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Review: 金沢 健一 (Kanazawa Kenichi) @ ギャラリーなつか (美術展)
嶋田 丈裕 (Takehiro Shimada; aka TFJ)
2008/06/07
金沢 健一 (Kanazawa Kenichi)
ギャラリーなつか
2008/05/26-06/07 (日休) 11:30-18:30.

音を発する金属の立体作品で知られる 金沢 健一 の展覧会だ。 といっても、今回は、音を発する作品は無く、 表面の質感への拘りを感じるミニマルな形状の金属素材の立体作品を展示していた。

展示されていたのは、 20cm×30cm厚さ2cm程度の同じ大きさの鉄板を5〜10枚ほど びったり重ねて溶接して直方体の塊とした作品だ。 しかし、重ねられた鉄板には矩形の切込みが入れられており、 それが直方体の中に空隙を作り出したり、上面に凹みを作り出している。 側面の溶接痕と層状の構造を残した作品もあったが、 多くは磨き上げられ溶接したとは判らないほど綺麗な面に仕上げられていた。 小さな長方形の空隙が所どころに空いた側面の金属光沢と、 鉄板表面をそのまま生かした上面のにぶい黒錆色が、 側面の空隙の開口部を含めてエッジを立てて仕上げられた角でシャープに接する所が、 とても強い印象を与える。 そこがかっこいい作品だ。

作家在廊だったので少し話することができた。 穴の空け方は音と関係あるのだろうかと観ていて思っていたのだが、 この作品は音を出す作品とは全く別で、 音響的な観点は全くなく完全に視覚的なものだとのこと。 あと、音の作品は今年の夏に川越でやる予定があるとのことだった。

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