です。現在は多くの安全性の研究から、低刺激性の乳化剤、適正に配合し、優れた乳化機械を使って いますので、乳化剤が原因で肌トラブルを起こすことは少なくなっています。卵の黄身や大豆から取れるレシチンも 天然の乳化剤です。これらの乳化剤を基礎研究により上手に処方することで、安全性が高く、肌なじみのよい 化粧品を作っているのです。』
『乳化剤は水と油を細かく混ぜて乳化している状態では、刺激性が減っていることも解っています。乳化の温度や 混ぜ方によっても少ない配合量で効果的に乳化する技術も発達してきており、現在では乳化剤による肌トラブル は、かなり少なくなっているはずです。他の界面活性剤も適切な量を配合するか、洗い流し等の使用方法によっ て、結果的に刺激の少ない商品化をして、化粧品そのものの効果性を高めています。だから、現在では、単に 界面活性剤を含んでいるかどうかで安全性の判断はできません。逆に、界面活性剤を使っていないから安全性 が高いとも言えないのです。安全性は、化粧品を作り上げているすべての成分が関わって決まるのです。』
『お化け屋敷の季節もそろそろ終わりです。このくらいなら大丈夫でしょうが、危うく交通事故で死にかけたとか 山で道に迷い遭難してやっと助かったとかのような、極度の恐怖体験をしたとき、髪の毛が真っ白になったと 言う話は良く聞きます。私の身の回りには、そのような体験者がいないので実際に確認していないのですが、 皮膚科学的に考えてみますと、恐怖体験で一夜にして髪が真っ白になることはありません。』
『ただ、考えられることとして、強いストレスを受けたとき、毛髪の根本、毛根部にあるメラノサイトという色素細胞 がメラニン色を作らなくなったり、毛母細胞にメラニン色を分泌でき無くなくなることはあり得ます。そのため、し ばらくして、白髪が一斉に生え出すことはあります。ただし、早くともメラニン色素のない毛母細胞が毛髪に変化 して頭皮の上に出てきてからわかるので、2から3ヶ月くらい経たないとわかりません。』
『一夜で白髪に変化する話は、恐怖体験後、ショックから立ち直り、数ヶ月してから人に会うことが多かったので
会った人は、いきなり髪の毛が真っ白になった当人を見ることになるからでしょう。』
『ニキビが出ると、どうしても隠したくなるものです。もちろん、程度によりますがファンデーションで目立たなく することはできます。そこで、次に述べることを気をつけていただければ大丈夫です。』
『まず、皮膚科などの病院に通っている方は必ずお医者さんに相談して見て下さい。実際に、ファンデーション をつけることで、ニキビの治療が遅れたり、悪化してはどうしょうもありません。その判断はお医者さんの仕事 なのです。また、どうしてもこのままの顔では外に出たくないし、どうしたらいいかきちんと聞くことです。最近の お医者さんの中には、そのような患者さんに理解を示す方もかなり増えています。』
『通院していない人は、まず、必ずファンデーションをつける小道具、つまり、スポンジやマットは毎度きれいに 洗って使って下さい。その為には、2つ以上の小道具を用意しましょう。なぜなら、一度使った小道具に肌の 角質や皮脂が付いて、そこにニキビを悪くするバイ菌が繁殖して、それがニキビに付くことを防ぐことです。 また、触れて痛痒いニキビのできているところは、軽く抑えるようにつけて下さい。もちろん、油分の多いファン デーションはさけて下さい。ノンオイルか油分の少ないファンデーションをつけて下さい。ファンデーションの上 につけるパウダーなどもパフを清潔な状態で使って下さい。』
『それから、化粧をしてニキビが増えたら、まずは止めてみて下さい。それから皮膚科に行って正しい治療を 行って下さい。ニキビが悪い方向に行くときは、やはりお医者さんの出番なのです。でも、女性が化粧をする ことに理解あるお医者さんに出会えるように努力してみて下さい。』
『化粧品は肌をいつまでも美しく保つのが目的ですね。できれば今以上の美しさを求めるのは当然のこと です。それに答えるべき商品を多くの化粧品メーカーが研究し製品を作っています。私も、研究所時代 に一番最初にそのような疑問に悩みました。結論から言うと、肌を美しく保つ目標に向かって進む道は 1本ではなく、いろいろな道があり、それぞれの特長や個性があることでした。毎日楽しく使えて、肌が 満足できるような、最も合っている化粧品と使用方法が、今の貴女に最も良いのです。』
『また、各メーカーは決めた使用順序に従って、商品の感触や効果を作り上げていますので、本来なら 化粧品メーカーの奨める使用順位が一番合うのですが、肌の状態、使用感の好みの違いなどにより、 もっと良い組み合わせもあるでしょう。そう言うわけで、自分で商品の組み合わせや順序を決めている方も たくさんいらっしゃいます。結果として肌とスキンケア習慣に合っていれば良いのです。』
『でも、商品開発者の立場から言わせてもらえれば、自信を持って開発した商品と使用順序と使用方法が 一番と思っています。まずは、サンプルなどをもらって、メーカーの言う順序で使ってみて、納得いかな ければ相談の上、変えてみるのもいいでしょう。』
『最後に言い忘れましたが、スキンケアの方法論は何通りもありますが、やはり、方法論にこだわりをもち 科学的にアプローチして、職人感覚の製造方法を失わないメーカーは強いですね。このような、メーカー は、国内でも海外でもあります。私も、他社商品の研究をするときは参考にしています。』
『能書にも書いてありますが、アレルギーを全く(100%)起こさないという意味ではありません。低刺激性 の商品であることを示すために用いている表現方法です。安全性、特にアレルギーを起こし難い配慮が されている指標の一つであると考えて良いでしょう。』
『そして、アレルギーテストも実際は幾つかの方法があり、メーカーによって統一はされていませんので 同一基準で考えるわけにはいきません。動物テスト、アレルギー患者への使用テスト、又、最近の動物 愛護の傾向から開発されている培養細胞を用いたテストなど、様々なテストがメーカーのポリシーによっ て選択され、その結果からアレルギーを起こしにくいと判断されたときに「低アレルギー性化粧品」と定義 します。もちろん、その基準は皮膚科医師や安全性関連の研究者によるアドバイスを受けて、メーカーが 独自に決めます。したがって、安全性が高いことは間違いないのですが、100%アレルギーを起こさない 訳ではないし、メーカーによって安全性の基準が違うので単純な比較は難しいのです。』
『私の意見ですが、このような表示で安全性の訴求をした、最初に始めたメーカーにとってはマーケティ ング的にも意味性がありましたが、現在ではあまり意味性は無いと考えます。その理由として、このような 表現をしている化粧品がたくさん増えて、安全性の訴求効果が薄れていると考えられるからです。むしろ このような表記がされていないと安全性の保証がされていないと消費者に思われてしまうことは、大変な 安全性への誤解を生むからです。』
『化粧品の開発においては、原料から処方を組み立てるまで、アレルギー性を含め、数段階の安全性テスト を行っていますので、全ての商品に安全性は考慮されています。その中で、100%アレルギーを起こさない という誤解を招きやすい表記で、特別に安全性を訴求することは様々な問題性を含んでいます。特に、100 %アレルギーを起こさないことは、皮膚医学的にも証明は不可能ですし、安全性の基準もメーカーによって 違うなら、やはり誤解を生む表記はしない方向で対処すべきと思います。』
『結論から言いますと、肌に良いものは吸収され、肌に悪いものや吸収される必要ないものは入って いかないのです。研究者は、そのようなことをいつも考えて処方を研究開発しているのです。』
『化粧品は医薬品ではありませんので、肌に吸収されても作用のやさしい成分を安全な配合量で処方 しています。成分のほとんどは角質層に吸収されて保湿効果、保護効果、柔軟効果、肌のキメを整える 効果を発揮するのです。但し、ビタミンCやコウジ酸などの美白成分は表皮の深部にいるメラノサイトと いう色素細胞まで届くことが、様々な実験で確認されています。ビタミンEやニコチン酸(ビタミンBの 仲間)などの成分では、真皮まで吸収されることが確認されています。考えてみれば、医薬品である軟膏 が、皮膚病に効くのは有効成分が吸収されるからです。このことを考えれば、配合成分やその他のベー スを作っている成分によって、意外に多くの成分が皮膚から吸収されることが理解できるのではないでし ょうか。このように、経皮吸収の研究は私たちにとって関心の高いテーマの一つです。』
『よく聞かれることですが、クレンジングをしないとファンデーション等のメイク料が肌の中に入ってしまい 肌を荒らすと言われますが、このことは大いなる誤解です。ファンデーションの色素は、肌に吸収され ない大きさの粒子です。ただし、現在、化粧品のラベルに書いてある「赤色***」とか「黄色***」 と書いてある色素は、粒子ではなく水や油に溶ける色素なので、少しは吸収される可能性があります。 現在は、そのような色素でアレルギーを起こしている人は少なくなりましたが、まず、新たにアレルギー を起こす可能性はかなり低いものになっています。研究者は配合量や大きな粉体粒子に染めたり、くっ つけたりして肌に入らないように努力しています。もちろん、きれいな色が出せることも考えてです。』
『各化粧品の研究者や皮膚科医の臨床データにより、肌に入って良い成分、入ってはいけない成分の
報告が多くなされています。いつも最新のデータを考えて肌を若々しく、そして美しくするための化粧品
が研究開発されているのです。』
『古代より化粧品はもともと天然成分から作られていました。ところが科学の発達により石油や天然の素材を
使って、新たな合成成分を発明し医薬品や化粧品に採用され始めました。価格的に安く、純度や原料の
性質(物性ともいいます)が安定し、品質の良いものが作られることが大きな利点です。ただし、天然素材の
複雑で微妙な多数の成分がもつ感触や美容効果のあるものも多く、完全に全てが化学合成品で置き換わる
ことはできません、今の科学技術を持ってしても。』
『では、全て天然成分にすればいいと思われますが、実際は合成品と天然成分の両方をうまく処方すること
のほうが良いようです。安定性、原料の将来的な確保などを考えてみても、環境保全の立場がより強く言わ
れる現在、合成成分の比率が高まるでしょう。』
『ここで、誤解して欲しくないところは、化粧品に使われる化学合成成分は刺激性から胎児への影響や発癌性
に関する安全性を厳しく検査して始めて採用されることです。最近では、環境への影響も考慮して、地球に
やさしい原料への移行も進んで来ています。よって、合成成分は、元々自然界にない成分だからといって
危険性が高いと決めつけるのは、非科学的な考えです。もちろん、使い方によっては皮膚への刺激性が
あることもありますが、この点は天然成分も全く同じことです。』
『あと、天然成分には肌への有用な成分を多く含んだものが多いのは事実ですが、同時にアレルギーや
光毒性をもつ成分も含んでいるものも多いのです。柑橘類はその代表的なものです。レモンのスライスで
美白パックは危険きわまりないお手入れ方法です。もちろん、人により問題ない方も多く、だからと言って
全ての人に当てはまるという考え方が危険なのです。一度、皮膚にトラブルを起こすと、対処方法によって
は、跡を残すこともあります。化粧品は、薬事法という法律でも皮膚に作用が緩和で、効果のための副作用
(刺激)があってはならないものです。そこで、天然成分と言えども、危害の可能性を持つ成分をできる限り
取り除いて使う努力を続けているのです。』
『このような話は良く聞きます。しかし、医学的な根拠は無いようです。確かに、肌は体の健康をあらわす
鏡だと言われていますから、ニキビのできる原因が体調にある場合もあります。とは言うものの、できる場所
によって体内の原因箇所まで表すことは、どう考えても科学的に無理があります。』
『「思い、思われ、振り、振られ」というニキビ占いに似ているかも知れません。しかし、ニキビができている場所
で、ニキビの原因が解ることもあります。一番多いのは、髪の生え際やフェイスラインのエラや首にかけての
部位です。この場合は、シャンプーや洗顔料のすすぎ不十分で起こることもあります。すすぎを丁寧にしている
かどうかチェックしてみて下さい。また、額では、ヘアースタイルにより、髪の毛先が当たっていませんか?
