ノルウェー・オスロから Paal Nilssen-Love (The Thing, etc) と Lasse Marhaug (Jazzkammer) を迎え、東京のミュージシャンと共演する 二晩のライブシリーズ。その初日を観てきた。 3セットそれぞれ1時間弱でアンコールは無し、休憩含めて約3時間のライブだった。
1st set の 坂田 - 八木 - Nilssen-Love trio は、近い編成での演奏を以前にも観たことがあり [関連レビュー]、 sax/piano/drums trio での 1970s 的な free jazz の箏版という点では、ある程度予想されたもの。 しかし、今回は 箏 の音が格段に良くなった。 特に撥で弦を押さえてかき鳴らすような演奏の時の、二十弦箏のシャープな音、十七弦箏の深みのある響き。 それまではこういう演奏の時はもっと音がぼけてワーンと響いているような印象だったので、新鮮に聴かれた。 そういう箏の響き Nilssen-Love のドラミングが絡む展開が気にいった。 pickup や effect が良くなったのかハコや PA のおかげか判断しかねるのだけど、 こういう音で八木の double trio を聴いてみたい。
2nd set は 秋田 (aka Merzbow) と Marhaug のノイズな duo。 といっても、秋田の轟音が圧倒的で、Marhaug の音が良くわからなかった。 Merzbow というか 秋田 を聴くのも十余年ぶりだったが [レビュー]、相変わらず。
最後 3rd set は、Nilssen-Love と Marhaug に、 にせんねんもんだい の drums 姫野 さやか を加えての Smalltown Supersound な trio。 これでやっと Marhaug のシャープなノイズが聴かれた。 Nilssen-Love の緩急変化になドラミングに Marhaug のノイズ・テクスチャで立体感を作るような所が気に入った。 rock 的な単調さに派手なアクションを伴う 姫野 のドラミングは Nilssen-Love のものと対称的だが、 ドコドコドコドコ (もしくは シャカシャカシャカシャカ) という連打で切り込んでくるような所が ちょっと面白かった。
この日は午前から動いていたためかなり疲れていて、 こういう音楽を聴くのに良いコンデションではなく、後半は少々キツかったのは確か。 けど、1st set の響きの良い箏での trip の演奏が聴け、聴きに行った甲斐はあったように思う。