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Review: Ray Anderson Pocket Brass Band: Sweet Chicago Suite; The Ray Anderson - Marty Ehrlich Quartet: Hear You Say - Live In Willisau
2012/07/10
嶋田 丈裕 (Takehiro Shimada; aka TFJ)
Ray Anderson Pocket Brass Band
Sweet Chicago Suite
(Intuition / Double Moon, INTCHR71306, 2012, CD)
1-6)Sweet Chicago Suite: 1)Chicago Greys 2)High School 3)Magnificient Mistifiyo 4)Going To Maxwell Street 5)Get To Itt 6)Some Day 7)The Stingray Rag 8)Next March
1-6)Recorded 2010-05-27, 7-8)Recorded 2010-05-25.
Bobby Previte (drums), Matt Perrine (sousaphone), Ray Anderson (trombone), Lew Soloff (trumpet).

jazz/improv の文脈で活動するシカゴの trombone 奏者 Ray Anderson による 小編成ブラスバンド Pocket Brass Band が十余年ぶりに新録をリリースした。 Anderson のルーツであるニューオリンズ風 brass band と現在の試みを繋ぐプロジェクというわけで、 ノリノリのブラスバンド曲の “High School” から、 Anthony Braxton かと思うような “Magnificent Mistifiyo” まで、 その振れ幅は前作 Where Home Is (ENJA, 1999) 以上。 シンバルなどの高音成分多めの Privete の drums もブラスバンドらしい賑やかさ、 ブラスバンドとしては最小とも言える4人編成ということもあって、小回り効いた演奏も小気味良い。 相変わらず、ユーモラスで楽しいアルバムだ。

The Ray Anderson - Marty Ehrlich Quartet
Hear You Say - Live In Willisau
(Intuition / Double Moon, INTCHR71303, 2010, CD)
1)Portrait Of Leroy Jenkins 2)Hot Crab Pot 3)My Wish 4)The Lion's Tanz 5)The Git Go 6)Alligatory Rhumba 7)Hear You Say
Recorded live 2009-08-29.
Ray Anderson (trombone), Marty Ehrlich (clarinet, alto and soprano saxophone), Brad Jones (bass), Matt Wilson (drums).

同じレーベルから2年前にも、 Ray Anderson と saxophone 奏者 Marty Ehrlich の双頭 4tet のライブ・アルバムが出ている。 この編成では初めての録音だが、Anderson と Ehrich が共演した録音は少なくなく、息の合った演奏だ。 “The Lion's Tanz” の前半のように間合いを使ったような improv な展開もあるが、 ライブということもあるのか、飄々としたノリの良い展開が多い。

Ray Anderson は 2000年以降、リーダー作でのリリースがすっかり止まってしまっていた。 しかし、この2010年以降の2作での演奏を聴く限り、まだいけそうだ。

ちなみに、このアルバム2作のジャケットデザインを手掛けているのは、 グラフィックデザイナーにして Willisau Jazz Concerts/Festival のオーガナイザー Niklaus Troxler [レビュー]。 Troxler らしい演奏の動きをイラスト化したかのようなデザインも良い。

ところで、この2タイトルをリリースした Intuition は 18世紀から活動する classical の音楽出版会社 Schott Music 傘下の jazz / world music レーベル。 しかし、これらの Ray Anderson の2タイトルや、Jacek Kochan の2タイトルなど、数タイトルが、 Intuition のレーベル・ロゴ等も使いながら、 ケルンの jazz レーベル Double Moon (配給は Double Moon と同じくオランダの Challlange) へライセンスされた形でのリリースとなっている。 Intuition 自身によるリリースが止まっているわけではなく、2010年前後から2系統のリリースが並行している。 Intuition のリリースは好きなものが多いので、どういう経緯で2系統のリリースをしているのか気になるところだ。