髪の毛先でつつかれて、その刺激がニキビを増やしていることもあります。』
『また、左右の出方に違いはないでしょうか?例えば、どうも左より右側のフェイスラインやこめかみに多いと
いう場合ですが、利き手で無意識的にニキビの部位を触ってはいないでしょうか?やたら手でニキビの部位を
触るのは、雑菌が付いたり、炎症をかえって広げてしまったりします。友達や家族に注意してみてもらい、
そのような癖があったら、できる限り意識して触れないようにしましょう。触れる回数が減るだけでも、改善に
向かいます。』
『現在、臨床的には思春期の最初にできるニキビは額を中心にできて、年齢と共に顔の中心部から頬、そして
顎やフェイスライン、場合により首の近くまでとニキビ前線が顔を下ってくると言われています。理由ははっきり
解明はされていませんが、年齢と共に、というより、第二次性徴という大人の肌になっていく過程で、肌の
ホルモン感受性が変化するのではないかという説が有力のようです。また、ストレスはニキビを悪化させる
ことも言われています。ニキビはいつか必ず治るものです、こじらせて跡を残すことの無いように、かえって
開き直ることも、早く直すコツです。』
『化粧品は医薬品でありませんので、美容成分も医薬品として扱うわけではありません。したがって、
美容成分を原料そのまま使うことは、オリーブオイルなど一部の原料を除いてありません。メーカーに
よっては原液といって、その効果が高いというイメージで訴求している場合がありますが、たとえ使用し
ても、濃い分だけ効果を期待できるものではありません。逆に、皮膚に対する刺激性も出る場合も
考えられます。』
『化粧品は、美容効果だけでなく、使用目的に合わせ、使用感と安全性も考慮しなければなりません。
また、特定の原料だけ(美容成分も含め)の特性を100%だしても、化粧品としてのバランスを崩して
あまり良い品質のものができないことが多いのです。そこが化粧品の開発をしている部門のテーマで
いつも研究開発をしているわけです。』
『一つの例を挙げてみますと、ヘチマから採れたヘチマ原液ですらそのままつけても化粧水として
快適なものでもありません。水よりはしっとりしますが、肌なじみをよくするグリセリンやアルコールを
適度に配合し、防腐性を考えて防腐剤は必要なのです。冷蔵庫に入れて保管すればいいと思われ
るかも知れませんが、カビが生えて来る可能性もあります。快適に使えて、効果も安全性もある化粧品
をつくるノウハウは、やはり化粧品会社の研究者にあります。』
『ただし、おことわりしておきますが、市販されている化粧品でも「***原液」という商品がありますが、
この場合も決して原料そのままと言うわけではないと思います。私の考えとして、効果性のみを訴求する
ために、美容成分を原料そのまま使うことは、化粧品では無いと思いますし、訴求するほど化粧品として
の効果は期待できないと考えています。』
『スキンケアの基本はその日の汚れはその日の内に取り除くことですね。クレンジングと洗顔は
そう言うわけでスキンケアの最初のステップです。しかし時として、帰宅が遅く疲れたりしてファンデーション
を落とし忘れることもあります。この時、肌にとって何が悪いのでしょう?』
『よく言われるのが、ファンデーション自体の肌への害です。でも、これは大きな誤解の一つ
です。ファンデーションを作っている原料は安全性が高く、そのもの自体で皮膚には害がない
のです。そして、ファンデーションに含まれている色素の主体は経皮吸収されない大きさの粒子です。
だから肌に入って色素沈着の元になることはありません。』
『問題は、ファンデーションをつけて肌の上に化粧膜ができた後に、空気中の汚れが吸着され、そこに
分泌された皮脂や汗が混ざってしまうからです。つまり、クレンジング、洗顔は化粧膜と一緒についた
汚れをしっかり取って清潔にするわけです。汚れ成分が肌に何らかの悪影響を与えるのを防ぐことが
重要なのです。』
『また、ファンデーションが肌を被っていると、夜中に、肌が生まれ変わる時に皮膚呼吸を妨げて
健康な皮膚の回復を妨害するとも言われます。これについては「皮膚呼吸」に誤解があります。人類は
すでに皮膚呼吸の比率は肺呼吸に比べてほとんどないに等しいのです。「皮膚呼吸」は妨げられる
ことはないのです。しかし、先に話したように、ファンデーションに吸着した汚れが肌にとって良くないので、
付けたまま寝てしまうと皮膚の代謝に良くありません。クレンジング、洗顔はやはり抜けないお手入れ
なのです。それから「皮膚呼吸」については、また改めて話していく予定です。』
『洗顔するとき使う水はぬるま湯で、人の肌と同じ温度のお湯が良いと言われています。でもよく
考えると変な話です。夏は冷たい水で洗う方が気持ちよいし、冬は少し熱めのお湯が気持ちよい
時だってあります。又、人によってお湯が気持ちよかったり、逆に嫌いだったり様々です。しかも、
人肌の温度って何度でしょう?熱さ冷たさを感じるのは皮膚の中の温感を感じるセンサーと言うべき
神経末端装置があります。その感度も様々ですし、環境温度に適応するのでやはり変化しています。
熱くもない、冷たくもない丁度良い温度のことでしょう。とは言うものの、そのような温度に合わすのは
結構大変。忙しい最中、かまってはいられないですね。』
『理屈上は合っているように見えますが、実用的な理論ではないようです。現在の洗顔料は水温に
よって洗浄力は極端には変わらないように作られていますし、肌の方でも、そんなにシビアに温度
の差を大変だとは受け取りません。十分に温度差による影響は耐えられますし、しょっちゅうでない
限り問題はありません。』
『要は、使う人にとって一番気持ちよい温度で良いのです。結果としてはぬるま湯を選ぶ人が多くても
、ぬるま湯でなければならない科学的根拠は無いのです。美容上よく言われる格言のような理屈の
中には、よく考えると、実用的に疑問をもつようなものも多く、いわば「美容迷信」もあるようです。得てして
、素朴な疑問の中にはそのような物も多いといつも思っています。』
『そう、ちょっと言い忘れがありました。暖かいお湯で洗うと、毛穴が開き、油汚れは出やすくなり、洗浄
しやすくなるのは確かです。でも、冷たくとも、しっかり泡で洗えば結果は同じです。あと、水温そのもの
の働きで、温かいお湯は血行促進効果、冷たい水は引き締め効果があります。でも、このようなトリート
メント効果は後に来るスキンケアの工程で行いますので、あえて洗顔では必要な条件では無いでしょう。』
『肌のキメを簡単に言えば、肌の上にある規則的な凸凹模様です。厳密には規則的ではないので
すが。その凹凸模様を作っているのが毛穴と皮溝という凹の部分、そして皮丘という凸の部分です。
毛穴は皮溝と皮溝が交差する部分にあります。ただし、これは人の場合ですが。』
『そのような凹凸の模様がはっきりとして、しかも不規則性が強いと、いわゆるキメが粗いと言われる
状態です。逆に、凹凸模様が規則性が強く、皮溝や毛穴もそんなに目立たなければキメが細かく
見えます。ところが凹凸模様が見えないと皮フらしく見えず、ぴーんと張った状態にみえます。鼻の
頭の部位がそうですね。毛穴しか見えません。』
『そして、この凹凸模様は各部位で微妙に違ってきます。鼻の頭を先に例として取り上げたように、
毛穴しかない部分、模様の要素として三角形が多い部分、四角形が多い部分。模様の大きさや、
皮溝の深さ、毛穴から出ている産毛の太さなど、各部位で違います。この違いは同じ部位でも、
人により違うものです。まるで、指紋のように。そう、指紋も毛穴こそありませんが皮溝が等間隔に
並んで渦を巻いたり、曲がりくねった状態に出来ています。これらの凹凸模様は生まれつきのもので
、後は切り傷や、加齢によるシワで次第に崩れていきます。』
『顔についても当然、部位により凹凸模様が違うので、キメも違ってきます。特に顔は骨格も凹凸に
富み、しかも表情筋により激しく皮フが運動しますので部位間のキメの違いは体よりも激しいかも
しれません。但し、マクロ的に捉えると、皮フの目立つ部位、頬、額、鼻の周りのキメがその人の顔
全体のキメの印象を決めていると考えられます。ヘアースタイルにより額は見えたり見えなかったり
しますが、このような目立つ部位のスキンケアとベースメイクの仕上がりは特に気を付ける場所なの
です。鼻周りの毛穴の黒ずみは最近ますます気にする人が増えましたが、そこだけではなく、頬や
額も同様に気を付けて下さい。』
『よく言われるのが、目の周りは皮フが薄く、乾燥しやすくて一番痛みやすい部位だから、小じわ
などのトラブルを起こしやすいことです。しかし、もっと正確に言うと、単に皮フが薄いのではなく、
まばたき等で皮フが伸び縮みしやすい構造になっているからです。つまり、伸び縮みできるように
皮フはきめ細かく折り込まれていることです。そして乾燥しやすいのは、目の周りは皮脂腺が少なく
油分不足を起こしやすいからです。』
『油分不足の為に乾燥し、硬くなると、伸び縮みのきめ細かい折り込み構造に「ひずみ」がおこり、
深くなった部分と浅い部分が差が大きくなるのです。例えて言いますと、硬い紙はクシャクシャに
丸めると、たくさんのシワ(折り目)が付きますが、柔らかい和紙を同じようにしても折り目が少ないし
目立たないことと似ているのです。』
『また、最近は目の粘膜に花粉アレルギーが起こり、その為に炎症が目の周りの皮フまで広がり、
痒くカサカサになってしまう場合も多いので、なおさらです。炎症が長引くと、その部位の皮フは
とても乾燥しやすくなってしまいます。この場合は医師の診断と治療が必要です。炎症を長引か
せれば、そのまま加齢を進めてしまいます。』
『単なる乾燥から小じわが目立ってきたときは、油分補給をしてくれるアイクリームが一番よい
お手入れ方法です。もちろん風呂上がりの時が効果的ですね。肌表面の角質層が柔らかくなって
うるおい成分が深くなじんで柔軟効果が持続します。油分フリーの美容液や化粧水でも付けたときは
柔らかくふっくらとしますが、効果の持続という点では期待できません。もちろん、その後でクリームを
付けるならば効果は充分です。』
『ニキビは青春のシンボルと言われ、12歳から18歳の思春期に出てくる皮膚トラブルでしたが、
どうも年々20歳を過ぎてからニキビが出きる人も増えているようです。科学的に比較できるデータは
有りませんが、電車の中でみるOLの方々を観ると、そのような感じがします。化粧品販売店の
方に聞いても、お客様の中で20歳を過ぎてニキビに悩んで来られる方も多いと言われます。』
『医学用語ではありませんが、一般に20歳を過ぎて出来ているニキビを「アダルトニキビ」と言って
、思春期の頃のニキビと区別されています。やはり、思春期の頃のニキビと様子が違うし、比較的
治りにくく、原因も違うようです。』
『本来なら明解に答えたいのですが、皮膚科医師の方々に聞いたことがありますが、原因は複雑で
治療方法は難しい部類の皮膚病だと言われました。原因としてはストレスによるホルモン分泌バラ
ンスの乱れ、間違った化粧品の使用、ビタミン不足になりやすい食生活、アトピー体質、無意識的に
手で触ってしまう癖、その他まだ解らない原因の組み合わせで起こると考えられています。医師が
治療に手を焼くのは、患者さんの方にも原因があって、長引く治療と、治療効果がなかなか見えないと
すぐ他の皮膚科病院に移って、結局また最初からやり直しとなること。そして、生活習慣を変えていく
アドバイスをなかなか聞いてもらえないことにもあるようです。この辺は、医師との信頼関係が大きく
左右しそうです。』
『とはいうものの、ニキビで死に至ることはないし、結局時間が解決をして、いつの間にか気にならなく
なるほどに治ってしまうことも多いのです。しかし、悩んでいる期間は長いし、納得がいく説明も、なかなか
してもらえないのでニキビが出来ている本人は大変です。また、職場が変わったり、結婚をして生活
環境も、心理的環境も変わって良くなったという人もたくさん知っています。ここに解決のための重要な
ヒントがありそうです。』
『私のアドバイスとしては、まず見た目には本人が思っているほど他人にはひどく見えないという傾向が
あるので、隠そうとしないことを心がけてみて下さい。薄化粧でもずいぶん目立たなくなります。それから
ニキビの出来ている部位を清潔に保ち、乾燥を防ぐこと。知らずに手で触れる癖がありそうなら、
意識して触れないような努力をすることが基本です。あと、膿んでいたり、痛がゆくて気になってしまう
場合は、必ず皮膚科医師に診断を受けて治療をして下さい。治り方も早く、ニキビ跡を残さないようにする
為には、まず以上のことを心がけて下さい。複合原因と考えられますので、原因を一つ一つ無くしていく
努力と、時間がかかることを覚悟して、ある程度開き直ることも結果として良い方向に向かうと思います。』
『化粧品は毎日使っても肌に悪影響が絶対あってはいけないものです。薬事法という法律でも、その
ように定義されています。そのように作られている化粧品は、使用方法さえ間違えなければ肌には
悪影響は出ないのです。使用量、使用回数などの目安、特に洗い流しタイプかふき取りタイプの区別
は重要ですので能書をよく読んで下さい。この点さえ気を付ければ、基本的にはメーカーの違う
化粧品を自由に組み合わせても問題はほとんど無いのです。』
『ただし注意点として、いくら安全性が高いと言っても、人によって、或いは体調や環境の変化によ
って時に肌が赤くなったり、かゆみや痛みが出てしまうこともあります。その場合は、肌のトラブルが
おさまってから使います。使う化粧品の数も洗顔料と乳液やクリームなどの保湿用の化粧品くらいに
とどめておきます。』
