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Review: 『靉嘔 —— ふたたび虹のかなたに』 @ 東京都現代美術館 (美術展); 『田中敦子 —— アート・オブ・コネクティング』 @ 東京都現代美術館 (美術展); 『MOTコレクション 特集展示|福島秀子』 @ 東京都現代美術館 (美術展); 『MOTコレクション クロニクル 1964—|OFF MUSEUM』 @ 東京都現代美術館 (美術展)
嶋田 丈裕 (Takehiro Shimada; aka TFJ)
2012/05/07
東京都現代美術館 1F, B2F
2012/02/04-05/06 (月休;4/30開;5/1休), 10:00-18:00.

1960〜70年代に欧米に本で展開した Fluxus に関わった日本人の一人として知られる 靉嘔。 Fluxus の活動については、『フルクサス』 (ワタリアム, 1994) や Fluxus: Art Into Life (うらわ美術館, 2005) [レビュー] など観る機会がありましたが、 それと、美術館の常設展で時々みかける虹色の絵画が結びつかなくて釈然としないところがありました。 今回の回顧展を観て、むしろ虹の絵画がメインの作風であったことに気付かされました。 また、コンセプト的に強い連関があるというより、Fluxus と虹の絵画で分裂した作風だということも再確認。

東京都現代美術館 3F
2012/02/04-05/06 (月休;4/30開;5/1休), 10:00-18:00.

1954年から1972年にかけて関西を拠点に活動した具体美術協会に、 特にその初期において関わった 田中 敦子 の回顧展。 実質、1965年の具体美術協会退会までの約10年に焦点をあてた内容。 それなりに観る機会のあった作家でしたが、良い意味でも悪い意味で予想を外れる作品は無し。 具体美術協会のパフォーマンス映像の上映もされていたのですが、画質も悪く断片的なもので、 やはりこの程度しか残っていないのでしょうか。 ここの作家というより、具体美術協会の回顧展 (1990年代以降にも開催されてはいますが東京近辺ではなかったりで見逃しています) を観たいと思ってしまいました。

また、コレクション展でも2つの企画展と関連深い特集が組まれていました。

『MOTコレクション 特集展示|福島秀子』
東京都現代美術館 常設展示室1F
2012/02/04-05/06 (月休;4/30開;5/1休), 10:00-18:00.

瀧口 修三 の下で1950年代に活動した芸術集団 実験工房 に参加した女性作家 福島 秀子 の特集。 実験工房については、大辻 清司 [レビュー] が好きということもあり それなりに観ていたつもりでしたが、福島 秀子 はほとんどノーチェックでした。 初めて観る作品・資料が多く、今回観た展覧会の中で最も興味深く観られました。 アンフォルメルから影響を受けた平面作品よりも、 実験工房の創作バレエのような舞台作品において手掛けていた衣装デザインなど、 実験工房の中でのコラボレーションでの創作の広がりに興味を引かれました。

『MOTコレクション クロニクル 1964—|OFF MUSEUM』
東京都現代美術館 常設展示室3F
2012/02/04-05/06 (月休;4/30開;5/1休), 10:00-18:00.

特集タイトルは、1964年に新宿の椿近代画廊で 篠原 有司男 が企画した展覧会『OFF MUSEUM』から取られたもの。 『OFF MUSEUM』展をはじめ、ハイレッド・センター、ゼロ次元、観光芸術研究所など、 1960年代から1970年代に繰り広げられた、美術館の制度を外れた作品やパフォーマンスされていました。 そういうものが美術館のそれもコレクション展として観られるようになったのだなあ、と感慨。 ハイレッド・センターなどそれなりに観る機会がありましたが、他にもいろいろコレクションされているものなんですね。 しかし、コレクション展らしい勉強になる展示でした。

一連の4つの展覧会を観ていて、15年近く前となる1999年に 『アクション —— 行為が芸術になるとき 1949-1979』 Out of Actions - Between Performance and the Object 1949-1979 を観たことを思い出しました [レビュー]。 それなりに広く体系的に追うことのできる勉強になった展覧会だったので、 展覧会カタログを買っておけばよかったかも、などと、今更ながら思ったりもしました。