TFJ's Sidewalk Cafe > Dustbin Of History >
Review: Ivo van Hove (dir.), John Cassavetes: Opening Night 『オープニング・ナイト』 (演劇 / screening); Ivo van Hove (dir.), Jean Cocteau: La Voix Homaine 『声』 (演劇 / screening); Ivo van Hove (dir.), William Shakespeare: The Taming of the Shrew 『じゃじゃ馬ならし』 (演劇 / screening)
嶋田 丈裕 (Takehiro Shimada; aka TFJ)
2020/11/12

例年であれば、10月から11月にかけてほぼ毎週末、東京芸術祭やFESTIVAL/TOKYOのプログラムで、 海外カンパニーのコンテンポラリーな演劇やダンスの公演が東京芸術劇場界隈で続くのですが、 今年はCOVID-19で来日公演はほぼ全滅。 11月6-8日も東京芸術劇場プレイハウスで Ivo van Hove / Toneelgroep AmsterdamRoman Tradegies の公演が予定されていたのですが、キャンセル。 その代わりに Ivo can Hove 演出作品上映会が開催されたので、日本語字幕付きで観ておく良い機会と、 土曜7日の昼から晩まで、1日通し券で3作品を観ました。

『オープニング・ナイト』
Director: Ivo van Hove; Author: John Cassavetes
Actors: Elsie de Brauw (Myrtle), Jacob Derwig (Maurice), Oscar van Rompay (Gus), Fedja van Huët (Manny), Katja Herbers (Dorothee), Chris Nietvelt (Sarah), Kristof van Boven (Kelly), Fred Goessens (David), Lien de Graeve (Lena), Hadewych Minis (Nancy), Eelco Smits (Leo)
Translation: Gerardjan Rijnders, Sam Bogaerts; Dramaturge: Koen Tachelet; Scenographer, light design: Jan Versweyveld; Sound design: Marc Meulemans; Video: Erik Lint; Costumes: An D'Huys
Premiere: 26 Mar 2006
Producer: NTGent, Toneelgroep Amsterdam
映像初公開日: 2010年9月17日 (収録日時不明), 90分.
上映: 東京芸術劇場プレイハウス 2020/11/07 13:00-14:30.

John Cassavetes の1977年の同タイトルの映画に基づく作品ですが、元の映画は観ていません。 同じく映画に着想したということより、 老いに向き合う女優が主人公のバックステージ物ということもあってか、 All About Eve 『イヴの総て』 [鑑賞メモ] を連想しました。 手持ちカメラなども使って舞台裏を見せるかのような演出も似ていたでしょうか。 しかし、All About Eve より構造は複雑で、 地の舞台裏、リハーサル、ゲネプロ、初日の舞台に主役の女優の妄想などが錯綜して、 今、何を見てるのか混乱する時もありました。 その錯綜具合も含めて楽しむ作品かと思いますが、さほどピンと来なかったのは、 演劇の舞台裏に自分がさほど興味持ててないというのはあるかもしれません。

『声』
Director: Ivo van Hove; Author: Jean Cocteau
Actors: Halina Reijn (she)
Translation, dramaturge: Peter Van Kraaij; Scenographer, light design: Jan Versweyveld
Premiere: 12 Feb 2009
映像初公開日: 2010年1月1日 (収録日時不明), 70分.
上映: 東京芸術劇場プレイハウス 2020/11/07 16:15-17:25.

ある女性の別れた男 (夫) との長電話を一人芝居としたもの。 客席側に大きなガラス窓がある、ほぼ空の部屋で、女優一人が電話に、もしくは自分に語り続けます。 身体の動きで空間を描いたり、セリフで電話の向こうの状況を描くというより、電話の主の女性の心情を描くというもの。 正直に言えば自分とは縁遠過ぎる話の上、 例えば Fleabag [鑑賞メモ] のような コメディ的な語りの妙を感じられるものでも無かったので、 その世界に入り込むというより、当惑感が先立ちました。 しかし、窓の外に出て、手を広げて、照明が落ちるラストは、流石にスタイリッシュに不穏な演出でした。

『じゃじゃ馬ならし』
Director: Ivo van Hove; Author: William Shakespeare
Actors: Alwin Pulinckx (Tranio), Leon Voorberg (Gremio), Dennis Rudge (Hortensio), Eelco Smits (Lucentio), Fred Goessens (Grumio, Vincentio), Halina Reijn (Katharina), Hans Kesting (Petruchio), Elise Schaap (Bianca), Hugo Koolschijn (Baptista Minola), Stef Aerts (Biondello).
Translation: Hafid Bouazza Dramaturge: Alexander Schreuder Scenographer: Jan Versweyveld Set: Atelier Amsterdam Sound design: Marc Meulemans Costume design: Lies van Assche
Premiere: 08 May 2005
映像初公開日: 2009年9月4日 (収録日時不明), 115分.
上映: 東京芸術劇場プレイハウス 2020/11/07 19:30-21:25.

シェイクスピアの作品の中でもミソジニー的な面が多くある『じゃじゃ馬ならし』を Ivo van Hove がどう料理したのか興味があったのですが、 舞台を現代に置き換え、脇役を含めて、皆、めちゃくちゃなひとばかりという、カオティックな舞台でした。 相対的に Katherina と Petruchioが中では最もまともな2人に見えてしまったことよ。 Katherina と Petruchio の結婚式で、親や友人がオランダのフットボール応援姿の一方、 白ネクタイスーツ姿の Petruchio が結婚式に相応しくない姿として責められるわけですが、 万事こんな感じで、価値観が逆転した世界での物語のよう。 このオランダのフットボール応援姿の結婚式をはじめ、 何ヶ所か微かに見覚えある場面がいくつかあったのですが、 YouTube のトレイラーか何かで観たことがあったのかもしれません。

去年もシアター・オリンピックスで1日3公演観ているので [鑑賞メモ] 大丈夫だろうと1日通しで観たのですが、全て同じ演出家の演劇作品が続いて変化に乏しい上、 遠征しての演劇祭のような気分的な盛り上がりに欠けるので、疲労感が先立ってしまいました。 うーむ。