上野公園から上野桜木にかけて野外展示の写真展。 野外展示のアートフェスは一般的になっているが、 光や水に弱い素材を使うことが多い写真作品をメインに据えたものは多くなく、 この展覧会も「東京初の野外型国際フォトフェスティバル」と謳っていた。 鈴木 理策 [レビュー] や 米田 知子 [レビュー] も参加しており、どういう展示になっているのかという興味もあって、観てきた。 初夏の爽やかな天気に恵まれて、散策のいいネタとして楽しむことができました。
鈴木 理策 は『水鏡』 [レビュー] を 噴水池の水面下に展示するというもの。 本来無い水面が現れるようとも思いつつ、 写真作品での繊細な質感が失われ、『水鏡』のようにして撮影した写真でなくても良かったのではないかと、思ってしまいました。
他に印象に残ったのは、 高電圧・高周波によるコロナ放電を撮るキルリアン写真 (Kirlian photography) で撮った 楠の葉の写真を、東京都美術館脇の楠の林に展示した 山本 渉 『光の葉』。 さりげなさと、木々の合間を縫って歩きながら、木漏れ日の中で写真をみ観るという体験が気持ち良かった。
Eva Stenram の Drape (2011-) は、 ポーズを撮る女性の手足をカーテン越しに撮った作品。 これをのれんにプリントした上、 古民家をリノベーションしてカフェ、雑貨屋やイベントスペースを集めた複合施設 上野桜木あたりの店先などに下げていた。 少々思わせぶりな構図に引かれたが、観光客も多く落ち着いて観られなかったのは残念だった。