『化粧品の基本的な効用は、肌を清潔にして、潤いを与えて健康な状態を維持することと、よりきれ
いに彩ることです。前者がスキンケア化粧品、後者がメイクアップ化粧品です。これら全ての化粧品を
ひとつのメーカーに統一して使っている人の割合は少なく、多くの場合は自分の好みや肌との相性に
合った数社のメーカーの化粧品を組み合わせて使われています。それで何ら肌トラブルを起こして
いなければ問題は無いわけですが、でも本当に大丈夫かどうか少し不安を持ちながら使っている方が
多いので、今回の疑問が出ているようです。』
『化粧品を開発する場合も、そのような現状を認識して他社品との組み合わせによる使用状況を考えて
安全性を確保するようにテストされています。もし、何らかの組み合わせでまずい場合があれば、能書の
注意事項に書いてありますので、必ず読むようにして下さい。』
『あと、始めて化粧品を使う場合は、やはり肌の状態を見て、肌にあった化粧品のサンプルを選んで
もらい、出来るだけ同じメーカーの化粧品にする方がいいかも知れません。やはり最も良い組み合わせ
としてメーカーが努力して開発した化粧品ですから、きっと使い心地もよいはずです。』
『防腐剤とは雑菌が入って腐らないように製品を保証する成分です。化粧品でよく使われている
ものに「パラベン」という種類の防腐剤があります。配合されている商品のラベルに表示してあり
ます。「パラベン」には数種類あって、配合の組み合わせや、配合量を様々組み合わせて使われて
います。肌への安全性も充分に確認されていて、現在はかなりの安全度を見越して使われて
います。また、製品に処方されている様々な成分との相性も研究されていて、たくさんのデータに
裏付けられているので使いやすいのです。』
『防腐剤のイメージとして、細菌を殺すから、同じ生物である人体にも何らかの害があるに違いない
と思われやすいのですが、ここに大きな誤解があります。現在、化粧品に使われている防腐剤は
、無差別に生物を殺すものではありません。細菌だけがもつ特殊な性質に着目して、ある程度、
選択的に殺すのです。このようなことを薬学的に研究をして、更に実際に細菌を用いてテストをし、
化粧品への配合量が決まります。その後、パッチテストなど肌への安全性を確認した上で商品化
されているのです。』
『化粧品が細菌によって汚染され、成分が変質すると、その中には有毒な成分もたくさん作られて
しまうことがあります。汚染した細菌の種類により毒性の強さや性質も様々です。また、指でクリー
ムを取るときや、ふたを開けて使用しているときに、雑菌は入り込んできます。その為、化粧品の
保証として、入り込んできた徐々に雑菌が死滅するか、繁殖しないようにしておく必要があるのです。
どうしても防腐剤の入っていない化粧品を使う場合は、きれいに使うように気をつけて下さい。腐敗
のような変臭は菌汚染された時の一つのバロメータです。購入したお店かメーカーに問い合わせて
みて下さい。』
『SPFは「Sun Protection Factor」の略で紫外線に対する防御力を示す目安の数字です。目安と
いうのは、紫外線に対する素肌の防御力は個人差や日焼けの履歴などによって大きく変化する
為、それを考慮しているからです。ということは、SPFに対する正しい知識をもって、自分にとって
今必要なSPF値を知り、紫外線に対処する必要があります。そうすれば、何が何でもSPF値が
高い方が良いとは言えないことがわかります。』
『それではSPFについて説明します。まずSPFの基準となる数字があります。それは、MED(最小
紅斑量)というのですが、何もつけないで紫外線を浴びて赤く焼け始める時の紫外線量です。
このギリギリの日焼け紫外線量が基準になって、その何倍日焼けを防ぐことが出来るかという
のがSPFの数字の意味です。この場合の紫外線はUV−Bという、日焼け後数日して黒くなる
作用をもつ紫外線が対象となります。』
『分かりやすく例をあげて説明します。何もつけないで5月の連休の晴れた日の正午に20分ほど外出
した時、夕方うっすらと赤くなっていたとすると、先ほどのギリギリ日焼け紫外線量がほぼ20分と見て
良いでしょう。そのような肌の場合、SPF10の日焼け止め化粧品を使うとすると、その化粧品は、
5月の連休の晴れの正午の紫外線に対し、20(分)X10(SPF)=200(分)というような計算で
200分浴びても大丈夫だということになります。つまり3時間と20分外出しても日焼けしないことに
なります。このように紫外線の量を日に当たる時間で簡易的に計算をします。』
『さて、ここで気をつけることは、まず、人によりギリギリの日焼け紫外線量が違うと言うことです。
これは本格的な夏にはいる前に、散歩や日向に出て10分、20分と日焼けの程度を見ておくと
いいでしょう。袖口か襟、または腕時計などの境目が日焼けの程度を見るのにわかりやすいで
しょう。次に重要なのは、日時です。6月21日の夏至が、最も紫外線の強い日ですが、この日に
近づけば近いほど、じつはギリギリの日焼け紫外線量が時間換算すると短くなることに気をつける
必要があります。』
『でも、いちいち自分の肌のMEDを計るのは面倒です。今までの日焼け体験から、すぐ日に焼ける
ことが多かった人は10分くらいで、普通かなと思った人は20分くらいで、赤くなったことが記憶ない
ひとは30分くらいで計算すると良いでしょう。とすると、一番紫外線の強い夏至でも、日に焼けやすい
人はSPF20でも、10X20=200で200分は大丈夫と言うことになります。日常の生活で、ちょっと
外で軽くスポーツをしてもSPF20で十分だと言えます。ただし、あくまでも目安なので、塗ムラや、
汗を拭ったりすることを考慮してもSPF30程度で十分でしょう。一日中外で活動する場合でも、SPFが
40から60までの塗りやすい日焼け止め化粧品をつけておけば十分です。念には念を入れて、
汗をかいた時は、途中で塗り直しておくと安心です。』
『もうすぐ、5月です。通勤、外出などで汗ばむ季節になりました。髪も毎日シャンプーをしたく
なります。ところで、シャンプーのやり過ぎは良くないとか、朝のシャンプーは良くないと言う
話を聞くことが多いのですが、大きな誤解があるようです。』
『まず、毎日シャンプーをすることですが、現在のシャンプーは、すすぎをきちんとしていれば
ほとんど頭皮や毛髪を痛めることはなく、安全性は高いのです。それに、毎日顔を石鹸で洗える
のに、頭だけは出来ないことはないのです。どちらの場合もすすぎをきちんとすることが条件と
なるのですが。また、頭皮は毛穴がたくさん開いているから、洗浄成分などが入りやすいので
デリケートではないかと思われがちですが、これも誤解です。毛穴は確かに多く、開いていますが、
そこから洗浄成分は皮膚内部には入りにくいのです。毛穴内部の壁(角質層)は厚く、奥は毛髪の
一部と接着していて、わりと複雑で頑丈に出来ています。』
『むしろ注意すべき事は、毛が多くて、頭皮や毛穴が、思ったより洗えていないことです。ブラシの
毛の根本の汚れが取れにくいように、頭部の毛髪の根本も汚れが取りにくいのです。ゴシゴシと
勢い良く洗っていても、頭皮はそれほど洗えていない訳です。大きくゴシゴシと洗うより、細かな
振動でマッサージをするような感覚で、やや時間をかけて洗うことがコツです。そうすれば、汚れ
が取れるだけでなく、頭皮のマッサージも出来てしまいます。一石二鳥ですね。』
『次なる誤解は、朝という時間の問題です。シャンプーの時間は夜が良いか朝が良いのか、よく質問が
きますが、1から2日に1回くらいで、時間は余裕を持って洗える時だと答えています。そう、重要なのは
余裕です。先ほどのように丁寧に洗い、しっかりとすすぎをするには時間的、精神的な余裕なのです。
たぶん、一時ブームにまでなった朝のシャンプー(朝シャン)で問題があったとすれば、余裕がないために、
すすぎが不十分だったのではないかと考えられます。私の好みは、朝、気分転換をしてスッキリとさせて、
寝癖も気にならず、頭髪のセットも決めやすいので、朝のシャンプータイムは重要です。でも、朝起きて
から時間的な余裕が作れる体質、生活リズムがないと難しいかも知れませんね。』
『このような主張は自然化粧品系のメーカーの主張によく見られます。そして、非自然化粧品の
メーカーの製品は化学物質で作られているので、生き物には有害であるし、当然、肌には百害
あっても益は無しという論調ですね。』
『そのときに使われる化学物質という用語の定義は、ニュアンスからして化学合成成分のように
聞き取れます。しかし自然界には化学合成成分と全く同じ成分も多いのです。というより、現在の
化学合成技術は自然界の物質と同じものを作ることが可能なのほど発達してきています。もちろん
自然界にない物質も作り、一方では環境汚染の問題も含んでいますが、生活に必要な有用物質と
不要な物質とは可能な限り分ける努力をしています。化粧品分野に於いても、人体と環境に安全性を
厳しくチェックして応用をしていますので、使用されている化学合成成分は安全性は大丈夫です。』
『むしろ注意すべき事は、自然界の物質といえども有害な成分はたくさんあるという事実です。アレルゲン
として話題となる成分は、スギやブタクサなどの花粉やダニなど、圧倒的に自然界の物質です。たとえ
食べても安全な成分が、レモンやキュウリのように、そのままスライスして皮膚に付けると皮膚炎を
起こすこともありますので、自然界の成分が全て肌に付けて安全性が高いとは言えないでしょう。』
『疑問の14で答えたように、簡単には天然成分が安全とは言えないし、そのことを強調している化粧品は
正しく化学、いや科学的な知識が乏しいとしか考えられません。安全性の問題は、天然、化学合成の
区別無しに関わる問題なのです。情報化社会でありとあらゆる情報が乱れ飛びます。これからは、
化粧品を作っているメーカーの商品知識についても、生活者はそれを見抜くことが正しい商品選びに
通じるのではないでしょうか。』
『手作り化粧品、とくに化粧水は原料が簡単に手にはいるので、いろいろな本や雑誌に取り上げ
られていますね。自然だし、売られている化粧品より安く作れそうなので、思わず引き付けられます。
中には、手作りの方が一番良いという体験談付で記事が書かれていることもあります。』
『しかし、大きな問題点があります。いくら天然の原料だといっても肌への安全性は高いとは
言えないのです。中には、柑橘類の皮に含まれているソラレンという物質のように、太陽光線と
反応して、皮膚刺激性のある物質に変化する成分もあります。その他にも皮膚刺激性やアレル
ギーを引き起こす成分の可能性がとても高いのです。天然物が安全であるという錯覚は、いままでも
取り上げましたが、思いがけない肌トラブルを起こすこともあるのです。良く載せられている体験談は、
たまたまそのような素因が無く、肌に化粧品としての効果が現れたと考えるべきでしょう。つまり、同じ
ことが自分にも当てはまるとは限らないことです。』
『もう一つの問題点としては、処方上の問題と作る途中での雑菌汚染の問題です。原料の中には
配合量を間違えると、化粧品にならなかったり、皮膚への刺激性が高まるものもあります。しかも、
作っているときに空気中の雑菌、特に病原性の雑菌が入る可能性もあります。化粧品メーカーは
この条件は絶対守るべき条項として管理されているのです。でも、手作り化粧品の現場では、そこ
までは環境を整えることは難しいでしょう。』
『化粧品とはどうできているのかを知るためには良いでしょうが、手作りを市販の化粧品よりも安全で
安く作ることが出来るという考えは改めた方が良いと思います。化粧品は肌にトラブルを起こしては
、美肌つくりどころでは無くなります。ここは化粧品会社を信用していい部分だと思います。キュウリ
パックやレモンのスライスパックなどのように、そのまま化粧品のように使うのは論外ですね。食べて
安全でも、肌にとって安全とは限らないことを覚えておきましょう。』
『「昨年にも増して、雑誌などの宣伝や店頭でのパンフレットに角質メラニンを取って美白する
ことを特長とした化粧品が目に付きますが、何故でしょうか?」と言うことを良く聞きます。昨年
から私の主張は、「美容の話」で取り上げているように、角質に色の着いたメラニン色素ないし
それを取っても肌の白さ、特にシミやソバカスにはほとんど色を薄くできないことを言い続けて
います。生活者の速効美白商品に期待する心理と、メーカーの一番効く商品イメージ作りが
一致して、非科学的な美白市場を作っています。』
『私としては、今年は、AHAブームの時に日本のメーカーが取ったように、肌に害を与えかねない
化粧品の販売は自粛することを期待していました。残念なことに、今年も角質メラニンを取って
美白をうたう商品が増えました。やはり、不況の中、柳の下のドジョウを狙う商売が優先された
と、考えざるを得ません。私は、客観的な知識と判断力のある生活者や販売員の方々は、
そのような商品や販売方法に惑わされていないものと信じています。』
『今年のメディアでの態度は明確になっています。「角質メラニン」の美白を間違った考えと
主張しているのメーカーは、花王とアルビオンです。何とか、来年度はこのような論争が起きない
ように研究者の力を信じたいと思います。そして、より正確な「角質ケア」が普及するように
なればいいなと思っています。その為にも、あらゆるメディアを通じて論争をしていきたいと
思います。今まで、このような論争がされていなかったのですが、論争を通じて、メーカーのみ
ならず生活者にも、化粧品の正しい認識がされるようになるのではないかと思います。』
『季節が変わるのに、まだ使いかけの商品があるとき、よく聞かれるのがこの質問です。
