The Necks はオーストラリア・ニューサウスウェルズ州シドニーを拠点に 1987年以来 jazz/improv の文脈で活動するトリオ。 2011年に来日の予定があったが東日本大震災の影響でキャンセルとなり、トリオとしては今回が初来日だ。 (Tony Buck は日本で活動していた時もある。) 編成的にはいわゆる piano trio だが、いわゆる典型的なそれではなく、 ミニマルな反復によって音のテクスチャを作り出す、 1990年代半ばに登場した post-rock や、nu jazz 以降の electronica に影響を受けた jazz を先取りしていたかのようなトリオだ。 途中休憩を挟んで約1時間の演奏を2セット。アンコールはなかった。 このライブでも、looper はもちろん live electronics を一切使ってないとはにわかには思えないような音を堪能することができた。
CDで聴いていたときは、同郷シドニーの Triosk との共通点を多く感じていた [レビュー]。 しかし、生で観ると、electronics も使う Triosk とは違い、楽器の生の響きを生かした演奏。 そんな所に、Nik Bärtsch [レビュー] を連想したりもした。 しかし、Nik Bärtsch が音の隙間を生かした音作りをするのに対し、 The Necks は音を細かく刻んで音空間を埋め尽くすようなテクスチャを作るよう。 そのミニマルな反復から脈動するようなグルーヴが湧き上がってくる。 まるで Moritz von Oswald の minimal techno のようなミニマルな脈動がアコースティックな生演奏で生まれているのが、面白かった。
舞台上手から piano, bass, drums という並びで、piano は中央に向かって背を向ける形。 開演10分前頃に会場に着いたこともあり、中央の席が取れず、drums 側の後方の席となった。 そんなこともあり、drums の演奏が何かと気になったライブだった。 第1セットは drums がちゃんと刻む時があったたが、第2セットは金属製/木製のベルやでんでん太鼓を使ったチャカポカとした音を多用していた。 このチャカポコした音がまるで looper で回しているかのように持続していて、最初のうちはどうしているのかよくわからなかった。 しかし、舞台奥側の左手で紐で下げた鳴り物をクルクルと回し続けて鳴らしているのに気づいて、なるほどと。 音を electronics を使ってループさせるかのように、鳴り物を物理的に回しているところが、面白く感じられた。
1ヶ月前に買ったチケットは整理番号11番。 このままではガラガラになるのではと危惧していたのですが、 用意された丸椅子約100席が埋まって数十人の立見が出る程度に埋まって、なにより。 当初はオールスタンディングとのことで、それも危惧していたのですが、丸椅子が用意されて助かりました。 しかし、オールスタンディングを前提としたハコではなく、 椅子がちゃんとした小ホールか、もしくは SuperDeluxe のようなオルタナティヴスペースがよかったのではないかと思うようなライブでした。