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Review: Kazuki Kunihiro, Micari, Saadet Türköz, Şevket Akıncı, Jun Kawasaki: Sound Migration (live) @ Spiral Hall, Aoyama, Tokyo
2011/02/15
嶋田 丈裕 (Takehiro Shimada; aka TFJ)
スパイラルホール, 南青山
2011/02/12, 19:30-20:30
国広 和毅 [Kazuki Kunihiro] (vocals, percussion, guitar), 美加里 [Micari] (dance), Saadet Türköz (vocals), Şevket Akıncı (guitar), 河崎 純 [Jun Kawasaki] (contrabass).

国際交流基金の企画・プロデュースで2010年9年にイスタンブールで制作された、 日本とトルコのミュージシャン・パフォーマーのコラボレーション作品の東京公演。 トルコ側の参加ミュージシャンは、 東トルキスタンのカザフ系をルーツに持ち、jazz/improv の文脈だけでなく “Shouting Divas” や “Remake Of The Weekend” などでの Pipilotti Rist [関連レビュー] との コラボレーションでも知られる女性歌手 Saadet Türköz と、 グループ Islak Köpek 等で re:konstruKt レーベル界隈で活動し Below The Radar Special Edition: Melting Pot (The Wire, 2010) [レビュー] に参加していた jazz/improv の guitar 奏者 Şevket Akıncı。 以前からそれなりにチェックしていたミュージシャンであるし、 彼らの生演奏/パフォーマンスを観る貴重な機会ということで足を運んだ。 もちろん、美加里 (ex-ク・ナウカ) が どのようなパフォーマンスを見せるのかという興味もあった。

初演・共同制作がダンス・フェスティバル (iDANS) で 海外公演でのクレジットが dance となっていたので、美加里 がもっと動くかもしれないと期待していた。 しかし、実際の所はむしろ ク・ナウカ 流の能のスタイルを思わせる静かな動き。 それも、全12シーンの半分程しか出てこなかったのも少々残念。 演奏の方も曲というか12のシーンで区切っていたものの、 ミュージック・シアター的なパフォーマンスでみせるのか (contrabass で遊ぶシーンもあった)、 演奏を聴かせるのか、どうも半端な所に落ちてしまったように感じた。 Türköz や Akıncı の演奏もCD等で聴いていたものの片鱗を垣間みることができたか、という感だった。 Pipilotti Rist のビデオのように Türköz のパフォーマンスを使えば、と思う一方、 河崎 や Akıncı にはもっと弾きまくって欲しかった。

それでも、河崎 - 国広 のリズムに、Akıncı の acoustic guitar の伴奏で Türköz が前に出て来て歌い、 白い衣装の 美加里 がドレストレーンのような長い白布を引いて舞台を横切って静々と歩いていく エンディングなど、良いと感じる所もあった。 こういう試みは悪くないと思うし、今後も様々な組み合わせで試みて欲しいとは思う。