特に、食べ物には賞味期限が書いてあるので、化粧品にも同じように使える期限がある
のではないかと言うわけです。この時、誤解して欲しくないことは、化粧品は決して食べ物
と同じ様な「生もの」ではないと言うことです。ほとんどの化粧品は、使用中に手や空気から
雑菌が入っても、腐らないように、安全性を充分考慮して防腐剤などを配合してあります。
もちろん、製品の中には防腐剤無しでも腐らないような原料などで作るものもあります。』
『とすると、どの位保管していても大丈夫なのでしょうか?一般的には封を切らなければ
3年は大丈夫ですと言われていますし、ほぼそれで間違いはないでしょう。ただし、保管
場所は冷暗所という、光や温度の変化の影響の少ないところを想定してます。だから、
直射日光や窓から強い日差しの来る場所では変質してしまうことがあります。それで
商品の色が変化しても、変臭や中身が大きく変化をしていなければ、おおかたの場合
使うことは出来ます。化粧効果も変わらない場合が多いのです。(でも、付けた後、肌に
何らかの異変を感じたら、洗い流して使用しないで下さい。)』
『それでは使いかけの場合はどうでしょう。蓋や栓をしっかり閉めて冷暗所に保管すれば
来シーズンでも充分に使えます。この場合も条件によりますが、あまり保管前に商品が
汚れていなければ大丈夫でしょう。今度使うときに、変臭や商品の中身が大きく変化を
していなければ大丈夫でしょう。』
『それから、商品によっては5年も10年も、問題なく使えるものも多いことも知っておいて
下さい。香水類はそれに該当します。高価なものなので大事に冷暗所に置いてあり、
多くの場合、アトマイザーで使いますし、アルコール濃度も高いからですね。その他、
粉物やオイル物も、結構持ちます。使えるかどうかは、やはり、臭いの変化ですね。
雑菌が繁殖して腐って、肌に良くない成分を作ることや、使用時に不快感を与えてしまっては
化粧品の効用が得られません。つまり、化粧品は生ものでないので、腐りやすい物では
無いのですし、保管方法によってかなり長く使える物です。そう言う意味で、大切に
保管し、きれいな状態で使って下さい。』
『美容機器は医療用の機器と違って、美容効果に対して科学的な検証を充分しているケースは
少ないように思えます。単純にスチーマーとか吸引機のような物なら実際に美容効果は見える
のですが、超音波で肌をどうこうするとか、低周波で肌をどうこうするとか・・・。一言で超音波と
言っても、波長や出力エネルギー、連続的に出すのか、パルスと言って断続的に出すのかに
よって物理的な作用は変わります。特に通販や訪販の場合に多いように思いますが、説明や
販売時の説明に、どうも受け売りやその場当たりのエセ科学的な説明や臨床例(?)を持ち出して
いることがよくあります。私も、そのような説明をメーカー売り込みに来たときによく聞きます。』
『また、**博士とか、既に故人となったノーベル賞受賞している海外の有名人などを開発の背景や
臨床例の話で引用されています。また、始めて聞く、その世界の権威者(博士、教授など)の
名前も聞きます。でも、このような売り込みの場合は、ほとんど科学的に効果があるかどうか
判りませんので、まず購入は控えた方が良いでしょう。実際に、超音波や低周波、磁気が
生体に及ぼす影響は間違いなくありますが、全て良い影響とは限りません。広く医療に使われて
いる場合でも、あくまでも医師の管理下で使われているはずです。家庭で簡単に出来る
美容機器の開発は、確かに私たち化粧品の商品開発や研究の立場でテーマの一つですが
、まだ吸引やスチーマー以外にはないように思えます。』
『35万円前後する家庭用の美容機器を買った知人を知っていますが、期待したほどの効果も
表れず、結局3ヶ月も続いていませんでした。また、その為の特殊な水や化粧品も意外と高価で、
かかる費用も大変だときいています。結局、クーリングオフの期間も過ぎ、機器などは返品できず、
ローンは残るという例もあります。過去、超音波美顔器とか、健康ぶら下がり器など、幾つかの
問題が指摘された、商品の事例もありますし、家庭用の美容機器は、まだ安心して購入し、美容
効果も満足いくものはないと見た方が良いと思います。』
『やはり、エステも人の要素が大きいのです。安心して肌を任せ、気持ちよくお手入れをして、
肌がきれいになる、エステサロンか化粧品専門店で行っているお手入れサービス等を試して、
気に入ったなら続けてみてはいかがでしょうか。マッサージは自分で行うより、人の手の方が
気持ちよく、リラックス効果も高いと思えます。そう言えば、健康器具でしたが、ピクピク引き
つらせるマッサージ器もあまり見かけませんね。肩こりも、機器より、自分の手、あるいは
孫の手ならず、家族などの手によるマッサージの方がより効くのでしょう。』
『ストレスの影響でしょうか、最近若い方にも白髪の目立つ方が増えているように思えます。
白髪が数本くらいで抜いてしまえば問題ないという場合、気になるのが「白髪は抜くと、その
刺激でかえって増える」という話です。これは科学的に根拠のある話なのでしょうか?その謎を
解く為には、どうも毛髪がどうして作られるのか理解しておかないといけないようです。ちょっと
難しく思えるかも知れませんが説明してみます。』
『最近の毛髪科学の研究で判っていることで、毛髪が自然の周期で抜けて生え替わるとき、
抜けていく毛髪の毛根の一部が残っていて、ここに新しい毛髪を誘導するなんらかの成分が
あること。さらに毛穴の皮脂腺の出口下にある細胞(幹細胞といいます)が細胞分裂して、しだいに
残っている何らかの成分のある方へ誘導されて、新しい毛根を作ると言われています。
その時に、毛髪の色を作るメラノサイトという色素細胞も分裂して増えていくようです。』
『ところで、白髪の方ですが、確かな原因はまだ解らないのですが、ストレスや加齢などの
原因が元で、毛根にあるメラノサイトがメラニン色素を作らなくなったり、作ったメラニン色素を
毛髪の細胞に渡さないということから毛髪の内部に空のメラニン顆粒という粒をつくり、そこに
空気が入り込んで白く見えるという説が有力です。そのメラノサイトの働きを狂わせる要因が
残っていれば白髪は生え続けるわけです。時々白い部分と黒い部分の混ざった白髪があり
ますが、それはひょっとしたら白髪の要因が無くなって、元の黒い毛に戻れるのかも知れません。』
『白髪を抜いたら増えるというのは、頭髪は一つの毛穴から数本の毛髪が生えているからと考えられて
います。数本の内、一本が白髪になったとすると、その白髪を抜いたときに毛穴の組織がちょっと乱れて、
白髪の要因が隣の毛根に移ったりする可能性が高いために起こりうる訳です。だから、やはり白髪を
抜くと増えるというのは当たっていそうです。自分の体験からしても、一本だった白髪がいつの間にか
抜いていたら、同じ所に2本生えて、頭皮を拡大してみると、同じ毛穴の毛髪だったということが有りました。
私の考える結論ですが、白髪少ないときは、まだ染めるわけには行きませんので、白髪が増える危険性が
ありますが、抜いた方が良いと思います。次第に増えて抜いても追いつかないときは、思い切って染め
た方が良いと思っています。』
『ニキビ跡の状態によって治る度合いも違ってきます。ニキビが治まって少し盛り上がって茶色から
赤紫色の色素沈着を起こしている状態なら、時間はかかりますが自然に治ります。この状態は
ニキビという炎症が治って皮フ組織を回復しているところです。炎症の結果できた老廃物の
処理と新しく皮フ組織を作り直しているために沢山の細胞が集まっているからです。色素沈着も
血液や細胞の死骸が体内で分解されている途中で出来た一時的なものや、炎症という
刺激で表皮にあるメラノサイトという色素細胞が一時的に活性化されて、メラニン色素を
たくさん作るからです。炎症の跡が完全に修復されるまで、炎症の大きさや、皮フの回復力の
違いによって違いますが、早ければ数ヶ月、遅ければ1年かかることもありますが、徐々に
消えて行くはずです。』
『しかし、不幸にしてニキビの跡が窪んでしまったら、その窪みを回復することは非常に
難しいのです。炎症が激しく、皮フの内部に膿を溜めてしまい、その部分が回復できないほど
損傷を受けてしまったためです。この場合は皮フの再生能力の強い人の場合は窪みが
小さく、弱い場合は大きくなってしまうと考えられます。但し、皮フは常に再生されている
組織ですので、時間と共に目立たなくなるようなこともあります。あきらめずに、お肌の
お手入れをし続けることも一つの解決方法です。』
『窪んだニキビの跡の医師による治療法としてコラーゲンの注射が良く話題になっています。
この場合はコラーゲン注射液の種類や、医師の治療経験により治療結果は様々だと
思われます。どうしてもすぐに窪んだニキビ跡をなおしたい場合は、良く医師の説明を
受けて納得した上で行うことです。』
『スキンケアの基本ですが、ニキビは思春期を境に、程度の違いあれど、ほとんどの方が
経験する皮膚病です。成長に伴う体内の性ホルモンの分泌バランスが一時的に乱れるために
起こるわけですが、ひどくするもう一つの要因が間違ったお手入れと、過度の油っぽい食事に
あることも忘れてはいけません。また、最近では20代に入ってからのストレスが主な原因だと
考えられているニキビも多いようです。長引くかも知れませんがニキビは必ず治る皮膚病で、
要は、いかにこじらせないかです。正しいスキンケアと、必ず治るという明るい希望も大切です。
もちろん、なかなか治らなかったり、痛かったり疼いたり、膿を持って腫れてきたりした場合は
医師による治療も必要です。一人で考え悩み込まずに皮膚科の門をたたきましょう。また、
身の回りにニキビで困っている方がいたら教えてあげましょう。なにしろ予防と素早い治療こそ
ニキビ跡を作らないコツなのですから。』
『このような話は良く聞きますが、皮膚構造をしっかりと知っていれば肌はそんなに軟弱な
組織ではないし、柔軟で丈夫な組織です。だから手でおこなう普通のマッサージによって
シワが増えることは考えにくいのです。もしマッサージ程度でシワが増えるなら何時も動かしっ
ぱなしの口の周りは20歳でシワだらけのはずです。シワは加齢による皮膚の硬くなる変化により、
少しずつ増えていくわけです。現在のところでは、紫外線による影響や、肌の乾燥などが
大きく加齢による皮膚の硬化とシワを増やす原因と考えられています。』
『マッサージは肌の血液やリンパ液の循環を良くしてくれるので、皮膚組織に酸素と栄養を
充分に補給し、結果として健康で若々しい肌に保ってくれます。化粧品の効果を相乗的に
高めてくれる効果的なお手入れ方法といえます。実際は、様々な方法が有り、リンパの流れを
良くするための方法や、血液の流れを良くする方法を考えたマッサージ方法がエステティシャン等に
よって提案されています。しかし、本当はもっと手軽に考えても良いと思います。私の考えでは、
毎日のお手入れの中で、気持ちの良いマッサージであれば、もっと積極的に、意識的に取り入れて
良いのではないかと思います。そして時には、エステティシャンや化粧品店の美容サービスで
行っているプロのマッサージを受けてみることが、結果として美しい肌を維持することができると
考えています。』
『それから、化粧品をコットンや手のひらでなじませる時も、軽いマッサージであると考えてみると
いいのではないでしょうか。そうすると自然に毎日のマッサージを行っていることになります。時には
ちょっと時間をかけて肌になじませてみることでもいいでしょう。化粧品だけに頼るのではなく、
マッサージも一緒にお手入れの要素として考えてみると、とても充実したものになると私は思います。』
『最後に、もし間違えやすいマッサージ方法として考えられるのは、摩擦に近い強いマッサージです。
乾いたタオルや布でゴシゴシとこすることを続けると、シワではなく肌に炎症や色素沈着を起こすことも
ありえます。有名な事例では、ナイロンタオルで擦りすぎて色素沈着を起こした事例が報告されています。
このような強過ぎて、刺激的なマッサージは肌に良くないと思います。あくまでも、気持ちよいマッサージが
重要なのです。』
『冬になると唇が乾燥して皮がムケてしまうことがよくあります。そんな時、皮ムケなんか
早く取ってしまわないと、次第にムケているところが広がってしまうと言われています。
ムケていると、どうしても気になり、口紅もきれいにつけられず、汚く見えます。』
『確かに、ムケている皮だけをきれいに剥がしてしまえば問題はないのですが、どうしても
痛んでいない皮まで一緒に剥がれてしまいます。そうすると、痛んでいない唇の皮が取れて
しまった部分の表面に、乾燥に耐えられない未熟な皮が出てしまいます。そうすると、その
未熟な皮は乾燥してしまい、新たな皮ムケ状態になります。』
『対処方法としては、小さなハサミで注意深く、痛んでいない部分の皮を取らないようにムケた皮を
切り取って、後は、しっかりとリップクリームをつけて保護をすることが一番のようです。ムケている
皮の大きさにもよりますが、ハサミが使いにくいときは無理をせずに、剥がさないで、そのまま
リップクリームなどで保護します。そうすれば、1〜2日すれば自然に取れてしまいます。少し面倒
ですが、皮のムケた唇の表面を、水を浸したコットンなどで数分くらいパックのように載せて、柔らかく
なれば取れやすくなる場合もあります。』
『それから、皮がムケている部分の下にある皮も、未熟な皮であることも多いので、上手に取れた
場合も安心しないで、リップクリームなどでしっかり保護することが再発を防ぐコツです。保護した
状態で新しい健全な唇の皮を再生すれば、皮ムケの悪い連鎖から抜け出ることが出来ます。もし、
度々皮ムケが出来るようでしたら、ビタミンBの不足も主な原因であるかも知れません、食事にも
