Wolfgang Haffner は1980年代末に活動を始めたドイツの drums 奏者。 Albert Mangelsdorff, Wolfgang Dauner, Charlie Mariano 等の The United Jazz + Rock Ensemble から派生したようなグループへの参加で注目されるようになり、 様々な録音に参加しているが、自分のリーダー作も含め ACT Music のリリースへの参加が多い。 ACT Music でのリーダー作では electronic な “nu jazz” 的なサウンドに取り組んでおり、 そのバックグラウンドからか、jazz rock に ambient 的な electronics を加たかのよう。 Heart Of The Matter は Shapes (ACT Music, ACT 9603-2, 2006, CD)、 Round Silence (ACT Music, ACT 9604-2, 2009, CD) に続く “nu jazz” のアルバム。 その収録曲をリミックスした 12″/DL がリリースが出ている。
リリースは Timo Maas のレーベル Rockets & Ponies だが、 一番の聴き所は、やはり、Re: ECM (ECM, ECM 2211/12, 2011, 2CD) [レビュー] 以来、 コンビを組んでの仕事の多い Ricardo Villalobs & Max Loderbauer。 Moritz von Oswald Trio: Fetch (Honest Jon's, HJRCD67, CD, 2012) [レビュー] に参加していた Sebastian Studnitzky が Haffner のグループにいるので、 Haffner の音源のリミックスはその繋がりもあるのだろう。 3曲いずれも10分以上の長尺でテクスチャを強調したトラックに仕上げている。
ベースには minimal な音作りがあるのだが、jazz 的なイレギュラーな楽器音を巧く配している。 electric guitar のディストーションや管楽器の鈍重な響きが強調されるのだが、 埋め尽くすことなく疎に配すことにより、空間を感じさせている。 比較的淡々とした音作りの “Melodia Del Viento” のリミックスよりも、“Bing” のリミックスでそれが生きている。 このような音作りは、Re: ECM と大きく変わらず、 むしろそこで培われたノウハウを活かしている所もあると思うが、 ACT Music の音源を使った同様の Villalobos & Loderbauer リミックス集も聴いてみたいと思う程だ。
Villalobos & Loderbauer 以外のリミックスでは、原曲以上に1970sっぽい雰囲気の jazzy な downtempo breakbeats に仕上げた Nightmare On Wax のリミックスも、 耳を捉える仕上がりだ。