ブエノスアイレスのシンガーソングライター Cecilia Zabala の新作は、 チリの新しい歌 (Nueva Canción) 運動の先駆的女性歌手 Violeta Parra のカバー集。 前作 Presente Infinito (2011) も変則的なアクセントのリズムが印象的で [レビュー]、 この Violette Parra 集も一癖あるアレンジで聴かせるのかと思いきや、 歌無しでナイロン弦7弦アコスティック・ギターの演奏のみ、 electronics 等のギミックも無し、技巧をことさら強調するようなこともなく、 アコースティック・ギターの澄んだ美しい響きで聴かせるアルバムだ。 その響きを捉えた録音も充分に良い。
“Gracias A La Vida”、“Arauco Tiene Una Pena” や “Volver A Los 17” といった有名な曲は取り上げず、 “Tema Libre Nº 1-2” や “Anticueca Nº 1-5” のように Parra のメロディに基づく変奏曲とでもいうものもある。 といっても、曲を引き延ばすような演奏はせずに、歌うかのように長くても5分以下に納めている。 Violeta Parra の歌もそれなりに聴いてきているせいもあるのか [関連発言]、 “Que Dirá El Santo Padre” のような知る歌はもちろん、 聴いたことが無い曲でも、Parra の歌を思い出させるような少々寂しげな可愛らしい旋律が耳を捉える。 歌無しでも Parra の音楽は充分に楽しめるものだと、このアルバムで気付かされた。