注意してみて下さい。』
『この質問は、「年齢と供に肌タイプが変化するのかどうか?」という質問や、「以前判定してもら
った肌タイプのまま、化粧品を選び続けて良いのであろうか?」、「何となく化粧品が合っていない
ようなきがする。」などの質問と同じなので、ここでまとめて答えてみます。』
『ノーマルスキン(普通肌)、オイリースキン(脂性肌)、ドライスキン(乾燥肌)、それにコンビネーション
スキン(ミックススキン、混合肌)などという分類の肌タイプは、肌に合う化粧品を選ぶために欠かせない
肌の情報です。通常、問診や油分・水分測定器の測定値などから判断します。一番大きな肌の要因は
皮脂の分泌量です。その為に、当然、季節の影響も、生理の影響も出てきますし、年齢の影響も大きく
出てきます。しかし、個人差がとても大きいものなのです。人によっては、ほとんど1年中、肌タイプが変化
しない人もあれば、夏はオイリースキン、冬はドライスキンという大きく変化する人もあります。10年前に
調査したことがありましたが、ほぼ80%の人は季節の影響を受けていました。(自己申告による調査)』
『ここで、大事なのは、自分の肌質について、季節の変化、生理による変化をしっかりと知ると言うこと
です。幸い現在は、多くの化粧品専門店、百貨店の化粧品売場で肌カウンセリングを行っています。
ぜひとも、接客の様子など、自分の波長に合う、親切な場所で季節が変わる度に肌タイプのチェックをして
もらうことをお奨めします。そうすることによって、現在の使っている化粧品がきちんと乾燥などの影響から
肌を守り切れているかどうかわかりますので安心できます。自分はどの位、季節や生理の影響が出ている
かを知ることが、1年単位ですが肌タイプの把握が出来ます。』
『後は年齢による変化ですが、ほぼ5年に一回は肌タイプのチェックをお奨めします。これまた、個人差が
大きいのですが、平均的に20歳、25歳、30歳とほぼ5年毎に肌の状態が大きく変化しています。(もちろん
大きく変化するのは40歳前後ですけど) それを考えると5年に一回の肌タイプチェックをしていれば、
自然に肌に合う化粧品に切り替えていけると考えられます。自己判断でも、ある程度肌の変化を
知ることは出来ますが、客観的に肌を見てもらうことも、肌の状態を正確に知るために必要なことです。
そうすることでも、きっと肌の加齢は大きく遅らせることが出来るはずです。』
『最近は、ニキビに関する質問や取材がコンスタントに来ています。その多くは、いわゆるアダルト
ニキビと呼ばれている、20歳以降の女性に多い、なかなかスカッと治らないタイプのニキビです。
その際に、良く聞かれることとして、ニキビをつぶした方が治りが早いので、つぶし方を聞かれる
ことなのです。』
『放っておいてもすぐに硬くなったニキビの芯が取れそうなときは、周囲の皮膚を押せば、ピュッと
取り出せますので良いと思います。しかし、まだ周囲の皮膚を押しても、なかなか出ないときは
それ以上ニキビを触らない方が良いでしょう。ニキビの炎症反応がまだ治まらず、内部の組織も
再生されていないので、むやみな刺激は炎症をまたひどくすることがあります。そのようなニキビは
うずくので、とても気になるでしょうが、そっとしておくのがベストです。もちろん、ニキビ用の医薬品には
ニキビのうづきを軽くしてくれる物もありますので、それを付けておくことを奨めます。』
『あと、ニキビやその周囲の皮膚を触るときには、必ず清潔な指にしておいてください。思わぬ
雑菌を感染させかねません。そのことをふまえて、ていねいな洗顔で顔を清潔にして、ニキビの
出来ている部位や出来そうな部位には、髪の毛や衣服のエリなどが当たらないようなスタイルに
心がけて下さい。治りにくいニキビをむやみに触ると、長期戦になりやすいので注意をしましょう。』
『紫外線はお肌の大敵であることは常識となりました。その為に化粧品には紫外線を防ぐ
成分を配合していますが、この様な成分について、正しい知識を持っている人はまだ少ない
ようです。大きく分けると、光線である紫外線を反射して肌に侵入することを防ぐ「紫外線反射剤」と、
紫外線を分子内にエネルギーとして吸収して後で弱いエネルギーの光線として放出する「紫外線
吸収剤」の2つがあります。弱いエネルギーの光とは、主に赤外線です。とは言っても温かく
感じるほどのエネルギーではないようですし、放出する方向もランダムなので、皮膚内に集中して
入ることもありません。つまり、直接浴びると皮フ細胞や組織にダメージを与えるほど強い紫外線の
エネルギーを、無害なレベルまでエネルギーを弱めて放出してくれる化学物質なのです。』
『「紫外線反射剤」は鏡のように一定方向に反射させる物や、無方向(ランダム)に反射させる物
があります。「紫外線反射剤」は主に、粉体なのですが、形状や表面の状態によって反射の方向が
違ってきます。ランダムに反射させるタイプを「紫外線散乱剤」ということもありますが、基本的には
「紫外線反射剤」と働きは変わりません。』
『「紫外線吸収剤」は表示指定成分として「オキシベンゾン」が多く使われていますが、肌への
安全性は高く、安全性を充分考慮した配合量にとどめて処方されています。天然にもアロエに含まれて
いるアロイン等という天然紫外線吸収剤もありますが、品質、コスト、安全性を考えても、現状では
化学合成品が優れています。「紫外線吸収剤」にはA波紫外線を特異的に吸収する物や、B波紫外線を
特異的に吸収する物があり、品質に要求されているSPF値やPA値に見合うように、多くの場合、「紫外線反射剤」と
一緒に処方されています。その時に、何時も考慮されるのは、紫外線カット効果だけではなく、最終的な
安全性と使用感であることは間違いありません。私の考えでは、紫外線吸収剤にアレルギーがない人で
あれば、あえて「紫外線吸収剤フリー」という商品は不要だと思っています。まして、「化学(合成)物質」が「刺激
物質」というような誤解を生む表現をするべきでないと思っています。』
『紫外線ケアの質問が多いですね。もうSPF値の意味も、かなり普及してきたと思いますが、
相変わらず疑問となるのが重ね使いの場合です。やはり単純にSPF値は足し算になるのかな
という疑問です。多くの化粧品メーカーは、キッパリと、足し算にはならないので、肌を守る為に
一品はきちんと目的のSPF値の商品を選ぶように言っています。これは、本当にその通りです。
例えば日差しが強くなっている5月の連休にレジャーで外出する場合は、下地機能をもつ紫外線
プロテクト商品か、ファンデーションのいずれかをSPF40程度のものを選びます。』
『その時の化粧が終わったときの総合SPF値は(40+α)と考えて良いと思います。(+α)は
重ねて使った化粧品の使い方でかなり変動します。だからプラス分はあまり期待しない方が良いという
意味でαと考えるわけです。』
『それでは何故、単純な足し算にならないのか、肌の上での状態を考えてみます。一言で言うと、
柔軟で非常に動きの激しい肌の上は、そんなに重ねただけで厚い保護膜(化粧膜)を作れないからです。
つまり、フイルムを単純に重ねるように、付いては行かないのです。紫外線プロテクト商品、
下地化粧料、ファンデーション、そしてパウダー類を肌の上に順に付けていくと、次々に化粧品は
肌の上に混ざって結局は一定の厚みからは厚くならないで、安定な一枚の皮膜となっていきます。
もちろん、商品に配合されている柔軟オイルや保湿成分は、その時に徐々に角質層になじんでいきます。
また、最後に付けるパウダー類も、表面についた後、結局は化粧膜の中に埋まって、安定な皮膜として
存在します。その結果、SPFの最も高い商品の皮膜が多少厚く、補強されたと考えた方が現実的なのです。
そう言うわけで総合SPF値は、最大SPF値の商品に(+α)となる訳です。この辺も、今後、分かり易い
図で示した方が良いかも知れませんね。』
『最近はかなり減ってきましたが、まだこの様なアドバイスを受ける場合があるようです。
新しく変えた化粧品を使って、肌に赤く炎症(カブレ)が起こったとき、それは肌の毒素が
出ているからで、使い続ければ、毒素が出尽くして、きれいに治るというアドバイスのことです。
多くの場合、この様な反応を「好転反応」と呼んでいるようですが、皮膚科学的に、この
「好転反応」はあり得ません。この様なアドバイスを受けた場合は、さっさと逃げること
です。アドバイスされている方が専門知識を持っているのではなく、単に洗脳されている
と思われますので、深入りはしない方が良いのではないかと思います。』
『肌が炎症を起こす場合は、化粧品に含まれている成分が原因で起こる場合もありますし、
気づかない内に肌に傷が出来ていて、そこから化粧品やその他の物質が皮膚内に入って
炎症を起こす場合もあります。また、疲れや病気等、体調の変化で、皮膚の免疫反応が
敏感になっている場合も、普通なら安全だった化粧品で炎症を起こすことも考えられます。
でも、あくまでも肌の中に毒素が溜まっているから起こる反応ではなく、肌の中に炎症を起こす
原因物質が入った為に起こるものです。また、薬を飲んだり、食べ物の中に含まれる
アレルギー成分によっても、肌に炎症を起こす場合もありますが、この場合は体全体に
できてしまいます。』
『いずれの場合も、心当たりのある化粧品や衣服も含めて肌に付いた物を一旦避けることです。
そうすれば、1、2日経てば自然に治まる場合が多いのです。しかし、炎症が治まらず、広がって
いる場合は、直ちに皮膚科医の診断を受けて下さい。素人判断による処置は、かえって治りにくく
してしまいます。ということで、「好転反応」を信じて使い続ける事は、とても危険な行為なのです。
現象として、使い続けて治るケースもあるのでしょうが、それは化粧品以外の炎症の原因が、知らない
内に無くなり、治ったのでしょう。しかし、炎症を起こしている肌は、無防備な状態です。外からの
刺激に敏感で、安全な化粧品でも刺激の原因となることもあり、治まりきるまで、出来る限り余分な
物は付けないほうが良いのです。』
『現在、無添加化粧品と表記している化粧品はかなり多くありますが、他の化粧品との違いは
メーカーにより「無添加」の定義が違いますので、一概にいえない状況です。本来なら、どこかで
メーカーという枠を越えて、「無添加」の定義付けをした上で行っていれば、このような疑問や混乱は起き
なかったのではないでしょうか。ただし、多くの場合、「無添加」の対象となっているものは、安全性
に問題のあると判断されている化粧品原料を指しているようです。しかし、この判断には問題が
多い場合も多いと思われます。安全性に問題があると判断されている根拠や、化粧品への配合量
や、その他の化粧品原料との相互関係もあり、単純に配合しなければ良いというものでもないのです。』
『「無添加」の対象となる化粧品原料の多くは、界面活性剤、防腐剤、香料、色素などですが、
いずれも、現在では、有用で安全な配合方法が確立されている物なのです。このような化粧品原料が
肌に合わないという人は、化粧品によりアレルギーの経験やかぶれやすい人の一部だと思われます。
もちろん、皮膚科医師から、これらの化粧品原料が原因だったので避けるように言われている人に
とっては意味があると思います。また、これらの原料以外でも皮膚への刺激やアレルギーを起こす
可能性はありますので、「無添加」が安全性の指標であるという認識はしない方がいいと思います。』
『「無添加」であろうと、無かろうと、まずは、その化粧品が使用性や安全性を含め化粧効果で有用であったか
どうかが一番の選択基準だと思います。その際には、配合している化粧品原料も一部は納得性を得るための
情報となりますが、メーカーのパンフレットや説明書、或いは販売者から、化粧品の開発された目的や正しい
使い方を知ることが重要です。化粧品の作られた目的を正しく理解し、正しい使い方をすれば、化粧品は
肌にとって良い効果を生みだしてくれるものです。』
『私の考えとしては、化粧品はそもそも多くの化粧品原料の組み合わせと、製造工程からできあがっているものです。
その際の化粧品原料は、組み合わせも含めて安全性には十分に考慮して選択されています。また、化粧品を
作るために必要だから採用しているので、不必要に入れることもあり得ません。そう言う意味でも、単純に
おおざっぱな原料区分で「無添加」という化粧品が安全性高い化粧品であるとか、何らかの意味で優れた化粧品で
あるという訴求で発売されていることは、良い傾向とは思っていないのです。まして、「無添加」の原料中に、鉱物性原料や
動物性原料を入れている場合は、そもそも、化粧品科学を無視しているとしか思えないので、論外です。』
『化粧品の香料が原因でシミになることは確かにあります。しかし、現在の化粧品の安全性は非常に
高くなっていますので、現在ではシミの原因になることは非常に少ないのです。1970年代に化粧品と
肌の安全性について、化粧品原料や処方について、多くの皮膚科医の協力により、化粧品業界が
一体となって研究が行われ、それ以来、安全な化粧品つくりを進めてきているのです。特に、香料、色素、界面
活性剤、防腐剤などは精力的に行われて来ました。色素は純度を高めたり、使用禁止にしたりして対応
してきましたし、香料はアレルギーの原因となる成分を除いてつくる精製技術も開発されて、低アレルギー化
が進んできました。』
『とはいうものの、現在でも100%アレルギーや皮膚炎を起こさない原料や化粧品は無いのですが、
そのようなトラブルの発生率は極めて少なくなっています。だから、現在は十分に安全性が考慮されて
化粧品が作られているので、安心して使って良いのです。ただし、何らかの原因で、香料にアレルギーが
