TFJ's Sidewalk Cafe > Dustbin Of History >
Review: 『北澤美術館所蔵 ルネ・ラリック –モダン・パリのエレガンス–』 @ 富山市ガラス美術館 (デザイン展); Marta Klonowska: Istota @ 富山市ガラス美術館 (美術展/工芸展)
嶋田 丈裕 (Takehiro Shimada; aka TFJ)
2019/09/22

8月25,26日に利賀芸術公園でシアター・オリンピックス2019を観た後、26日の夜は富山駅前まで移動して一泊。 27日に東京へ戻る前に、総曲輪の南に2015年にオープンした 隈 健吾 [展覧会の鑑賞メモ] の設計による 銀行、図書館、美術館から複合施設 TOYAMAきらりを観てきました。 ファサードも目立ちますが、内装に木が多用されていて、ガラスながら温かみも感じる落ち着いた空間になっていました。 で、美術館でやっていた展覧会を観てきました。

René Lalique - Paris Modern Elegance - Selected Works from the Kitazawa Museum of Art
富山市ガラス美術館
2019/04/27-09/23 (5/8,5/15,6/5,6/19,7/3,7/17,8/7,8/21,9/11,9/18閉), 9:30-18:00 (金土 9:30-20:00).

20世紀前半の戦間期、Art Deco の時代の食器、香水瓶やランプシェードなどガラス製品のデザインで知られる René Lalique の展覧会です。 Lalique の作家性を示すというより、 19世紀末のジュエリーの工芸作家の時代から、50歳過ぎにのガラス工芸への転身を通して、 当時のモダンなライフスタイルの変化を示すような展示でした。 Lalique のデザインしたガラス製品、工芸品は Art Deco 関連の展覧会で必ずのように展示されているのを観てきましたが、 転身する前のジュエリー作家時代を意識することはあまりなく、 単品物で上流階級向けの宝飾品から量産も可能で大衆も入手可能なガラス製品へ、という文脈という気付きを得た展覧会でした。

富山市ガラス美術館
2019/04/27-09/23 (5/8,5/15,6/5,6/19,7/3,7/17,8/7,8/21,9/11,9/18閉), 9:30-18:00 (金土 9:30-20:00).

ガラスを素材に用いるポーランドの造形作家による展覧会です。 2003年以降制作を続けているというルネサンス期以降の近世の絵画に着想した作品シリーズを展示していました。 中心的に描かれている人物ではなく、普通では目に留めないような犬、靴を題材として選び、 ガラスの色に合わせた単色に変えた元の絵画の複製と併置するという、少々コンセプチャルな作風でした。 ガラス板を割って作った細長いガラス片を金属で作った枠に植えるように接着して、もふもふの動物をガラスで表現していました。 コンセプトよりも、ガラスでもふもふを作るという質感のギャップ方が面白く感じられました。 それにしても、よく、こんなものをポーランドから運んでこれた、と感心してしまいました。

富山といえば、2017年に駅の北側にオープンした富山県美術館 [鑑賞メモ] もありますが、 こちらの富山ガラス美術館も併設の金沢加賀麩の老舗 不室屋のカフェの雰囲気も含めなかなか良い美術館でした。 路面電車の駅 (西町) に近く、立ち寄りやすいロケーションというのも嬉しいです。 駅を挟んで反対側にあり2つの美術館をハシゴするには不便ですが、富山に来た時には立ち寄りたいものです。