中沢新一・長谷川祐子 共同企画 による 「変身-変容」をテーマに半人半獣やサイボークのような人体改造のイメージを扱った作品を集めた企画展。 Jan Fabre に Matthew Berney との共通点を感じたこともあったけれど [関連レビュー]、 21作家まとめてみせられると、このような表現が現代美術のトレンドの一つなのかな、と感慨深かった。 Jan Fabre や Patricia Piccinini、Jana Sterbak など 企画により相応しい作品があるんじゃないかと思う所も確かにあったが、よくここまで集めたと思う。 そんなパワーを感じる規模の大きな企画展だったけれども、 自分の嗜好というか関心と企画が直交している感もあって、作品が印象に残らなかった。
コレクション展の方では、Pipilotti Rist が特集展示されていた。 ウィーンの Essel Collection から10年間委託されたという “A Liberty Statue for Tökyö” (2009) は、床に横になりながら観るビデオ・インスタレーション。 和装の女性など少々オリエンタリズム入った日本のイメージと 他の作品で観られる Rist らしい女性のイメージとが、 万華鏡を覗くかのようなカラフルで歪んだ映像の中で錯綜するよう。 他に、女性の経血のイメージを使った “Blood Room” (1993/1996)、 男性器を映像6枚を万華鏡に組み合わせたものと手のイメージから、 元の意味を離れたような抽象的なイメージを作りだしていた “All, All, All” (2010) が展示されていた。 Rist の作品の中でもジェンダーというよりセクシャリティというか身体的な主題のものが 集められていたように感じた。 『トランスフォーメーション』展の中で展示されていても良いような作品にも感じたし、 そちらよりも、この Pipilotti Rist の作品よりも良かったようにも思った。 ちなみに、“Blood Room” と “All, All, All” へ繋がるギャラリー入口で、 「18歳以下の方はご遠慮下さい」のような制限を行っていますので、子供連れの方はご注意下さい。
コレクション展の中では、他に、入口の吹き抜けに展示された Mona Hatoum: “Web” (2006) も良かった。 巨大な蜘蛛の巣 (水滴付き) を模したかのような、透明なイメージが良かった。