あるので医師から使用を避けるように診断された方の為に、無賦香の化粧品が開発され販売されている
のです。決して、香料が配合されている化粧品が刺激性が有るわけではないのです。』
『さて、香料がシミの原因となったメカニズムは、香料が原因でアレルギー性の治りにくい皮膚炎を起こし、その結果
メラニン色素が異常に作られるようになったり、メラニン色素が皮膚の内部に沈着してしまうことでした。香料
だけでなく、化粧品がもし、皮膚に激しく治りにくいカブレ(炎症)を起こすと、その影響でシミができることが
考えられます。そういう場合は、原因と思われる化粧品の使用を中止し、できるだけ早期に皮膚科医に見て
もらって、正しい治療を行う必要があるのです。また、化粧品用の香料は、このように皮膚への安全性が考慮
されていますが、現在はやりのエッセンシャルオイルの中には、天然由来、科学合成品に関わらず、皮膚への
安全性が考慮されていないものも有りますので、十分な注意が必要です。手作り化粧品などに使われる際には、
製造元に、この点を確認の上、注意して使用して下さい。』
『このような正しい情報を認識し、正しい対応をしていれば、現在の化粧品はまずトラブルを起こしたり、こじれる
ことはありません。化粧品は「香粧品」とも呼ばれるように、香料も重要な成分なのです。使うときに気持ちよく
快適な気分が得られることは、トータル美容の中でも重要な要素なのです。肌に合う、好きな香りの化粧品を
快適に使って美しさに磨きをかけて下さい。』
『弱酸性の化粧品が現在話題を集めています。TVのコマーシャルの影響もあって、約20年前に一度あった
弱酸性化粧品のブームより影響が大きいようです。ただ、問題なのは、弱酸性の化粧品が一番肌に
良いというように短絡的に思われていることです。そんなことは決してありません。肌に安全で、肌を
健康に保ち、若さを維持する化粧品にとって、弱酸性、中性、弱アルカリ性というpH(ペーハー値)は、
単なる、物質の特性を示す一つの指標にしか過ぎないのです。決して、肌への安全性を強く意味づける
指標ではないのです。』
『健康な肌のpHは4.0から5.5位の弱酸性であることは間違いありません。かつて私が1年間に渡り肌表面の
pHを測定し続けた研究をした結果からも、多くの研究者の報告によっても、そのことは事実です。また、肌に
弱アルカリ性の化粧品をつけても、しばらくすると肌表面のpHは又もとの弱酸性に回復します。この場合、一時的に
弱アルカリ性となることは、肌にとって悪い影響がほとんどありませんでした。ただし、皮膚炎などのように、肌に何らかの
異常がある場合は、肌のpHがアルカリ側に傾いていたり、弱酸性に戻る回復力が弱いという研究報告がある
ことも事実です。そのことは、pHの影響と言うよりあくまでも皮膚の状態が異常になっているために、結果としてそのような
pHの性質をもつものと思われます。肌のpHは角質層を作っている成分や、皮脂や汗の成分などが複雑に影響
しあって、いつも弱酸性に保たれるようになっているものと考えられています。だから、多少の外部からのpHへの影響も
クッションのように受け止めて、元々の弱酸性に戻してしまいます。確かに、このことも肌を健康に保つための仕組みの一つで
あることは間違いありません。』
『つまり、健康な肌であれば、脱毛クリームなどのような特殊なものを除き、化粧品のpHによる影響はほとんど
ないと考えて良いわけです。20年以上も前であれば、中性から弱アルカリ性の化粧品が非常に多かったのですが、
現在では、化粧品原料の開発研究や処方研究が進み、ほとんどの化粧品が弱酸性から中性の化粧品でつくる
ことが出来るようになっています。また、弱アルカリ性といっても、肌のpH回復能力を壊すものはほとんどなく、
化粧品のpHにこだわる必要が無いのが現状でしょう。』
『肌は弱酸性だから化粧品も弱酸性が一番良いというような訴求は、一見、科学的な根拠に基づいているように
思えますが、弱酸性の化粧品ならなんでも肌に良いというわけではないのです。肌にとって、良いか悪いかは、
pHに関係ない要素がとても大きいので、あまり弱酸性にこだわって化粧品を選ぶ必要は無いと思います。私と
しては、20年前のブームと同じく、1年後にはそれほどこだわらなくなっているのではないかと予測しています。』
『最近、若い人に乾燥肌が増えているように思われますが、その原因の一つに間違ったスキンケア選びがあるのでは
ないかと思っています。つまり、肌に潤いを与えるには、水分を与えれば十分だと思っていて、洗顔後、化粧水だけで
スキンケアを終えている人が意外と多いようです。また、プラスするにしても、ほとんど油分を含んでいない保湿美容液を
付けるだけです。このスキンケアでは、肌の水分保持の為に必要な油分の補給がされていないので、持続的な保湿が
できず、乾燥しやすくなってしまうのです。』
『そのように思っている人の多くは、肌には皮脂腺という所から油分が補給されるから、わざわざ外から油分を補給する
必要がないと考えているのです。また、化粧品の油分は肌に良くないから付けないという考えを持っている方も多いよう
です。確かに、そのように書かれたスキンケアの本や女性誌の美容特集記事をかなり見受けますので、そのような認識を
持たれてしまうのでしょう。しかし、実際には、洗顔後の肌が十分な皮脂を回復するにはかなりの時間を必要とします。
冬場なら2時間から3時間はかかります。そうすると、洗顔後に油分補給をしていないと、皮脂が回復するまでに乾燥して
しまうことがあります。この些細な乾燥を積み重ねてしまい、結果的に乾燥肌になり、場合によっては肌荒れなどの皮膚
トラブルまで起こすこともありえます。このような場合は、肌に合った油分補給の化粧品、つまり乳液やクリーム、または
油分を十分に含んだ美容液を付けると乾燥肌が潤いのある肌に回復することも多いのです。』
『そして、油分を与えることは肌に良くないという困った認識ですが、現在の化粧品に使われている油分は、皮膚への
安全性もしっかりとチェックされて大丈夫なものを使っているのです。更に、原料開発の技術の進歩は、べたつきがなく
肌表面の角質層になじみがよく、しっかりと水分を保つことのできる油分の開発が出来ているのです。だから油分を含んで
いても感触も良く、しっかりと肌を守ってくれるのです。油分は肌に良くないから与える必要がないという考え方を持って
いる人は、ふた昔前の認識を持っていると言ってもいいでしょう。多くの保湿スキンケア化粧品は油分と保湿成分を含む
水分、そして適切な乳化成分を主体に作られています。そして肌に付けるときの感触が気持ちよく、毎日のスキンケア
習慣が楽しくなるような化粧品を開発する為に化粧品の開発者は努力しています。この努力の結果をサンプルから試して
みて正しい保湿スキンケアを試みて下さい。』
『ピアスやイヤリングをする為に、耳に穴を開けている人がずいぶんと増えていますが、それに伴い、金属アレルギーを起こす方も
増えてきているようです。アレルギーというと、色素や香料という成分がすぐに思い浮かびますが、意外と多いのがニッケルや
クロムという金属です。これらの金属は、金や銀のアクセサリーや、メッキされたアクセサリーにも含まれています。
その為に、ほとんどの方が、ニッケルやクロムを知らない内にアレルギーの感作を引き起こしてしまっているのです。
(感作とは、アレルギーを起こすときのきっかけとなる反応で、特定の成分に感作してしまうと、極微量の成分が肌に
付いて吸収されても、アレルギー反応独特の激しい炎症を起こすようになります。)』
『ニッケルやクロムの金属アレルギーを起こしている特徴的な症状は、金属製やメッキされたピアスをすると、耳などの
部位に赤くかぶれて痒みや痛みを伴う炎症を引き起こします。そして、多くの場合が治るまでに時間がかかります。また、
ネックレスやブレスレット、或いは時計なども着けている部位に炎症を起こしますので、すぐにわかります。特に、汗ばむ
時期に起こりやすいようです。それは、微量の金属イオンが汗に溶けて皮膚に吸収されるからです。』
『一度、金属アレルギーになったら、どのような金属にアレルギーを起こしているのか皮膚科で調べてもらうことを
奨めます。気を付けなければいけないのが、アレルギーの原因となっている成分が金属だけではないこともあり、
きちんと原因を調べておかないと、また、知らずにアレルギーを起こしてしまいます。そして、アレルギーの原因物質が
わかりましたら、日常生活の中からそれらの成分が肌に付かないように気を付けなければいけません。』
『しかし、何より重要なことは、むやみにアレルギーを引き起こすきっかけを作らないように気を付けることでしょう。特に
金属アレルギーとなるきっかけは、ピアスやイヤリングをする為に穴を開ける時が多いと考えられます。穴を開けた時に
何らかの原因でかぶれたときは、きちんと治ってからピアスやイヤリングを付けることです。穴を開けた部位の皮膚が
赤くなっているのに、我慢してピアスやイヤリングを付けている人を時々見かけますが、そのようなときは絶対に付けないで
下さい。まずは、皮膚科できちんと治療をすべきです。そう、穴を開けないでつけるピアスやイヤリングでも、その部位が
赤くかぶれたりしたら同様に対処して下さいね。』
『さて、2001年4月から、化粧品に配合されている成分が公開されます。そこで、もう雑誌や単行本で、化粧品に配合されて
いる成分情報から化粧品を選ぶことを奨める記事や特集が増えてきました。やはり、多くの場合は、特定の成分が入って
いるものは肌に良くないから、毒性があるから、そのような成分の入っている化粧品を買わないように主張しています。
化粧品を開発したことのある研究者から見ると、あまりにも短絡的な主張なのでとても困ります。』
『結論から言いますと、化粧品に配合されている成分を見て、化粧品の良し悪しは判断できません。たとえ配合されている全
成分が分かったとしてもです。もし、成分から化粧品の良し悪しがわかると言っている人々がいるとしたら、化粧品の処方や
作り方を全く理解していない人々だと思って良いのです。ただし、例外として、もし何らかのアレルギーがある人で、そのアレルギーの
原因となっている成分が分かっている人にとっては重要な意味があります。アレルギーの原因成分の入っている化粧品は
使わないでください。今回の全成分の公開は、この点に意味があるのです。』
『化粧品の成分は、同じ成分でも、使う目的が多数ある場合が多く、また、配合する比率によっても働きが異なる場合が
多いのです。そして、肌や人体に対する安全性も、配合量や特定の成分との組み合わせに気をつければ問題ないもの
なのです。そのような研究の成果は、メーカーという壁を越えて、研究者の間で交換されています。それは、化粧品の
安全性は共通のテーマなので、常により安全な化粧品作りへと、研究発表会などで活発に行われています。つまり、
このような研究活動を基に、効用と安全性を大事にして開発している化粧品メーカを信用して欲しいのです。』
『自由競争の社会において、信用と技術力のある化粧品メーカーやブランドを選ぶなら、特定の化粧品成分を使っていないから
安全だとか言っていないメーカーやブランドだと言えるのではないかと思います。また、安全性や安心性の為に、きちんと
配合成分についての情報も教えてくれる姿勢のあるメーカーやブランドも選ぶ基準になるでしょう。ただし、私としてはあまり
化粧品の成分にこだわって欲しくありません。なぜなら、化粧品は選りすぐられた成分の組み合わせ(処方)と作り方に
本質があるからです。このような認識で、ぜひ肌に合い、目的とする効用の化粧品を選んで下さることを願っています。』
『このような質問は美白商品が使われ始める4月頃からよく聞きます。美白商品に限りませんが、ニキビ用などの商品にも
通じる疑問のようです。私の考えでは、「医薬部外品」という用語からくるイメージが多かれ少なかれ影響をしていると
思っています。「医薬品」は副作用があることが知られています。だから「医薬」という用語が共通しているので、そこから
「医薬部外品」にも、効果がある分、副作用もあると考えられているのではないでしょうか。』
『だとしたら、これは大きな誤解です。「医薬部外品」と言えども「化粧品」と同じく肌に何らかの危害がおこってはいけないのです。
安全性基準は同じなのです。もちろん、「医薬部外品」のカテゴリーの中でも脱毛剤などでは使い方が厳密になるものもありますが、
美白商品やニキビ用商品においては、使用法も安全性も「化粧品」と同じレベルにあります。「医薬品」よりは「化粧品」に近いのです。』
『とは言うものの、「医薬部外品」だから肌に合わなかったという言う声はよく聞くことも事実です。おそらくそれは、「医薬部外品」には
有効成分として安定に配合しなければならない主成分のせいかもしれません。と言っても主成分の刺激性と言うより、主成分を安定に
配合するために、どうしても通常の「化粧品」のように自由に処方が組めないことも多くいのです。その為に感触や肌への保護効果などが
少し低下してしまうのかも知れません。それでも、この処方研究はすごく進んでいて、10年前に比べても格段に感触や肌への保護効果も
良くなっているのは事実です。』
『それからもう一つ原因が考えられます。特に美白商品についてですが、美白商品は多くの場合、夏に使うものとして商品の感触や保湿
効果などを設計しています。その為に、どうしてもさっぱりとした感触やみずみずしい保湿効果を持っています。その為に、春から初夏に
おいて、肌への保湿効果が不足気味になって、「つっぱり感」や「乾燥」など刺激にむすびつきやすい状態が起こるから刺激性があると
