入管・難民法改訂を巡る報道・コメント等セレクト
(2002年5月15日〜)
「助けて」と息子が訴え入管収容のアフガン男性、難民裁判中 「タリバーンに足を切られた私に免じて、どうか父を助けてください」。難民認定を求めながら、東日本入国管理センター(茨城県牛久市)に収容されたアフガニスタン人グラム・フセインさん(49)の息子(14)から政府にあてた手紙を支援者が持ち帰った。一家は4年前、本国で生き別れになり、息子は父の行方をかばって足の指を切り落とされた。支援者によると、フセインさんは高血圧のため、25日にも一時意識不明になるなど、深刻な病状だという。 |
2002年11月30日 毎日新聞
切り落とされた指、タリバン迫害の証拠 ◇アフガン人支援団体「収容やめて」 タリバンに迫害されたが日本で難民と認められず、超過滞在を理由に東日本入国管理センター(茨城県牛久市)に収容されたアフガニスタン少数民族、グラム・フセインさん(49)の体調が悪化している。アムネスティ・インターナショナルは収容を続けることに懸念を示す公開書簡を森山真弓法相に送付した。支援団体の現地調査で、二男(14)が父を捜すタリバン兵に足の指を切断されていたことも分かり、支援者は「一刻も早く解放し、難民と認めて」と訴えている。【磯崎由美、山成孝治】 |
「日本の難民政策不満」 緒方さん、日弁連へのメッセージに森山法相質疑で反論 緒方貞子・元国連難民高等弁務官=写真<右>=が日本弁護士連合会のシンポジウムに寄せた「日本は難民条約の精神や価値観を真に理解し、実践してきたのか」などとするメッセージに対し、森山真弓法相=同<左>=が国会で「腑(ふ)に落ちない」と答弁し、関係者の間に波紋を広げている。 |
緒方貞子さんが政府に苦言−−難民シンポにメッセージ 瀋陽事件やアフガン人一斉収容を機に難民認定制度の見直しが進む中、東京都内で16日、日弁連などの主催するシンポジウムが開かれた。緒方貞子・前国連難民高等弁務官がメッセージを寄せ、「日本は難民条約の精神を真に理解し、実践してきたのか」などと、日本政府に苦言を呈した。 |
難民認定手続き大幅緩和へ 法務省、03年に法改正案 法務省は、難民認定手続きを大幅に緩和する方針を固めた。来年の通常国会に出入国管理及び難民認定法改正案を提出する。日本の難民認定の運用に対しては「認定数が少ない」「不認定となる理由が不透明」などの批判が以前からあり、中国・瀋陽の日本総領事館事件をきっかけに検討が始まっていた。 |
政府却下の約30人は「難民」 国連が独自調査 日本政府が難民と認めなかった外国人について、国連難民高等弁務官事務所が独自
に審査したところ、難民にあたると判断できたケースが99年以降の4年間で約30 人いたことがわかった。どちらも同じ難民条約に基づいて審査したのに結論は正反対
になったという。 |
2002年8月28日 朝日新聞
難民「門前払い」の見直しを 飯竹恒一(記者は考える) 「まずは入国させてもらい、それから境遇を聞いてもらおうと思った」。ミャンマー(ビルマ)の少数民族ロヒンジャー族出身の男性(30)は、虚偽の商用ビザで2度にわたって成田空港から入国を試みた理由をこう語る。 |
2002年8月21日 共同通信
難民政策見直しを前倒しへ 迅速対応目指し10月に 森山真弓法相は21日、私的懇談会「出入国管理政策懇談会」の「難民問題に関する専門部会」(部会長・横田洋三中大教授)が年内に予定していた難民政策見直しのための意見取りまとめを、10月に前倒しするよう求める意向を固めた。政府が7日の閣議で内閣官房に「難民対策連絡調整会議」(議長・古川貞二郎官房副長官)を設置し、総合的な難民対策に乗り出したことを受けた措置。中国・瀋陽の亡命者連行事件などを機に高まった難民政策の見直し論議を踏まえ「難民に冷たい日本」との内外のマイナス・イメージを解消するため、首相官邸と足並みをそろえた迅速な対応が必要と判断した。 |
2002年8月11日 読売新聞
難民認定希望者の聴取項目を明確化 外務省が対応指針 外務省が新たにまとめた、難民認定希望者が在外公館を訪れた際の対応指針(ガイドライン)の内容が十日までに明らかになった。希望者に対する聴取項目を明確にしたほか、在外公館、外務省、法務省の連携強化などを定めた。 |
2002年8月8日 共同通信
条約難民の定住支援決定 政府の連絡会議が初会合 政府は七日午後、これまでベトナム、ラオス、カンボジアからのインドシナ難民に限定してきた定住支援措置を、入管難民法で認定された「条約難民」にも適用することを閣議了解し、同時に新設を決めた「難民対策連絡調整会議」(議長・古川貞二郎官房副長官)の初会合を首相官邸で開いた。 内外世論受け一定の前進 条約難民の支援拡充で 政府が七日に新設した「難民対策連絡調整会議」でインドシナ難民に限定していた定住支援措置を入管難民法で認定された「条約難民」にも拡大することを決めたのは、待遇の格差是正を求めた国連人種差別撤廃委員会の勧告に加え、中国・瀋陽の亡命者連行事件を契機に高まった難民政策への関心に対応する必要に迫られた結果だと言える。 |
