CD/DL聴取メモ。ブラジルの女性歌手のアルバムから。
Mulheres De Péricles (Joia Moderna, 2012) [レビュー] など、過去のシンガーソングライターに焦点を当てたカバー集コンピレーションを多くリリースしているレーベル Joia Moderna が、 1950年代に活動した MPB (Música Popular Brasileira) のシンガー/作曲家 Dolores Duran を取り上げた。 それも、コンピレーションではなく全曲 Nina Becker によるカバー。 violão と bandlim の簡素なバッキングで歌う様は、 Becker のアルバム Azul (yb music / Núcleo Contemporâneo, 2010) [レビュー] も連想させるが、 Azul のような残響や歪みの音処理が無く、 violão の澄んだ音色や Becker の優しい歌声を素直に聴かせるプロダクション。 素直なプロダクションも良いものだな、と思わせるだけのものあるアルバムだ。
Arrigo Bernabé と Luiz Tatit (ex-Grupo Rumo) という Vanguarda Paulistana [関連発言] の立役者との De Nada Mais a Algo Além (Atração, 2013) というアルバムもリリースしている女性歌手 Lívia Nestrovski (Arthur Nestrovski の娘) が guitar 奏者 Fred Ferreira と組んだ duo のアルバム。 Bernabé らとの共演盤に比べると素直な歌声で、 Milton Nascimento や Antonio Carlos Jobim の曲などを歌っている。 伴奏は semi-acoustic の軽くリバーブの効いた澄んだ guitar のみの簡素なものだが、 時に強くなる Nestrovski の歌声に合わせて、鋭く、軽く歪ませ響かせる。その振れも良い。 いかにも MPB な歌も良いが、 Kurt Weill によるフランス語歌詞の tango 曲 “Youkali” のカバーが最も印象に残った。