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Review: Myra Melford & Satoko Fujii (live) @ Cremonia Hall, Tokyo
2007/01/09
嶋田 丈裕 (Takehiro Shimada; aka TFJ)
クレモニアホール, 荻窪
2007/01/09, 19:00-21:00
Myra Melford (piano), 藤井 郷子 (Satoko Fujii) (piano).

Myra Melford はシカゴ (Chicago, IL) 出身、 1990年代前半にニューヨーク・ダウンタウン (Downtown, New York, NY) の jazz/improv シーンで頭角を現し、 現在は UCB (Univ. of Calfornia, Berkeley) で教鞭を取りつつ US西海岸を拠点に活動する女性 piano 奏者だ。 そんな彼女が休暇での来日の間に、藤井 郷子 とコンサートを開催した。 藤井は、1990年代半ばにボストン (Boston, MA)、そしてニューヨークを拠点とし、 1990年代末から東京を拠点として主に jazz/improv の文脈で活動する piano 奏者だ。 まずは 藤井 が solo で約30分、続いて Melford が solo で10分程の曲を3曲、 そして duo で10分程の曲を2曲、アンコールも duo で10分程を1曲演奏した。

Melford の今まで作品で最も良いと思うのは1990年代前半の trio、特に Alive In The House Of Saints (rec. 1993; hatOLOGY, 2-570, 2001, 2CD) だ (レビュー)。 blues や boogie-woogie の感覚を残したノリの良さと、 パーカッシヴで free な演奏の同居、 そして何より、強く華やかな piano の音で弾きまくる所が好きだった。 しかし、その後アンサンブル志向を深め弾きまくる展開も減り、 彼女の2000年代のグループ The Tent や Be Bread では、 piano だけではなく harmonium も演奏している。 去年リリースされた Myra Melford Be Bread, The Image Of Your Body (Cryptogramophone, CG131, 2006, CD) も、そんな彼女の最近の傾向を反映させたものだった。 そして、このライヴもそんな演奏をするのかと予想していた。 しかし、今回のライヴでは、かつての trio の時を思わせるような 強く華やかな音で弾きまくるような演奏を聴かせてくれた。 そして、それがとても良かった。

といっても、Melford の solo 1曲目は、 prepared で作った木琴のような音色で単調なフレーズを叩き、 オリエンタルな打楽器アンサンブルのような展開から始まった。 次第に普通の piano の音と交え、いつのまにかそちらでの演奏がメインになっていく。 その、華やかな音色と鈍い音色の入り交じった感じもとても面白かった。 2曲目は、初期の名曲 "Part I & II Frank Lloyd Wright Goes West To Rest" で聴で聴かれるような、軽く blues 風味を残しつつ フリーでパーカッシヴに弾きまくるところがあり、それがとてもカッコよかった。 そして、最後は boogie-woogie 的なノリを感じさせる楽しい演奏を聴かせてくれた。 (曲名も言っていただが、残念ながら聞き取れなかった。)

ウェブサイトでのライヴ情報によると、最近、Melford は Mark Dresser (bass)、 Matt Wilson (drums) と と Trio M という piano trio でもライヴをしている。 今回のライヴでの演奏を聴いていると、trio での演奏も聴いてみたくなる。 この trio で是非 CD をリリースして欲しい。 Melford は1998年にも solo で来日している (レビュー) が、 trio や Be Bread や The Tent のようなアンサンブルでの来日も是非して欲しいと思う。

昔から好きだった Melford の印象が強く残ってしまったが、 もちろん、藤井の solo も悪くなかった。 内部奏法も駆使して、ゆったり旋律を聴かせる展開と、 強い音でフリーに弾きまくる展開を行き来し、 30分に展開を作り込んでいく所も良かった。

2人の内部奏法から始まった duo での1曲目は、 強い音の出し合いのように聞こえ、正直、solo の方が良かったと感じてしまった。 しかし、藤井の低音連打と Melford の高音フレーズから始まった2曲目は、 2人の棲み分けと絡みが巧く展開し面白く感じられた。 アンコールではノリの良さも感じさせるような曲を演って、楽しく終った。