春季 [鑑賞メモ]、 夏季 [鑑賞メモ]、 に続いて、平成年代の作品からなるコレクション展も最終回。 時代の流行もあってか私的なものやSEA寄りの写真もありましたが、 マラブ (アフリカハゲコウ) をピンホールカメラで撮った不思議な質感の 野口 里佳 や、 抽象画のようになるまでピンボケさせた 浜田 涼 のような写真が気にいりました。 浜田 涼 は滲んだ色のようになるまでピンボケさせた写真は、 Gerhard Richter の写真絵画でピンボケ的な処理をしているものを [関連する鑑賞メモ]、 油彩ではなく写真としてやっているよう。 形態が抽象化されているだけでなく、滲んで混色して彩度の落ちたグレー気味の色味も好みでした。
学生時代の1993年の「アーバナート」でパルコ賞を受賞したデビュー作から現在に至る30余り年の作品を辿る回顧展。 家族でのヌード写真や配偶者を取り続けた写真など、従来、荒木 経惟などにより 女性を対象に撮られていた写真をズラすような興味深さはあるけれども、 そもそもの私的なものに対する距離感が苦手だな、と。 前に2階展示室でやっていたのも 荒木 経惟 だったな [鑑賞メモ]、と思い出したり。
キヤノンの主催する新人写真家発掘・育成・支援を目的とするアニュアルの公募コンテストの受賞作品展。 休館中は別として、長年、東京都写真美術館で開催されていたので、毎年のように観ているが、今年は以前と雰囲気が変わった。 以前は、ドメスティックで、私的でサブカルっぽい雰囲気の作品が多かったという印象を持っている。 しかし、今年はナラティヴとはいてコンセプチャルに作り込まれた作品が目に付いた。 受賞作家の顔ぶれも国際的で、写真というより映像作品も多く含まれ、国際現代美術展の雰囲気に近く、 これも時代の流れかと感慨深いものがあった。