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Review: Marem Gökhan Şen: Хэхэс - Çerkes Ezgileri; Marem Gökhan Şen: Хэхэс Eт|уанэ - Çerkes Ezgileri 2
2015/06/28
嶋田 丈裕 (Takehiro Shimada; aka TFJ)
Marem Gökhan Şen
Хэхэс - Çerkes Ezgileri
(Kalan, 550, 2011, CD)
1)Веркъукъу и Мэкъамэ [Berkuk'un Ezgisi] 2)Ди Къуажэ ДехаӀпэ [Köyümüz] 3)Ӏэнкагэ Хасэ [Ankara Derneği] 4)Лъагъуныгъэм и ХьэтыркӀэ [Sevginin Hatrına] 5)Зэныбжьэгъуищ [Üç Arkadaş] 6)Хамэ Хэку [El Vatan] 7)Махуэхэр БлокӀ [Günler Geçiyor] 8)Ӏуэуняйлэм и Макъ [Uzunyayla Ezgileri] 9)Сытым Щыгъуэ [Ne Zaman Farkedeceksin] 10)Рикхьэние Мэкъамэхэр [Reyhaniye Ezgileri] 11)Адыгэ ЗэхуэкӀуэ [Adıge Ezgileri] 12)Къэбэрдей Мэкъамэхэр [Kabardey Ezgileri] 13)ЗэхуэкӀуэ Мэкъамэхэр [Zehueko (Dans ismi)]
Yapımcı: Hasan Saltık.
Мэрем Гокхьэн Шэн [Marem Gökhan Şen] (accordion, pshina, vocals), Цей Унсал [Ssey Unsal] (pshina, arrangement), Мэт Енгин [Met Engin] (guitar, bass), Тыркуауэ Ерхьэн [Tırkuaua Erhan] (schepshina), Iувыжь Анзор [Uvıj Anzor] (brass instruments, vocals), Шоуноу Джанбек [Shonou Canbek] (apapshina).
Marem Gökhan Şen
Хэхэс Eт|уанэ - Çerkes Ezgileri 2
(Kalan, 652, 2014, CD)
1)Ui Ne Dekhiyt 2)Jansuret Yi Gıbze (feat. Şevval Sam) 3)Yinerıkuey Kafe 4)Lhaghunıgha Uered (feat. Keref İbrahim Gergin & Kanlogo Murat Kaplan) 5)Glaksteney Kafe 6)Uitser Madina 7)Abidet 8)Hatav 9)Uzunyayla Kafekher 10)Tram Yi Kua Karabatır (feat. Shak Hakan Cenbek) 11)Uzunyayla Pasarey Mekamekher (feat. Tegulan Yakup Temel) 12)Alhıntsuku (feat. Dzıbe Magamed Dzıbov) 13)Aslan Çete Reis 14)Ue Zı Zakhhorat 15)Kajıh 16)Ahretım Kana 17)Pasarey Udjkher 18)Kuratsa Yi Gukhelh
Yapımcı: Hasan Saltık. Prodüktör: Marem Gökhan Şen.
Marem Gökhan Şen (accordion, pshina, vocals), Dudar Aslan (apapshina), Onur Özçelik (guitar), Euvaz Zuber (shgepshina), Uvıj Anzor (brass instruments); Kristina Dzerassa, Özer Arkun (cello), Kristina Dzerassa, Cihat Aşkın, Hüseyin Kemancı (violin), Şerif Ersin Ertay (bass), Alo Arsen (baraban, doul), Marem Gökhan Şen, Losen Timur, Aguey Naurus, Zıghazej Timur (backing vocals).

北西コーカサスの主要な民族チェルケス (Черкес, Cherkess) の民族音楽を演奏するプロジェクト Хэхэс [Facebook] のアルバムが2タイトル、 トルコ・イスタンブールのレーベル Kalan からリリースされている。 チェルケス人は、19世紀のコーカサス戦争後のディアスポラの結果、 旧ソ連領内よりトルコをはじめ中東に多く住んでいると言われれている。 このプロジェクトにも在トルコのチェルケス人が参加しているかもしれないが、 プロジェクト・リーダーの Marem Gökhan Şen は ロシア連邦カバルダ・バルカル共和国の首都ナリチク (Налщӏэч [Нальчик / Nalchik]) 在住のよう (カバルダ・バルカル共和国はチェルケシアの一部で、カバルダ人がチェルケス系の民族)。 ライナーノーツもトルコ語とチェルケス語のみで、インターネットを検索しても英語による情報がほとんど無く、背景を掴みかねているが、 ロシアとトルコのチェルケス人の間の交流も伺わせるプロジェクトだ。

このプロジェクトの目的は「ほとんど絶滅しかけているチェルケス人ディアスポラのメロディに光を当て、プロフェショナルな録音を残すこと」という。 リーダーの Marem Gökhan Şen が accordion (おそらく diatonic の гармонь [garmon]) を引くこともあり、 accordion が細かく刻むようにメロディを弾くダンス曲 lezginka が目立つ。 手拍子のようにも聴こえるおそらく пхачич (phachich) 系のパーカッションや доуль (doul, 両面の hand drum の一種) が刻むリズムは、3拍子系の回転するようなノリ。複合拍子は目立たない。 ソ連時代のチェルケスの民族音楽の録音 [関連レビュー] に比べると、さすがにクリアな音作り。 さすがに electronica 的な音使いはしていないが、 少々 fusion 風に guitar や electric bass らしき楽器を使った所もある。 2nd アルバムでは小編成ながら strings を加えたアレンジすら聴かせる。 曲のイントロに効果音が使われるときもあるし、 打ち込みのリズムを使っていると思われる曲もある (1st の “Махуэхэр БлокӀ” [“Günler Geçiyor”] や 2nd の “Alhıntsuku”)。

Kalan であればもっと現代的に洗練されたプロダクションもできたのではないかと思うが、 プロジェクトは継続しているようなので、今後の展開に期待したい。 1st ではフィーチャーされている歌手のクレジットは無いのだが、2nd では1曲 Şevval Sam が参加している。 Kardeş Türküler [関連発言] もチェルケスの歌を取り上げていたし、Kalan 繋がりでこういったミュージシャンとのコラボレーションが進めば、 面白くなりそうにも思う。

トルコの音楽シーンで他にチェルケスがらみのものといえば、 「チェルケスの娘」という意味のタイトルのアルバム Sultana: Çerkes Kızı (Doublemoon, DM0010, 2000, CD) が思い当たる。 ただし、このアルバムの内容はトルコ語による rap / hip hop で、チェルケスの音楽を思わせる内容は無い。