2002年7月12日 毎日新聞
不法入国も滞在資格 政府方針 難民認定の審査中 政府は11日、在留資格を持たないで難民申請をした外国人について、審査中の日本滞在に法的根拠を与える方針を固めた。法相が特別な理由を考慮して、一定の在留期間を指定する「定住者としての在留資格」に準ずる資格を付与する検討に入る。不安定な身分のまま、難民認定の可否を待つという特異な状態の解消が必要と判断した。81年の国連難民条約加入をきかっけに制定された入管難民法で難民に関する法改正は初めて。 |
2002年7月11日 読売新聞
難民手続き、在外公館でも対応 「脱北者」を念頭に検討/政府・自民 政府・自民党は十日、北朝鮮から中国に逃れた「脱北者」などの日本への難民認定希望者が在外公館に駆け込んだ場合、外務、法務両省に連絡して保護の可否を検討したうえで具体的措置を講じるなど、在外公館での受け入れの仕組みを明確にする方針を固めた。国連難民条約で「人種、宗教、政治的理由で迫害の恐れのある」と定義された難民(条約難民)について、国内だけでなく、在外公館でも受け入れる体制を作るものだ。今後、関連法の改正などを検討する。また、難民条約に加盟しながら難民認定制度のない中国に対し認定制度の創設などを働きかけ、脱北者問題全体の解決も進めたい考えだ。 |
2002年7月7日 読売新聞
[政治を読む]難民政策見直し 国民的な合意が不可欠 四十八万人と二百九十一人。何の数字か、お分かりだろうか。 |
2002年7月1日 毎日新聞
難民支援に新機関 自立へ、就職あっせん−−政府方針 政府は、難民認定した外国人に対し、日本語学習や就職あっせんなどを通じ、自立を手助けする支援機関を新設する方針を固めた。こうした支援は現在、主に非政府組織(NGO)のボランティアに委ねられており、公的支援の必要性が指摘されてきた。外務、文部科学など関係省庁で調整したうえで、必要な法改正、予算措置を行う。 |
2002年7月1日 共同通信
難民 受け入れ改善の道 遠く/日本の認定26人、欧米と大差 中国・瀋陽の日本総領事館で起きた朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の亡命者連行事件は、日本の難民政策の実態を如実に反映した。難民条約に加盟しながら、難民受け入れに極めて消極的な日本。欧米で高まる移民排斥の動きなどを理由に「難民鎖国」を擁護する声がある一方、日本の現状を「条約違反に等しい」とみなす批判は高まっている。各国の事情を報告し、日本の課題を探った。 ▼日本の改善策を提言/「出入国管理から独立を」渡辺氏/ 政府・自民党も見直しを始めた日本の難民政策。どう改善するべきだろうか。 <難民> |
2002年6月27日 毎日新聞
難民支援 米NGOのいま ビレイ・チャランラー氏に聞く 【ワシントン26日平山孝治】世界最大の難民受け入れ国のひとつである米国の難民政策の特徴は、非政府組織(NGO)やボランティアが担うきめ細かい定住支援といわれる。ワシントンにあるNGO「ニューカマー・コミュニティー・サービス・センター」所長で、自身もラオス難民として米国に来た経験を持つビレイ・チャランラーさん(52)に活動実態などを聞いた。 |
2002年6月21日 読売新聞
難民政策に驚くほど閉鎖的な日本 二十日は「世界難民の日」。政府や与党の難民・亡命者の受け入れ政策の見直し作業を点検した。(政治部・小川聡) |
2002年6月16日 読売新聞
難民認定を透明化、一時受け入れ施設も整備へ 政府は15日、中国・瀋陽で起きた亡命者連行事件を契機に日本の難民政策見直しの機運が高まったことを受け、〈1〉不法入国した難民申請者の位置づけを明確にする〈2〉難民申請者の一時受け入れ施設を整備する――などを柱とした見直し策をまとめ、必要な法改正や予算措置を行う方針を固めた。難民申請の受付期間の延長や、難民認定の再審査制度の改善なども検討する。見直しは、難民への門戸を直ちに広げるものではないが、国際社会から「厳しすぎる」などの批判が出ている日本の難民認定の透明性を高める狙いがある。
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2002年6月16日 朝日新聞
