2000年代にニューヨーク (New York, NY, USA) を拠点に活動し始めた 作曲家 / saxophone 奏者 Steve Lehman の約1年ぶりの新作は、 5tet から 8tet へ編成が拡大したものの小回り感を失わない、 On Meaning (Pi Recordsing, PI25, 2008, CD) [レビュー] 同様、切れ味の良いIDM的な変則リズムでの演奏が楽しめる作品だ。
編成は On Meaning の5tetに、 Mark Shim、Tim Albright、Jose Davila を加えたもの。 Shim と Davila は Lehman と共に Liberty Ellman のグループ [レビュー] のメンバーでもある。 brass band 的な厚めの管楽器の重ねも聴かせるのだろうかと期待した所もあったが、 編成の割に疎な音の重ね。 フレーズの断片を薄めのレイヤーに散らしたような展開は、前作と同じだ。
編成の変化の割にはあまり変わらない音に若干肩透かしされたところもあったが、 低音寄りの管楽器が加わった事により、さすがに音の奥行きは広がっている。 中でも、曲として短いながら疎な音の中に様々な楽器のソロが次々と浮かび上がってくるような “As Things Changes (I Remain The Same)” が気に入っている。 “Alloy” での trombone と tuba、 “No Neighborhood Rough Enough” での tuba と bass など、 On Meaning には無かった低音での二音の絡みも、 面白く聴かれた。