Ohad Naharin 率いるイスラエル・テルアビブ (Tel Aviv, Israel) の Batsheva Dance Company の3年ぶりの来日は、 Naharin か振り付けた過去の作品から抜粋構成した作品 Decadance。 2000年に初演された若手のアンサンブル (Young Ensemble) 向けのレパートリーで、元作品は入れ替えられて上演されてきている。 この来日では若手ではなく主力のダンサーを揃えて、元作品もこの公演向けに9作品が選ばれたようだ。
2010年に Max [レビュー]、 2012年に Sadeh21 [レビュー] を観ているが、 それらの印象が薄く、どこがそこからの断片なのかよく判らなかった。 むしろ、Nederlands Dans Theater や Compañía Nacional de Danza de España のレパートリーとして観た Minus 16 [レビュー] の印象が強烈。 Minus 16 (1999) も Zachacha, Anaphase, Sabotage Baby, Moshe の4作品を抜粋再構成した作品だが、 Decadance でも同様に、真間の “Quizás, quizás, quizás” から、半円状に椅子を並べての数え歌 “Echad Me Yodea” (Anaphase からの抜粋) が使われていた。
さらに、Minus 16 では後半にあたる、観客を上げて一緒に踊る場面も、Decadance にあった。 今回は、女性の観客のみを舞台に上げ、自由に踊らせるというより、男性もしくは男装のダンサーと組んで踊る所を見せるよう。 祝祭的な面は後退したが、ちょっと戸惑うような観客の反応を含めて、演出として見せている感は良かった。 最後に一人取り残される観客は、今回はちょっと優雅な雰囲気のある初老の女性で、いい人を選んだな、と感心。
Minus 16 以外からの抜粋は、観たことがあったとしてもほとんど記憶になく、新鮮。 舞台装置を使わない演出もあってか、体の動きがはっきり見えた。 バレエのような軽やかさというより体操競技のように力強い動きが多く、女性ダンサーにしてもゴムボールが跳ね転がるよう。 群舞もバラバラな動きからシンクロする動きへの切り替えがシャープ。 そんなリズミカルな動きが、気持ち良く楽しめた。