Luzia von Wyl はスイス出身、1985生まれの比較的若い作曲家/piano 奏者で、CDのリリースはこれが初めてのよう。 その彼女の率いるアンサンブルは classical と jazz をバックグラウンドに持つミュージシャンの混成だ。
ライナーノーツにある彼女の言葉によると、jazz の作曲では Maria Schneider、 そして Minimal Music では Steve Reich と Nik Bärtsch が好きとのこと。 確かに、ドラムがビートを刻む “Tick-Tock”、“Joke”、“Rush” や “Overlap” といった曲では、 それを伺わせるようなコンテンポラリーな jazz big band の演奏が楽しめる。 時折響く煌めくような piano の細かいフレーズなど Nik Bärtsch [レビュー] を思わせるし、 ミニマルな反復感を強調するところなどは、John Hollenbeck Large Ensemble [レビュー] なども連想させる。
一方で、“Wind” や “Jingle” のような反復感の無い疎な展開になるときに顕著だが、 violin や violoncello の使い方や、vibraphone ではなく marimba である所、 そして、管楽器が金管や saxophone ではなく、 clarinet や flute、そして jazz であまり使われず classic で使われることの多い bassoon をフィーチャーしている所など、 楽器の音色使いなどから classical の影響を強く感じる。 むしろ、このような面が、自分には新鮮に楽しめた作品だった。