『パタパタ飛行船の冒険』とジュール・ヴェルヌの世界

清瀬 六朗


コミックマーケット66

― 新刊計画! ―

 というような計画を立てているところなんですが、まあ、どうなることやら……ってところで。なお、収録予定の文章は、順次、このページで公開していく予定です。



航海薄明

「航海薄明」とは?

 日の出前または日暮れ後、肉眼で一等星が見え、同時に水平線が確認できるぐらいの明るさをいう。星を観測して船の位置を確かめながら航行するのに最適とされる時間帯である。

原案

 ジュール・ヴェルヌ『ハッテラス船長の旅と冒険』、『地軸変更計画』(『上もなく下もなく』)

ものがたり

 あの冒険から1年後――。バンチは未知の北極大陸の発見を目指すハッテラス探検隊の一員に選ばれ、大西洋を北上していた。サブリは稼ぎのいい仕事があると聞いてふたたびあの沙漠へ向かったという。

 ジェーンは以前と同じようにグレナー城で暮らし、人力飛行機「パタパタ飛行船」の改良をつづけていた。そのグレナー城に東洋の国からミユキという名まえの少女が訪ねてくる。ミユキの父はジョージ・バクストンの浮遊泉実在説に関心を抱いて、西方の沙漠地帯に探検に出かけた。そのまま帰ってこない。その行方を知る手がかりを求めて、ミユキははるばる海を渡ってやって来たのだ。ジェーンの心にあの日々の思い出がよみがえった。ジェーンはミユキにネオシティをめぐる真相を打ち明けるべきかどうか悩むのだった。

 同じころ、アメリカ合衆国からは、「ガン・クラブ」の宇宙船が月世界を一周して帰還したという快挙の報が伝わってきた。この偉業を讃えて合衆国大統領は宣言した。「ガン・クラブは次には地球始まって以来のこの星の大改造事業を計画しています。計画成就のあかつきには全人類の前途に光明の未来が開けるに相違ありません! 合衆国政府は、ガン・クラブの勇気をたたえ、この事業に心から賛同し、全力を挙げて支援します!」。

 ガン・クラブの「地球改造計画」とはいったい何か? それは浮遊泉とどんな関わりがあるのか? ふたたびジェーンの冒険の日々が始まる。

― おわり ―