北朝鮮脱出者、東南アジアに大挙流入 中国を経由 朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)を脱出した人たちが、中国経由でモンゴルや東南アジア諸国に大挙流入していることが分かった。脱出者らは各国で難民認定を申請し、韓国の情報機関の支援なども得て、順番に韓国へ送り込まれているという。中国内の外国公館に駆け込む事件の続発とは別の動きが進んでいることになる。 |
2002年5月25日 共同通信
難民問題で専門部会設置 森山法相 森山真弓法相は二十四日の記者会見で、法相の私的懇談会「出入国管理政策懇談会」の下に、新たに「難民問題に関する専門部会」を設置し、難民受け入れの在り方などについて検討を進める、と発表した。 |
2002年5月24日 森山法務大臣 定例記者会見
5月24日 森山真弓法務大臣 定例記者会見 【難民問題に関する専門部会の設置について】 |
[瀋陽事件と日本外交]難民には遠い国 受け入れ、冷戦時代のまま ◇制度見直し、重い課題 ◇ ◇ 川口順子外相は北朝鮮の住民5人が出国後の23日、難民・亡命者への対応は「瀋陽事件がもたらした最大の問題点」と指摘した。今回の事件は大量にあふれ出す難民・亡命者と日本がこれからどう向き合うかを厳しく問いかけている。 ◇領事館の対応に批判や質問続出−−外務省「変える会」 外務省改革を話し合う川口順子外相の諮問機関「変える会」の会合が23日あり、総領事館内連行事件での総領事館員の対応に「研修が十分なされていないのではないか」などの批判が出た。副領事がウィーン条約の存在や亡命希望者が駆け込む可能性を認識していたかといった質問も相次いだ。 |
2002年5月23日 毎日新聞
領事館内連行事件 小泉首相「あいまい決着」− 小泉純一郎首相は23日昼、総領事館内連行事件の朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)住民5人がソウルに到着したことについて「(中国が5人を)行方不明者として扱わないと解決できなかった。あいまいなまま、はっきりしないまま導く方法がある。なかなか理解してもらえないが、そこが外交交渉の難しさだ」と述べ、事実関係の究明などを棚上げにした「あいまい決着」だったことを認めた。首相官邸で記者団の質問に答えた。 |
2002年5月23日 中日新聞
亡命対応を見直し 法相 私的懇談会で検討へ 中国・瀋陽の総領事館侵入連行事件に伴い、外国からの政治亡命希望者や難民認定申請者に対する対応の見直しが日本政府にとって新たな政治課題として浮上している。 |
2002年5月23日 中日新聞
瀋陽事件 北朝鮮の5人出国 不手際の連続、重い課題 瀋陽の亡命者連行事件は二十二日、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)住民五人が中国を出国、「人道優先」という日本の主張を一応満たした形となった。だが、ウィーン条約違反など折衝次第では不審船引き揚げ問題など他の日中間の難問にも余波を与えかねない状況。関係者の責任問題など残された課題を探った。 |
政府・与党*難民への対応 見直しに着手*ムード先行 難航も 中国・瀋陽で起きた亡命者連行事件での日本総領事館の対応に批判が集まっていることを受け、政府・与党は十六日までに、亡命者を含む難民受け入れの対応方法を見直す作業に着手した。これまで在外公館での受け入れ指針などはなく、そうした場合のマニュアル策定や受け入れ基準の緩和を想定している。しかし、難民をどこまで受け入れるべきかという問題もあり、難航が予想される。 |
2002年5月21日 共同通信
難民認定見直しに前向き 反省点あると法相 森山真弓法相は二十一日午前の参院法務委員会で、中国・瀋陽の亡命者連行事件に関連し「難民認定の在り方が今のままでいいのか反省すべきこともいろいろある。人道とか人権に関する意見の変化もあるので、政府全体として審査体制の充実や整備の在り方を検討すべきだ」と述べ、難民対策の見直しに前向きな考えを示した。 |
2002年5月21日 共同通信
自民が難民認定見直しへ プロジェクトチーム設置 自民党は二十一日、中国・瀋陽の亡命者連行事件を受けて、政治亡命の取り扱いや難民認定の在り方を見直す方針を固めた。党政務調査会内に麻生太郎政調会長直轄のプロジェクトチームを発足させ検討作業を進める方向で、対策を取りまとめ政府に実現を迫りたい考えだ。 |
2002年5月15日 毎日新聞
総領事館内連行事件 亡命対応に見直し論 中国・瀋陽の日本総領事館内連行事件を機に、政府・与党内で「亡命申請」への対応見直し論議を求める声が上がっている。現状では、亡命の門戸は極めて狭く、特に在外公館での受け入れは想定されておらず、今回の初動のまずさにつながったという指摘がある。これまで柔軟対応を探る外務省、慎重姿勢の法務省を中心に議論されてきたテーマだが、事件を機に議論の輪が広がった。 |