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Review: Ricardo Villalobos, Fabric 36
2007/12/30
嶋田 丈裕 (Takehiro Shimada; aka TFJ)
Ricardo Villalobos
(Fabric, FABRIC71, 2007, CD)
1)Groove 1880 (Ricardo Villalobos) 2)Perc And Drums (Ricardo Villalobos) 3)Moongomery (Ricardo Villalobos) 4)Farenzer House (Ricardo Villalobos) 5)M.Bassy (Ricardo Villalobos & Patrick Ense) 6)Mecker (Ricardo Villalobos) 7)4 Wheel Drive (Ricardo Villalobos & Jorge Gonzales) 8)Fizpatrick (Ricardo Villalobos & Patrick Ense) 9)Andruic & Japan (Ricardo Villalobos & Andrew Gillings) 10)Organic Tranceplant (Ricardo Villalobos) 11)Prevorent (Ricardo Villalobos) 12)Fumiyandric 2 (Ricardo Villalobos & Fumiya Tanaka) 13)Won't You Tell Me (Ricardo Villalobos) 14)Primer Encuentro Latino-Americano (Ricardo Villalobos) 15)Chropuspel Zündung (Ricardo Villalobos)
Mixed and Compiled by Ricardo Villalobos and Dorian Paic.

南米チリ (Chile) 生まれながらドイツ (Deutschland / Germany) 育ちで 現在ベルリン (Berlin, DE) 在住のプロデューサ/DJ Ricardo Villalobos が、 ロンドン (London, UK) のクラブ Fabric のレーベルの mix CD シリーズに登場した。 mix CD と言っても全曲自身の制作もしくはコラボレーションによるオリジナル曲で、 Villalobos の音世界を堪能できる mix CD だ。

ベースとなっているのは、minimal/micro というか click と呼ばれるような ソフトなテクスチャ感のある音をミニマルに反復させる音だ。 そして、Villalobos のセンスが映えるのは、テクスチャを作る音選びだ。 去年の Fizheuer Zieheuer (Playhouse, PLAYCD021, 2006, CD) では brass band を使っていた (レビュー)。 この mix CD でも、"Perc And Drums" での jazz 的の drums の fill のフレーズ、 "Andruic & Japan" での和太鼓の断片的な響きが耳を捉えた。

しかし最も印象に残ったのは、 1960年代に活動を始めたチリの folklore 歌手 Manduka をフィーチャーした folklore / prog rock のグループ Los Jaivas の曲 "Primer Encuentro Latino-Americano" を使ったトラックだ。 click な音の中からオフ気味に沸き上がるかけ声の反覆は、呪術的とすら感じられる。 The Wire 誌 Issue 282 (August 2007) に載ったインタビュー記事で Violeta Parra をかけているという話が出てくるのだが (関連発言)、 Parra をDJプレイの中で使う所を聴いてみたかった。 しかし、この Los Jaivas の使い方に、Parra の使い方が伺えたようで、それも興味深かった。

この mix CD は、それなりに個性のあるテクスチャを持つ曲を 15曲繋いでいるということもあり、展開も感じられる。 淡々と30分余り反覆する Fizheuer Zieheuer の ミニマルさも好きなのだが、その一方でこの展開も良いように思う。 和太鼓の響や folklore のかけ声のようなものを使っていることもあるのか、 比較的ミニマルな割に映像的に感じられた。

sources:
Ricardo Villalobos 関連レビュー、関連する談話室発言