思われているのではないでしょうか。その場合は、感触的には少しリッチなものを、保湿的には少し油分量の多いものを選ぶと良いでしょう。
またどうしても合わないと思ったときは、乳液やクリームは美白ではなく秋冬に使っていた商品を使って、それ以外を美白商品するという
方法も良いと思います。』
『ジリジリと刺すような紫外線。気になるのは日焼けだけでは無いようで、最近は皮脂の酸化を気に
する方が増えているようです。皮脂が紫外線によって酸化して、それが原因となってニキビや加齢を
促進してしまうという恐れですが、これにはちょっと冷静に考えて欲しいところです。それは、確かに
皮脂は酸化されているのですが、酸化した皮脂の発生量が問題なのです。おそらく、丸一日外に
出て太陽に浴び続けても、それで酸化した皮脂が肌に刺激を与えるほど発生はしていないのです。
むしろ、紫外線のダイレクトな皮膚への刺激の方が遙かに強烈なので、紫外線防止の化粧品が
必要なのであって、皮脂の酸化を防止する必要性はあまりありません。』
『皮脂を集めて、外に4日間さらしておくと、確かに皮膚刺激を起こす量まで酸化した皮脂が発生
します。でも、通常は少なくとも一日に一度は顔を洗いますので、フレッシュな皮脂と置き換わって
いるはずです。つまり、通常のスキンケアをしている限り、一日に発生する酸化皮脂の量も、皮膚に
貯まる酸化皮脂の量も、何ら悪影響はないのです。だから、皮脂に関する限り、酸化をそんなに
気にする必要が無いというわけです。洗顔の意味は、皮膚表面に付着した汚れや、汗、自然に
剥がれ落ちる古い角質細胞などを洗い流して、肌を清潔に保つためのお手入れなのです。』
『それでは何故、酸化防止効果を訴求する化粧品が多いのでしょうか? それは、皮脂の酸化という
よりも、紫外線などの環境因子により皮膚で発生する様々なフリーラジカルという活性酸素の影響を
防ぐ為なのです。皮膚の表面より下には、多種類の酸化されやすい生体成分がありますので、それらの
成分がフリーラジカルによって酸化されるのを防ぐのです。生体成分の酸化が積み重なることが
エイジングの原因だと言うことは、ほぼ間違いなさそうですので、これを防ぐことはアンチエイジングの
基本だと言うことです。』
『アルコールの入っていない化粧水についてよく聞かれます。もちろんお医者さんからアルコールの
入った化粧品を使ってはいけないと言われた人にはきちんと調べて答えています。しかし、アルコールが
肌に良くないと思っているからアルコールの入っていない化粧品を求められた場合には、アルコールは決して
肌に悪い成分ではないことを説明した上で対応しています。そして、アルコールが肌に悪いと思っている
方があまりにも多いのに驚いています。アルコールには様々な働きがあり、その働きに応じて配合量や、他の
配合成分の組み合わせも変えていることがほとんど知られていません。とにかくアルコールが入っている
だけで良くない化粧品だと思われているようです。』
『フレグランス関係を除いて、アルコールが最もよく配合されているのは化粧水です。化粧水の水々しい
清涼感はアルコールの配合によってもたらされます。当然、アルコールの配合量が多くなればなるほど
清涼感は高まりますが、過去の私の体験からすると化粧水への配合量は15〜20%がほぼ上限だと
思っています。また、アルコールは清涼感を与えると同時にキメを細かく整える働きもあり、アストリンゼント
化粧品の主要な成分でもあります。アルコールの働きで殺菌・制菌効果を上げる人がいますが、消毒用
アルコールは約70%の濃さです。化粧品での殺菌・制菌効果は一緒に配合している殺菌・制菌成分との
共同作用と見た方がよいでしょう。』
『その他、アルコールには美容成分などの肌へのなじみを良くしてくれる働きもあるのです。だから、少し
アルコールを配合していると、化粧水などが肌にスッとなじんでいくのです。この場合も、なじみを良くする
他の保湿成分などと組み合わせられることが多いようです。あと、化粧水には溶けにくい成分を溶かすために
使われることがあります。製造するときに、一度アルコールに溶かしておいて、そして精製水に加えて
作ることもあります。このようにアルコールは様々な使用目的がありますので、化粧水を始めとしてよく
使われているのです。アルコールへの誤解を解き、もっと化粧品自体の効果を感じていただければ幸いです。』
『TVの化粧品特集で医師のコメントで多いものの一つです。確かに化粧品に配合されている多くの
コラーゲンは、分子のサイズが大きくて皮膚表面の角質層を通過することはありません。配合の
目的は肌表面か荒れた角質層の隙間に入り込んで保湿効果で保護することです。また、配合する
量を増やしたりすれば、肌表面で緊張感のある薄い皮膜を作りますので引き締まった実感が
あり、シワやタルミを一時的に解消することもあります。この基本的な効用がコラーゲンの
配合目的ですが、化粧品の開発を担当している方が皮膚科学に精通していない場合には、肌の
深部まで吸収されて、コラーゲンを補給し、シワやタルミに効いたと思いこんでいる場合も多いことは
事実なので、皮膚のことを知っている医師からは「コラーゲンは皮膚には吸収されない」と忠告が
でるのでしょう。』
『ただしかし、医師も化粧品原料に関しては充分な知識があるとは言えないでしょう。化粧品に
使用されているコラーゲン関連の原料にはたくさんの種類があるのです。当然、分子のサイズも
大きい物から、酵素処理などで小さくした物まで、或いは脂肪成分と結合させたりして乳化成分に
合成したり、いろいろな性質のコラーゲン誘導体も作られています。その中には、分子のサイズや
親和性の適合からみても角質層を透過するものもあるのは事実です。ここまでご存じの医師の
方は少ないのが現状で、知らない方がTVで発言していることがことの問題でしょう。ただ、化粧品は
医薬品ではないので、積極的に皮膚に吸収されての効果は表現できないのです。だからといって
全てのコラーゲンが吸収されないとも言えないのです。』
『現在は培養細胞を使用して、美容成分がどのような働きを持っているのかテストをしている訳ですが、
今までに数多くのデータが蓄積されています。その中で、コラーゲンを処理して小さい分子にしたものは、
線維芽細胞という皮膚の内部でコラーゲンを作る細胞に働いてコラーゲンの合成を促進するデータも
あります。また、植物エキスの中には同様の効果を持つ成分も多く発見されています。高麗人参エキス、
或いは今話題の大豆イソフラボンなどは有名な成分の代表でしょう。動物由来のコラーゲンがあまり
使われなくなった現在では、このような植物エキスが主流になりつつあります。』
『現在お肌の水分や油分を測る機械は化粧品各社や健康関連の会社から多くの種類が化粧品店に
斡旋されたり、販売されています。その為、肌の水分や油分を測る機会も多くなってきています。その
中で多い質問なのですが、全般的に言えることが、測る条件によって水分や油分の測定値は変化しや
すいということです。肌の状態は気温や湿度、体内の状態や測定前の行動などによって大きく変化し
ます。特に水分値は影響が激しく、汗をかきやすい状態、或いは気温や湿度の状態が直接関係して
きます。その影響を受けて水分値も測定の度に多少の変動はあるので、きちんと肌に合ったお手入れを
していても、水分値が下がってしまうことは十分あり得ます。』
『では、どう水分値を捉えればいいのでしょう? まず、肌の状態がきちんとお手入れによって乾燥が
気にならないかどうか、実際の感じ方が一番大事です。特に、肌状態に問題を感じなく、そしてメイクも
きれいについていれば、お手入れの効果が出ていると考えて良いのです。その上で、肌の水分値を
参考にすればいいのです。そう、あくまでも水分値は肌状態を推定するための参考値なのです。
もし、できれば、水分値を季節の変わり目とか継続的に同じ種類の機器で測り続けることをお奨めします。
肌を取り巻く環境や体調の影響を受けるでしょうが、そのような中で水分値がどのようにばらつき、変動し
ているのか把握することは、やはり客観的に肌状態を見るのに役立ちます。化粧品専門店もそのような
観点からお客様の肌状態を把握されている場合が多く、それが正しい機器を利用した肌管理だと
思って良いでしょう。また、肌状態を把握するには、水分値だけではなく油分値などと総合的にみる
必要があります。特に肌のうるおいは角質層の水分と油分のバランスが重要ですから。』
『よく考えてみれば、体調を測る測定値のうち、血圧などもそのような感じです。一度測ったからと
いって、その測定時の条件によっては変動してしまいます。健康診断の時は出来る限り、安静な条件で
測定室もある程度環境は整った所で測るのと同じことです。実際に店頭などで肌を測定していても、
なかなかそのように測定条件を一定に保つのは大変ですね。測定回数を重ねて、測定値のばらつきを
考慮して気長にみることが良い方法で、あまり数値の上がり下がりで一喜一憂はしないほうが良い
でしょう。長年に渡って、水分や油分を測ることで肌状態を把握することは、化粧品が肌にきちんと
働いているかどうかを見るのに参考になっていることは確かです。それは、肌カウンセリングの現場で
使い続けられていることからも証明されていると考えて良いと思います。』
『皮膚が生まれ変わるというのは、皮膚の表皮が基底層で細胞が新生されて角質細胞に変化して表面に
出てくるまでの一連変化を通じて、新しい細胞に入れ替わるまでを言います。これを角質代謝とか角質の
ターンオーバーとか言っていますが、その入れ替わる期間は28日だと古くから言われています。(少なく
とも、私が化粧品業界に入った約30年前にも) でも、その日数に対して皮膚の部位により、或いは皮膚の
状態により違うことも言われていますし、そのような研究結果も報告されています。つまり、生理周期の
ようにある程度決まった日数があるのではなく、もともと幅のある日数だということです。』
『更に、生まれ変わる最初の定義も難しいのです。基底層で細胞分裂によって細胞が生まれますが、基底層に
ついたままなら角質細胞に変化することはなく基底細胞のままですが、基底層から離れて初めて角質
細胞への変化が始まります。この際に、どこがスタート地点とするか、様々な見解があります。基底細胞が
細胞分裂の準備を始める時をスタートに考える場合と、細胞分裂の結果、基底層から離れた時をスタートに
考える場合と大きく差が出ます。それよりも健康な皮膚であっても部位差の方が更に大きいことも解って
います。また人による差、つまり個人差も、年齢による差もあります。おおざっぱに言って皮膚の生まれ変わり
の期間は3週間から8週間の幅にあると言われています。一部のメーカーでは、そのほぼ中間をとって
6週間であると言い続けていますが、長年思われ続けた28日というマジックナンバーにはかなわない状況
です。』
『そもそも私達生物の活動にはある変動幅がありますので、あまり数字をきちんと決めることには無理が
あるのです。体温や血圧をとってもある変動幅がありますので、体温は36℃が正しくて、最高血圧は
120が正しいとか言い切れないのと同じだと言うことです。あまり数字の細かいところにこだわるのは
意味がないことだと思います。だから皮膚の生まれ変わりは早くて1ヶ月、遅くとも2ヶ月はかかるのだなと
大らかに考えればいいのです。大事なことは、きちんと角質細胞へ変化するのに十分な時間がとれれば
潤いをしっかりキープできる訳で、化粧品はそのお手伝いをしていると言うことです。』
『最後に、28日と言われ続けたことについてですが、おそらく皮膚が炎症や怪我などで回復する期間を
もとに、生理周期や月の満ち欠けの周期などと合わせて、そのようなセンスのある学者さんが28日と
言ったことがきっかけかも知れません。これは私の推理ですが、もし、誰かもっと根拠のある説か
文献をご存じなら、是非一報を下さい。それから、近年では皮膚の「角質」や「角質細胞」を「角層」、
「角層細胞」と呼ぶ傾向にあります。でも、当面は言い慣れている方を使うことで問題は無いでしょう。
あまり、このような細かいことにこだわっても本質を見失わなければ良いと私は思っています。』
『最近、医師とか美容家からコットンを使うと肌を傷めるから使わない方が良いという話を、TVや雑誌、或いは
単行本で聞くことが多くなりました。そのような主張のほとんどは、コットンの線維が肌表面を削り、角質細胞を
取り除くからという理由で、肌を傷めるというものです。そして、取り除かれた角質細胞は肌表面を守っている
働きがあるから、それが無くなることによって、肌表面の保護力や保湿機能が低下するからと言うのです。』
『一見、それらの理由はもっともらしいのですが、大きく誤解があります。確かにコットンで角質細胞が取り
除かれることは事実ですが、その取り除かれた角質細胞は、放っておいても1日以内にはがれてしまう、
古くなった角質細胞なのです。これが垢の本体ですが、そのはがれた後にはきちんと健康な保護力のある
角質細胞が表面を覆うので、一切問題は無いのです。古い角質細胞は洗顔や、何かの折に皮膚を擦ったり
することで落ちているわけだし、普通は汚れが付着しているので、清潔に肌を保つ為に洗う訳なので、その
時に垢として落ちているのです。これが正常な角質代謝の仕組みなのです。』
『さて、コットンは肌を傷めるかということですが、確かにコットンの繊維はセルロースという植物繊維から
出来ていて、乾燥状態では繊維そのものは硬い状態です。しかし、化粧用コットンに使われている繊維は
細く柔らかく、ウェーブがかかっているものを、ふんわりとした柔らかいシート状にして重ねて作られた
ものが多いのです。だから肌に柔らかく当たりますので、痛めることはほとんどありません。しかも、セル
