麿 赤兒 率いる舞踏集団 大駱駝艦 の創立40周年公演 『ウイルス』。 40周年というキリの良さもあるけれども、 音楽に Detroit techno 第二世代の DJ/producer Jeff Mills ということで、 techno に舞踏をどうあわせるのかという興味もあって観てきました。
といっても、Jeff Mills が2000年前後からサイレント映画の付随音楽など 必ずしもダンスフロアを指向しない音楽に取り組んでいたのは知っていたし [関連レビュー]、 今年春の高円寺びっくり大道芸での金粉ショー [写真集] でも techno 的な打ち込みの曲を使っていたので、 その組み合わせをまったく意外に感じたという程ではありませんでした。
結局のところ、期待していた以上に面白い出来でした。 細菌などの微生物を越えてウイルスというオーガニック等の連想をし難い題材に、 あまり既存のイデオムを感じさせない minimal な Jeff Mills の電子音がうまくハマっていました。 さらに、そこにわかりやすくスッキリとミニマルなダンス表現をあわせるのではなくて、 グロテクスとコミカルが同居した舞踏的な動きや 和式便器やワニのぬいぐるみなどのキッチュな小道具などをぶつけて、わけのわからない感じに。 そのせめぎ合いで祝祭感を作り出していくよう。そんな舞台が楽しめました。
しかし、麿 赤兒 の存在感は強烈。 彼が登場すると彼が全てを持っていってしまうような感があって、まるでラスボス登場のよう。 蜘蛛の巣のような網の使い方など舞台構成の面白さも、 彼が登場すると一気に霞んでしまう感もあって、それはいいのかわるいのか……。
あと、大駱駝艦 に限らないのですが、 終演時のカーテンコールから客出しの際に音楽をかけて拍手というよりも手拍子にして盛り上げるというやり方は、 自分の観て来た範囲では、日本のカンパニーに強く偏って見られます。 最近観た中では、2月に観た 珍しいキノコ舞踊団 『ホントの時間』 (世田谷パブリックシアター) とか。 生演奏だけど、6月に観た宮城聰の舞台 [レビュー] もそれに近い。 祝祭感と出すという意味ではそうするのもよく判るし、それが楽しめるときもあるのですが、 そんな時でもそこはかとない違和感が残ってしまいます。うーむ。