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Review: ふじのくに野外芸術フェスタ @ 静岡県内 (演劇、パフォーマンス)
嶋田 丈裕 (Takehiro Shimada; aka TFJ)
2013/07/01

6月最後の週末は、ふじのくに⇄せかい演劇祭 2013 に関連して開催された ふじのくに野外芸術フェスタ を観に行ってきました。 昨年、ふじのくに⇆せかい演劇祭のプレイベントとして、 ゴールデデンウイーク中に静岡県内各地で Fondazione Pontedera Teatro による野外劇 Lisboa が上演されました [レビュー]。 それが形を変えて、県内三箇所で開催される野外芸術フェスタとなったという所。 富士山世界遺産登録応援企画とのことでしたが、直前に三保の松原を含む形での登録が決まって、 ちょっとしたお祝いの雰囲気もありました。

土曜は朝には家を出て、11時過ぎには東静岡に到着。まずは駅前のグランシップ広場で 新世代ショートスペクタクル!のうちの2本を観てきました。12時から、まずは、 花傳シアターカンパニー 『神左備 [kamu:sabi]』。 テーマは富士山で、能や歌舞伎を意識した身体の動きやセリフなどに 宮城 聰 の類似性を感じつつ、 祝祭的な部分は抑えて、むしろ、視覚的にスタイリッシュに。

続く劇団渡辺 『羽衣』 も 三保の松原を舞台とした能の『羽衣』に基づきそのセリフを使ったりするのですが、 現代語を交えつつジブシーブラスの音楽を使ってのドタバタ喜劇的な展開になったり、と、 そのギャップが面白かったです。 広場で緩く観てると、こういう緩いパフォーマンスも楽しいなあ、という気分に。 というか、特に 劇団渡辺 の雰囲気はけっこうツボにはまったかも。

富士山や三保の松原に題材を取っていたのは富士山世界遺産登録応援という企画に沿ってのことだと思いますが、 2劇団とも能や歌舞伎を意識した作品だったのは、やはり、SPAC/宮城 聰 のディレクションもあるのかしらん、と。

続いて、グランシップ内にある静岡芸術劇場へ移動。 ふじのくに⇄せかい演劇祭 2013 のプログラムの一つ Hate/Radio を観てきました。 [Hate/Radio のレビュー]。

Hate/Radio 終演後にトークもあったのですが、それはパスして、急いで東静岡駅から東海道線に乗って清水へ。 さらに、清水駅前から三保の松原へ向かうバスに乗って、清水港日ノ出地区を再開発した一角にある 清水マリンパークへ。 夜にここで上演される ふじのくに野外芸術フェスタ のプログラムの一つ、今回の静岡遠征の主目的でもある Ilotopie の公演の整理券が16時から配布されるということで、 それを入手すべく駆付けたのでした。 しかし、16時過ぎに会場に着いたときは、既に700枚の整理券は捌けてしまった後。 なんとか、キャンセル待ちの740番の整理券をなんとか入手できたのでした。 とりあえず整理券だけもらって帰ってしまう人も少なからずいるので、多分入場できるだろうとのこと。 にしても、トークを聴いていたらキャンセル待ち整理券すら入手できないところでした。 17時半開演のベトナム水上人形劇の方も既に行列ができていたので、周囲を散策するのは諦めて、行列に並んだのでした。

というわけで、まずは、 Nhà hát múa rối Thăng Long [Thang Long Water Puppet Theatre] によるベトナム水上人形劇 (Múa rối nước) を観ました。 紅河デルタ地帯の農村で行われていた伝統芸能を保存するために1969年にハノイに設立された劇場とのこと。 今回の日本公演のための新作『羽衣』や日本人アーティストが劇場に滞在した際に作った『SUMO』のような演目もありましたが、 主に伝統的演目を12本、全部で1時間弱の上演でした。 水田のような濁った水を張って、その下に人形を操作する機構を隠して、 すだれの向こうに隠れた人形使いが人形を動かすというもの。 人形の造形や物語は素朴なものの、人形劇にしては速い動きでよく操作できるなと感心。

ベトナム水上人形劇の後、Ilotopie の開演の20時まで時間があるので三保の松原に足を伸ばしてもいいかなと思っていたのですが、 整理入場開始が予想以上に早い19:15で、時間的に厳しそう。 屋台の軽食をつまみにビールを飲んでのんびり開演を待つ事にしたのでした。

で、日が暮れてすっかり暗くなった20時から Ilotopie: Fous de Bassin を観てきました [Ilotopie: Fous de Bassin のレビュー]。

去年の Fondazione Pontedera Teatro: Lisboa [レビュー]。 は回遊型のパフォーマンスで、 席が決まっているわけでも、撮影や飲食、出入りを含めて自由に観られるものでした。 そこで、今回も岸壁に適当に座って緩い感じで観るものかと予想していたのですが、 実際は観客席を作り整理券を配布してきっちり観客をコントロールしての公演。ちょっと意外でした。 直前に整理券配布と気付いて、会場に駆け付け、なんとかギリギリで整理券を入手できてよかった〜。 観客席に入らなくても周囲の港を見下ろせる歩道やモールからでも見ることができたようですが、 見やすい場所で座って観ることができましたから。 一応、コンデジを持って行ったのですが、出番は無し。まあ、そんなものでしょうか。 花火と同様、コンデジで綺麗に撮るのは難しいそうなパフォーマンスでしたし。

Ilotopie を観た後は、静岡鉄道に乗って新静岡へ。 大道芸もあって静岡には度々訪れてるけれど、静岡鉄道に乗ったのは初めてかもしません。 で、ホテルにチェックインした後、6月頭に振られた地ビールの店にリベンジを果たしてきました。 しかし、清水港でも既に地ビールを呑んでいたので、ちょっと呑み過ぎになったかも。

土曜の疲れが日曜の朝になってもあまり取れていなかったので、 日曜はふじのくに野外芸術フェスタを観たり観光したりすることなく、 遅くチェックアウトして、東京へ直帰。 途中、買物ついでに三軒茶屋の馴染みの店に顔を出す程度にして、大人しく過ごしたのでした。