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Review: Jewels & Binoculars: Ships With Tattooed Sails
2009/08/16
嶋田 丈裕 (Takehiro Shimada; aka TFJ)
Jewels & Binoculars
Ships With Tattooed Sails
(Upshot, no cat. no., 2007, CD)
1)If You See Her, Say Hallo 2)Blind Willie McTell 3)Father Of Night 4)I Believe In You 5)Cold Irons Bound 6)It's Alright Ma (I'm Only Bleeding) 7)Spirit On The Water 8)Jack-a-Roe 9)Gates Of Eden 10)Señor 11)One More Cup Of Coffee 12)It's All Over Now, Baby Blue
Recorded, mixed and masterd by Randy Crafton, 2006/09-12.
Michael Vatcher (drums, percussion), Lindsey Horner (bass), Michael Moore (alto saxophone, clarinet, bass clarinet, melodica); Bill Frisell (guitar) on 2, 6, 10.

Jewels & Binoculars は、 アメリカ出身ながらオランダ・アムステルダム (Amsterdam, NL) を拠点に ICP (Instant Composers Pool) や The Ex の界隈で活動する reed 奏者 Michael Moore と drums 奏者 Michael Vatcher、 ニューヨーク (New York, NY, USA) を拠点に活動する bass 奏者 Lindsey Horner という、 jazz/improv の文脈で活動する3人による Bob Dylan 曲集プロジェクトだ。 3人の関係は対等で、いずれがリーダーというわけではないという。 前2作は Moore のレーベル Ramboy からのリリースだったが、 2007年にリリースされたこの3作目は Horner のレーベル Upshot から。 リリースに気付くのに遅れてしまったが、 遅ればせながらレビュー。

飄々とした Moore の reeds に良く動き回る Horner の bass、 歌心も感じる Vetcher の drums と、3人の演奏は前2作とほぼ同様だ。 さすがに、3作目ともなると、内容に予想も付いてしまう所はある。 このグループの作品をまず一枚聴くとしたら、やはり、1作目 Jewels And Binoculars: The Music Of Bob Dylan (Ramboy, #15, 2001, CD) を薦めるだろう。 しかし、それでもまだ十分に聴き所はあった。

このアルバムでの注目は3曲で Bill Frisell がゲストとして参加していること。 Frisell はこのプロジェクトにぴったりはまっている。 特に、Moore にしては強い吹きっぷりで Frisell と絡む 疾走感のある展開の “It's Alright Ma (I'm Only Bleeding)” は、 このアルバムのベストトラックだろう。 ダウンテンポな “Blind Willie McTell” と “Gates Of Eden” では、 ソロと伴奏の別がはっきりし過ぎに感じるけれども。

その一方で、trio での演奏では、“I Believe In You” や “Jack-a-Roe” のようなゆったりとした曲が、耳を捉えた。 Jimmy Giuffre Trio にも似て、柔らかい bass や reeds の響きが気持ち良いというのもある。 しかし、それだけでなく、これらの曲の方が、reeds、bass、drums の三者が 伴奏に徹することなくそれぞれ Dylan を歌うという面白さが、よく現れているように感じるのだ。