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Review: カンパニーデラシネラ 『ドン・キホーテ』 @ 相模女子大学グリーンホール 多目的ホール (ダンス)
嶋田 丈裕 (Takehiro Shimada; aka TFJ)
2020/12/22
相模女子大学グリーンホール[相模原市文化会館(グリーンホール)]
2020/12/12, 15:00-16:20.
演出: 小野寺 修二.
原作: Miguel de Cervantes: Don Quijote; テキスト: 山口 茜.
出演: 藤田 桃子, 大庭 裕介, 崎山 莉奈, 雫境, 伊吹 卓光, 小野寺 修二.
美術: 石黒 猛; 照明: 吉本 有輝子; 音響: 池田 野歩; 衣裳: 駒井 友美子(静岡県舞台芸術センター); 舞台監督: 橋本 加奈子;
初演: 2017/03/03, 高知県立美術館ホール.

『ロミオとジュリエット』 [鑑賞メモ] に続く カンパニーデラシネラの古典名作劇場第二弾『ドン・キホーテ』です。 初演から4年近く経ち、初の首都圏での上演です。 バレエ化された Kitri と Basilio の恋物語ではなく原作に着想した作品です。 マイムをベースとした無言の作品で、はっきりと物語の筋を追って描いてはいません。 騎士道物語を読み耽って空想と現実の区別が付かなくなる話、 風車を巨人と間違えて突撃してしまう話、 田舎娘を Dulcinea 姫と Sancho に騙される話、 そして、銀月の騎士 Carrasco との決闘の話など に着想したと思われる場面が演じられ、 ある程度粗筋を知っているだけで物語が辿れると思われる演出でした。 (バレエ版の元ネタになった話は使われていなかったように思います。)

『ロミオとジュリエット』がそうでしたが、 全国を回ってのツアーで必ずしも劇場での上演を前提としない作品ということでしょうか、 大きな装置は使わず、人手で持ち運べる程度の道具のみでの上演です。 しかし、逆にそれが身体の動きで空間を描く面白さ、 一つの物から様々なアイデアを使って多様な情景を描いていく面白さを 引き出していたように思います。

冒頭の騎士道物語を読み耽る場面、 一辺2m程度の細い白い棒で作られた立方体の枠の中に読書机を置き、 その中と外を、書物という空想に繋がる世界と現実という異なる世界として動きとして演じ分け (空想を映像と見立て、それを演出している様子として見せたり)、 そこから本がパフォーマーたちの手づてでこぼれて、やがて舞台全体に空想が広がるよう。 そして、なんと言っても、Don Quixote が風車を使う場面。 優に5m四方はあろう軽い布を使い、広げて風を表現し、 張って風車への道を作りつつその上を行くDon Quixote と Sancho を張る手でライトアップし、 布の下の動きで巨人のイメージを作り出し、翻して場面転換し、と、 布使いのアイデア溢れる楽しい場面でした。 もちろん原作が風刺的、喜劇的な作品ということもあり、 客席からも笑い声が溢れるようなコミカルな場面も少なからずありました。

2月に観た『どこまでも世界』 [鑑賞メモ] や 前の週に観た『Knife』 [鑑賞メモ] のような試みも良いのですが、 『ロミオやジュリエット』や『ドン・キホーテ』のような有名な物語を使って取りつきやすく楽しめる作品も、彼らの持ち味が生かされていて、また良いものです。 それにしても、『Knife』が振替公演となったため、2週続けての公演。 出演者はもちろんのこと、制作サイドも諸々の調整が大変だったのではないかと。