2009年から2011年にかけてのライヴ録音をまとめた Nik Bärtsch's Ronin: Live (ECM, 2302/03, 2012, 2CD) をリリースしたばかりの スイスの jazz/improv の piano 奏者 Nik Bärtsch の来日は、 Ronin 5tet ではなく、そのメンバーでもある Sha との duo でのもの。
Ronin でやっていた曲 (というかモジュール) を使い、 ミニマルに反復感を強調してグルーヴを作り出すような演奏は相変わらずなのだが、 PAを使わない小さなハコでの2人での演奏だったこともあり、 アコースティックな楽器音のテクスチャも堪能できた。 それまでのはっきりしたフレーズの反復をぶった切るように piano の奏法と bass clarinet のタンギングが刻むリズムだけの展開になったり、 リズミカルに明るく強い piano のフレーズに対して タンギングも曖昧にブリブリと bass clarinet を鳴らしたりと、 起承転結を排したかのような反復演奏の中にも、変化に富んだ演奏を聴かせてくれた。 そして、例えば弱い音の合間に強い音を鳴らすのもぴったり合うように、 その変化の際も息が合っていて、変化も切れ味良かった。
休憩を入れず、30分程の演奏を2回と15分程の演奏を1回、15分程のアンコールという約1時間半。 少々物足りなく感じたのも確かだけれども、 前回観た 5tet でのライブで感じた普通のバンドっぽさもあまりなく、 ミニマル色濃く2人の息の合い具合も気持ちよいライブを楽しむことができた。