2000年代に入って活動するようになった韓国出身の作家の個展。この作家を観るのはおそらく初めて。 インスタレーション2作品だが、いずれも光そのものを感じさせるミニマリズム的な作品。 といっても、James Turrell [レビュー や 内藤 礼 [レビュー] のように 微かな光に神経を研ぎ澄まさせるようなものではない。 その反対に強い光を使う。コンセプトは別として、Olafur Eliasson [レビュー] にも似た作風だろうか。 直感的に判り易い作品だった。 白塗りして隅にアールを付けて壁床天井の境を判りづらくしたうえで、 強烈な白色光で空間を観たしたインスタレーション The Tree of the Knowledge of Good and Evil (2001) では、白い光に包まれたような非日常的な感覚を楽しめた。 しかし、フォーラムのガラスブロック越しに自然光の入る空間に触発されたという 白い螺鈿細工のタイルを敷き詰めた新作インスタレーション The Serpent’s Kiss (2014) での煌きの繊細さの方が好みではあった。
ドイツの Becher schule の写真家の個展は、既存のイメージの加工もの2シリーズ。 ma.r.s. (Mars Reconnaissance Survey の略) シリーズの新作は NASAが公開している火星表面の写真を彩色して大きく引き延ばしたもの 凹凸が失われたり反転したり見える彩色により、抽象表現主義の絵画のよう。 一方の始めたばかりという negative シリーズは、 ビンテージ写真を青くネガに焼いたもの。青写真のような質感もいいのだが、 オリエンタリズムな写真の題材に negative というタイトルが「ネガ」以上の意味を含んでいるようにも思われた。