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Review: Tomoko Mukaiyama: [Canto Ostinato] on Piano (concert) @ Hara Museum of Contemporary Art, Tokyo
2017/10/22
嶋田 丈裕 (Takehiro Shimada; aka TFJ)
向井山 朋子
[Canto Ostinato] on Piano
原美術館
2017/10/15, 15:00-16:30
Simeon ten Holt: Canto Ostinato (1976).
向井山 朋子 [Tomoko Mukaiyama] (piano)

アムステルダム在住のピアノ奏者 向井山 朋子のソロのピアノコンサート。 ダンス公演 [レビュー] だったり、 ビデオインスタレーションの中でのコンサート [レビュー] だったりを観ることが続いていたので、 美術館の中で、それも少々コンセプチャルな作品だけど、ピアノ演奏をメインとしたコンサートを久々に聴くのもいいかな、と、足を運んでみた。

取り上げた曲は、106のセクションからなるもので、各セクションは演奏者が好きなだけ反復し、その中で十分な表現がなされたと感じたら次のセクションへ進むというもの。 各セクションにおける演奏の仕方は、演奏者にかなりの部分が任されているよう。 反復という点ではミニマルミュージックと似たところもあるが、かなり即興的な要素の大きな作品だ。

「執拗に反復される歌」という意味のタイトルだが、まさに執拗に反復されるピアノのフレーズの約一時間半。 時に童謡のような旋律、時にロマンチックに技巧的な旋律が、浮かび上がっては消えていく。 ストイックなミニマルミュージックとはちょっと違った感触だった。 メロディなどに映画音楽的なキャッチーさを感じる時もあって、作曲の文脈を除けば、post classical に近い感触。 あと、素朴な旋律に Meredith Monk のようと感じた時もあった。 さすがに1時間半ともなると反復が催眠的に感じるときもあったが、 時折り浮かび上がってくるキャッチーなフレーズが、むしろ息継ぎになったようにも感じられた。