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Review: 宮島 達男 『クロニクル 1995-2020』 @ 千葉市美術館 (美術展)
嶋田 丈裕 (Takehiro Shimada; aka TFJ)
2020/11/29
千葉市美術館
Tatsuo Miyajima: Chronicle 1995-2020.
2020/09/19-12/13 (10/5,10/10,11/2,11/16,12/7休), 10:00-18:00 (金土-20:00).

千葉市美術館の拡張リューアルオープン・開館25周年記念の展覧会は、 7セグメントLEDカウンターを使ったインスタレーションで知られる 宮島 達男 の回顧展です。 1980年代には活動を始めていた 宮島 ですが、美術館開館の1995年以降を取り上げたものになっています。 国際美術展や美術館常設展などで作品を観る機会が多い作家ですが、美術館レベルでの個展として観るのは初めて。

まとめて観て新たな気付くがあったという程ではないのですが、 「7セグメントLEDカウンターを0を表示せずにカウントダウンを繰り返す」という確固たるモチーフを持って、 それを長年にわたって変奏して展開していることの強さを実感しました。 配置を変えるのはもちろん、LEDの色を変えたり、LEDに代わって液晶を使ったり、液晶プロジェクタで投影したり、 カウントダウンの方法に「IKEGAMI Model」のようなロジックを採用したり。 さらに、身体性を強調するように、人にペイントしたり、ペイントもせずに数えさせてパフォーマンス/ビデオ作品としたり、と、 変奏の展開の仕方も巧みで、変奏間の差異も楽しめます。 正直に言えば「柿の木ブロジェクト」は『Ripple Across The Water - 時の波紋』 (表参道界隈, 1995) で観て以来、微妙な作品に感じてはいるけれども、 LEDカウンターという作風の太い柱を持ち、しっかり継続してきているということで、 作家の作風の文脈中にそれなりに位置付けられるように感じられました。

と言っても、やはり良いと感じたのは、LEDカウンターを使った作品。 LEDモジュールに大きなものや小さなものを使い、 裏の配線も見せるように疎に格子状から揺らいで不定形に配置する、近年の作風が特に気に入りました。 1995年は実用化されたばかりの青色ダイオードの使用も新鮮でしたが、 今回の展示での新作では、淡いパステルカラーのLEDカウンターを、それも様々な色のものを交えて使っているのも新鮮に感じられました。

宮島も出展した千葉市美術館開館記念展『Tranquility – 静謐』は観ていますし [鑑賞メモ]、 今回の展覧会に取り上げられていた最初期にあたる 国際現代美術展『Ripple Across The Water – 水の波紋 '95』は、 自分にとっても現在に至るまで現代美術を見続ける大きなきっかけとなった展覧会でした。 1996年にはカウントダウン・パフォーマンスの収録にも参加したことありました [鑑賞メモ]。 そもそも、このサイトに残っている美術展の鑑賞メモが1996年頭からで、ほぼこの展覧会と扱う時代と同じ。 先日観た群馬県立近代美術館の『佐賀町エキジビット・スペース 一九八三—二〇〇〇 現代美術の定点観測』展にしてもそうですが [鑑賞メモ]、 作品を鑑賞するというより、1990年代中頃のことをいろいろ思い出させられた展覧会でもありました。 (自分の個人的な記憶については多くは語りませんが。)