ベルリンを拠点に活動する DJ/Producer Ricardo Villalobos の新作アルバムは、 アナログでは 12″ 5枚 (Perlon, PERL92-1,2,3) 全14曲としてリリースされたが、 このCDはその収録曲から11曲を繋いで DJ mix としたもの。 Re: ECM (ECM, 2011) [レビュー] でコラボレーションした Max Loderbauer との共作3トラックをはじめ、5トラックが共作。
Re: ECM に比べるとグルーヴがあり、 基本的に click 的な音を生かしたディープな minimal techno で相変わらずともいえるが、 Fizheuer Zieheuer (Playhouse, 2006) [レビュー] の頃のドライブ感を生む執拗な反復と比べて展開はトリッキー。 “Timemorf” での彷徨うような electric piano のフレーズ、 “I'm Counting” から “Put Your Lips” にかけての控えめな tabla 様の音など、 反復から外れて複雑さを生むような音も耳を捉えるし、 “Grumax” や “Tu Actitud” での deep というより bleep 風にも感じる音色も印象に残った。 minimal から外れる指向も Re: ECM を通過した後ならでは。 そのバランスも絶妙なアルバムだ。
関連して Ricardo Villalobos 関連音源をいくつか紹介。
Re: ECM を手掛けた Ricardo Villalobos / Max Loderbauer デュオによるリミックス。 オリジナルは Krautrock の文脈で活動を始めた Conrad Schnitzler (ex-Tangerine Dream, ex-Kluster) が 1974年に自主制作リリースした赤いカセットテープ (そのため The Red Cassette とも呼ばれる) 収録の “Zug”。 オリジナルが Krautrock な電子音楽ということもあってか、 Re: ECM とはうって変わって 疾走感すら感じる minimal techno となっている。
CDには2010年にアナログでリリースされた “Zug” のリミックス2トラックも収録されている。 ドライヴ感が失われるほどギクシャク dubwize にされた Pole (aka Stefan Betke) のリミックスも良い。
Düsseldorf のミュージシャン Hauschka (aka Volker Bertelmann) のアルバム Salon Des Amateurs (130701, 13-16, 2010, LP/CD/DL) からのリミックス・シリーズ第一弾にも、 Ricardo Villalobos / Max Loderbauer デュオによるリミックスが収録されている。 こちらは、あまりグルーヴを意識していないという点では Re: ECM でのアプローチに近いが、 Re: ECM ほどオリジナルの音の響きを生かしたものではなく、 glich/click 的な電子音も耳を捉える。
カップリングされているのは、Kompakt を主催する Michael Mayer のリミックス。 こちらは Hauschka の piano の音を生かしつつ Kompakt らしいソフトで軽快な house トラックだ。