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Review: Paal Nilssen-Love, Lasse Marhaug, et al: Tokyo Oslo Connection (live) @ Super-Deluxe, Roppongi, Tokyo
2011/02/07
嶋田 丈裕 (Takehiro Shimada; aka TFJ)
Tokyo Oslo Connection
Super Deluxe, 六本木
2011/02/05, 19:30-22:30
1st set: 坂田 明 [Akira Sakata] (alto saxophone, clarinet, voice), 八木 美知依 [michiyo yagi] (20-string koto, 17-string bass koto), Paal Nilssen-Love (drums); 2nd set: 秋田 昌美 [Masami Akita] (noise, electronics), Lasse Marhaug (noise, electronics); 3rd set 姫野 さやか [Sayaka Himeno] (drums), Paal Nilssen-Love (drums), Lasse Marhaug (noise, electronics).

ノルウェー・オスロから Paal Nilssen-Love (The Thing, etc) と Lasse Marhaug (Jazzkammer) を迎え、東京のミュージシャンと共演する 二晩のライブシリーズ。その初日を観てきた。 3セットそれぞれ1時間弱でアンコールは無し、休憩含めて約3時間のライブだった。

1st set の 坂田 - 八木 - Nilssen-Love trio は、近い編成での演奏を以前にも観たことがあり [関連レビュー]、 sax/piano/drums trio での 1970s 的な free jazz の箏版という点では、ある程度予想されたもの。 しかし、今回は 箏 の音が格段に良くなった。 特に撥で弦を押さえてかき鳴らすような演奏の時の、二十弦箏のシャープな音、十七弦箏の深みのある響き。 それまではこういう演奏の時はもっと音がぼけてワーンと響いているような印象だったので、新鮮に聴かれた。 そういう箏の響き Nilssen-Love のドラミングが絡む展開が気にいった。 pickup や effect が良くなったのかハコや PA のおかげか判断しかねるのだけど、 こういう音で八木の double trio を聴いてみたい。

2nd set は 秋田 (aka Merzbow) と Marhaug のノイズな duo。 といっても、秋田の轟音が圧倒的で、Marhaug の音が良くわからなかった。 Merzbow というか 秋田 を聴くのも十余年ぶりだったが [レビュー]、相変わらず。

最後 3rd set は、Nilssen-Love と Marhaug に、 にせんねんもんだい の drums 姫野 さやか を加えての Smalltown Supersound な trio。 これでやっと Marhaug のシャープなノイズが聴かれた。 Nilssen-Love の緩急変化になドラミングに Marhaug のノイズ・テクスチャで立体感を作るような所が気に入った。 rock 的な単調さに派手なアクションを伴う 姫野 のドラミングは Nilssen-Love のものと対称的だが、 ドコドコドコドコ (もしくは シャカシャカシャカシャカ) という連打で切り込んでくるような所が ちょっと面白かった。

この日は午前から動いていたためかなり疲れていて、 こういう音楽を聴くのに良いコンデションではなく、後半は少々キツかったのは確か。 けど、1st set の響きの良い箏での trip の演奏が聴け、聴きに行った甲斐はあったように思う。