ロース繊維は水を含むと柔らかくなる性質もありますので、更に肌当たりは柔らかくなるものなのです。』
『多くの化粧品メーカーはコットンで肌になじませることで化粧品を十分な量を肌に与える使用法を推奨
していますが、化粧品の効果や安全性はそのような使用方法を前提にして開発されているのです。おそ
らく、コットンが肌に良くないと主張している人々は、その実態を十分に理解されていないのではないかと
思います。ただ、いくらコットンがそのように肌当たりが柔らかいものだと言っても、ゴシゴシと強く擦り過ぎると、
肌を傷めることになりますから、それだけはしないで下さい。肌に心地よく使うのがこつで、ほどほどに
ということです。』
『美容特集のTV番組で、何らかの美容によいことをしたときに、その効果の検証として肌年齢測定器を使い、
肌年齢が若返ったというのを確かによく見ます。よく見かけるのは小さな測定器で肌に当てるだけで年齢が
数値として出るタイプです。測定器のメーカーはタニタですが、そのメーカーは体重計や体脂肪測定器で
名の知られたところです。肌年齢測定器の説明書を読んだところ、実際の年齢を事前に入れておき、肌の
水分や弾力性を基に肌年齢を推定するメカニズムとなっています。原理的にはあっているのですが、ここ
には重要な問題点があるのです。』
『確かに理論的には年齢とともに肌の水分値は低下し、肌の弾力性も低下する傾向にありますので、
それらのデータに基づいて年齢との関係を導き出すことは可能です。しかし、その機器には年齢との関係を
導き出すデーターは明らかにされていません。おそらく、開発した段階で、各年齢層のデーターをとって
年齢との相関係数を出して計算に使っていると推定されます。でも、きっと水分値や弾力性は年齢によって
大きくバラツキが出ているはずです。これはどのような肌測定機器を用いても起こるものなのです。
同じ人で、同じ部位の皮膚を計ってもバラツキは出てきますし、日にちや環境が違えば数日の差でも
かなり違うことが実際にあります。研究的には温度や湿度がコントロールされている部屋で計ることが
常識的ですが、TV番組を見ている限り、そんな環境の基で計られていません。』
『さて、よくTVで使われるタニタの肌年齢測定器ですが、もう一つ気をつける必要がありますが、最初に
いれる実年齢がポイントとなります。いろんな人や部位を測定した結果、計算の仕組みとして最初に入力
する年齢のプラスマイナス5歳くらいの幅にしか表示されませんでした。だから、肌年齢が10歳以上も
若くなったという結果については、どうも疑問となります。ひょっとして、最初に入れた実年齢をどうしたのか
放送では全く触れられていません。それに、コントロールされていない環境下で、たった一回の測定で
結論を出すというのも、そもそも問題なのに、それを科学的に検証したというのですから良心を疑って
しまいます。』
『そのほか、コントロールされた環境で、もっと正確に測れる肌測定器を基に肌年齢を測定したり、
肌の表面をサンプリングして角質細胞の大きさ等を測定して肌年齢を推定する場合もあります。中には
肌の細胞からテロメア遺伝子を測定して肌年齢を推定することも新聞報道で数年前にありました。
でも、いずれの場合も年齢とともに何らかの変化がありますが、データーのバラツキ具合から見て、
肌年齢を一桁まできちんと出すことには無理があると思えます。そもそも肌年齢と考えても、肌だけで
年齢を判断できるだけのきめ細かい数値を出すことには無理があるのではないでしょうか。ただ、若々しい
肌に関心をもち、その為のケアをする為の、一つのバロメーターとして捉えるなら肌年齢も役立つと
思います。しかし、美容効果の検証に使うのは、どうみても無理があるとしか言いようがありません。』
『この質問は、TV番組の美容特集において私も視聴したなかで同じように感じました。著名な美容家のコメントなので
影響度はかなりあるでしょう。結論から言いますと、化粧品の能書に書いてあることに従うことで良いと思います。
次に使う化粧品は○分経ってから使うようにと書いてあればそのようにしてください。もし、具体的な時間や目安が
書かれていない場合は、なじんでいると思ったら、そのまま次の化粧品を使っても大丈夫です。なじんでいるというのは、
手やコットンでのばしなじませた後、肌の表面に化粧品が残っているように見えなければ一応なじみ終わったとみて
よいのです。多少、手で触ってもペタペタ感じても大丈夫です。』
『多くの化粧品会社では、商品を開発する時、使用順序に従って化粧品の感触を確かめていますので、特別に能書に
明記していない限り、なじみ終わったと感じたら次の化粧品をつかっても大丈夫なのです。化粧品の使用順序も、
基本的には能書に従えば一番化粧品の効果を出せるし、使用感触も良いのです。しかし、違うメーカの化粧品を組み
合わせて使っている時は、使用している化粧品数の多いメーカーか、重要度の高いと思われる化粧品のメーカーの
使用順序に合わせてみることです。それで全て使い終わった時の後肌感触が心地よければ大丈夫でしょう。もし、
後肌感触が良くなければ使用順序を変えて、一番納得できる感触になるように調整します。あまり化粧品に対して経験が
ない時は、よくブランドを揃えた方が無難だと言われているのは、化粧品は使用順序を考慮して開発されているから
です。』
『現在は時間をかけたくとも忙しい生活をしている人が多いものです。大切なことは、自分の生活リズムの中で、毎日、
きちんと化粧を習慣つけることです。多くの化粧品はそのような事情を考慮して開発されているものです。確かに自分の
肌との対話は必要ですが、あまりにも時間を気にしすぎることはないでしょう。そう言う意味でも、肌なじみの遅い化粧品は
敬遠される傾向にありますし、化粧品開発の動向を見ていても、肌なじみが早く、しかも快適性の高いものが作られている
方向にあります。皮膚科医や美容家、或いはメイクアップアーティストが必ずしも化粧品の開発事情について詳しいとは
限りません。その方々の専門領域についてのアドバイスは参考にしても、専門外の話は気をつけて聞くことも必要だと
思います。』
『毎年のように画期的とか独自開発というようなキャッチフレーズで新規の美容成分を配合した化粧品が
登場していますが、やはりどの美容成分が一番よく効くのか気になりますね。この質問は「素朴な疑問」の
(疑問 5、「美白成分ってどれが一番効くの?」)と共通するところがありますので後で読み直していただくと
良いでしょう。』
『さて結論から言ってしまいますが、化粧品は医薬品ではありませんので、美容成分一つで肌にとっての
効果性が極端に違うことはないと思います。極端とは一度や数度使うことで効果性に違いがでるようなことは
考えにくいということです。化粧品は毎日使い続ける、或いは必要に応じて使う特殊な化粧品も含めて、
肌を清潔に、健康に保ち、そして美しく魅せるようにしてくれる商品です。医薬品の様に激しい作用をもつ
ことはありません。だからこそ安心して使えるものとも言える訳です。スキンケア商品で言えば、健康に
保つとは、肌本来の働きである体を保護する機能を保湿効果や柔軟効果でサポートすることも重要な
働きなのです。その為に保湿成分や柔軟成分を一種、又は多種組み合わせて配合してあります。
これらの美容成分も化粧品を構成する成分、すなわち水やオイル成分、乳化成分、安定化成分などと
組み合わさって結果として肌を健康に保つように働くと考える方が現実的だと思います。肌で効果実感とか
使用感触とか感じるのはこのような複合的な作用だと考えられます。だから美白成分の時に答えた
ように、化粧品に配合されている状態では、それぞれの美容成分に大きな差があるのではなく、化粧品に
使われている全成分の総合的な差のほうが大きいと考える方がよいと思います。』
『さて、毎年のように開発され新たに登場する美容成分ですが、ブームになるような美容成分もあり、
大いに気になるものです。しかし、ブームになるには様々な要因があり、ブームになった成分が本当に
その効果性に、或いは美容のニーズに充分応えてくれるかどうかは冷静に見つめることも大事だと
思います。本当に有用な美容成分なら、ブームが落ち着いても使い続けられるものです。ブームに
左右されることなく、過激な美容情報に煽られることなく、自分の肌に心地良く使えて、肌が快適に、
魅力的に保てる化粧品を選び、使い続けることが美容にとって一番重要だということです。』
『科学技術の発達によって生活が便利になってくると、それに対する警告の意味合いで科学技術の悪い面を取り
上げる風潮はいつの時代にもあるのでしょう。もちろん、自然環境との折り合いを付けながら科学技術を取り入れる
必要性は常に持ち続けることは当然です。科学技術の発達は自然界に有害成分をまき散らし、何だか私たちの
周りは毒だらけにも思えますが、生きている限り、そんなに恐怖心を持つことはないのではないかと思います。』
『この頃のデトックス・ブームを考えると目に見えない現代社会の有毒物への恐怖が背景にあるように思えます。
デトックスとは体内に溜まった毒素を排出する概念ですが、そもそも毒素に関する定義もあいまいですし、例え
毒素であっても量的な問題や、毒素に対する感受性も全く無視している理論背景が疑問となります。単なる
イメージ上の概念であって、科学的な検証に基づいて立てられた理論ではないことが重要なポイントになります。
確かに歴史を見ると有機水銀による水俣病、PCBによるカネミ油症など有名な事件がありますので、そのような
危険性があることを否定は出来ません。しかし、私達はそのような不幸な事件を二度と起こさないよな努力も
重ねて現在があることも事実です。食品や生活に必要な物質からは常に有毒性の物質を排除し、より安全性の
高い物へと改善されているのも事実です。』
『私達の体の仕組みは、有害な物質が食物を通して体内に入ったり、皮膚から入ったりしても、粘膜や皮膚の
免疫システムで阻止されたり、肝臓で解毒されたり、或いは腎臓で排泄されたりして体内環境は常に良い状態を
保つようになっています。また極端に有毒な物を食べてしまえば嘔吐などで吐き出したり、下痢を起こして排泄
しています。(もちろん全ての毒物を排除できる訳ではありません) たとえこのような仕組みであっても微量な
有毒物が体内に残ってしまうこともありますが、その場合は生命活動に大きな支障はないと思って良いのでは
ないでしょうか。むしろ、そのことさえも不安に思って生活することの方が悪影響が強いと思います。現在の
デトックス・ブームは生物学の基本を理解できない人々によって、見えない体内毒素の恐怖心を煽り、それを
解消することによって成り立っているように思えます。デトックスによって気分スッキリとすることはまあ良しと
しても、脅迫概念を植え付けられて過度のデトックスを行う必要性は、生物学的な見地からみても不要なことだと
私は思っています。ただし、有毒物の誤飲や事件性の投与による場合はこの限りではなく、きちんと適切な
医療処置による毒物排出が必要なことは言うまでもありません。』
『いったん出来たシミはなかなか美白化粧品でも取るのは難しく、やはり紫外線から肌を守ることを基本に
予防が一番の対策です。でも出来たシミがどうしても気になって取ってしまいたくなった時は、選択肢の
ひとつに皮膚科など美容医療を行っている医療機関に行きレーザーで取ってもらうことが考えられます。
私もよく聞かれますが、自分自身の体験から最近では答えています。私もレーザーで老人性のシミを
取ってもらって5年以上は経っていますが、今では同じ部位に薄く出てはいますがほとんど目立つことなく、
そして濃くもなっていません。だから答えとしては、腕の良い医師のいる医療機関で取ってもらうのであれば
レーザーによるシミ取りは良いでしょうと言っています。私のシミを取ってくれた医師も、当時はシミが再発
する可能性はありますと経験上話されていましたので、ある程度はシミの再発を覚悟していました。しかし、
その後の再発予防ケアも大事なスキンケアで、紫外線防止は常に気を付けてきました。』
『皮膚科学会などの報告を聞いていて、レーザーでシミを取ることは今では医療機関では一般的な治療法
となっていることは事実です。しかし大事なことは技術的に、インフォームドコンセントの能力的に優れている
医師が担当してくれるかどうかです。レーザーは光のメスです。だから使い方を誤ればシミを取っても新たな
トラブルを発生させる危険性もあります。話に聞く所では、エネルギーが強すぎて火傷をおこし、その後の
色素沈着が出来て再びシミになったというケースもあったと言います。私の場合には、きちんとその可能性も
あるし、再発の可能性も、或いはシミの種類によっては取れないこともあることまで事前に話された上で、
レーザーによって取れることの可能性が高いと説明を受けました。そして数ミリの1スポットだけ試しにレーザー
を当てて取れることを試した後でシミ全体を取ってもらいました。このようにきちんと説明をした上で治療を
してもらうことが一番だと私は体験上思っています。』
『そのような医師がいる医療機関を探すには評判などのクチコミが今のところでは一番の頼りになるのですが、
病院内の雰囲気や、医師による説明のしかたや質問への答え方で判断するしかありません。でも、レーザー
でシミを取った人が私の周囲でも多数いることは事実ですので、今ではレーザーによるシミの除去は一般的な
治療方法として普及していると認識しています。しかし、日常の紫外線ケアを始めとしたシミをつくらない美白
スキンケアは一番大事なことだということも忘れてはいけないことです。』
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