London International Mime Festival (LIMF)
がストリーミングで公開していた
過去にLIMFで上演された作品の中から選ばれた映像の中から、1月29-31日の週末に観た中から印象に残ったものを
先週末観た分の鑑賞メモはこちらです。
Devised and performed by Alex Harvey and Charlotte Mooney;
Director: Deb Pope;
Music composer: Patrick Larley;
Costume designer: Tina Bicat;
Lighting designer & Technical Manager: Justin Farndale;
Equipment Designer: Alex Harvey and Charlotte Mooney
Premiere: September 2004, Theatre de la Cite Internationale, Paris.
Producer: Alison King (Turtle Key Arts)
Filmed live at Stratford Circus, London on 7th November 2008,
13min.
Ockham's Razor はエアリアルを得意技とするイギリスのサーカス・カンパニーです。
この作品では縦約250cm、幅約70cmの長方形のパイプの枠を吊り下げて、2段のトラペーズのように使い、男女2人組のエアリアルを演技します。
Momento Mori というタイトルは Memento Mori 「死を忘るなかれ」のもじりと思われますが、
ボディスーツの男性 Alex Harvey が骸骨の役で、
赤いワンピースの女性 (Charlotte Mooney) が骸骨=死と向き合っている、というコンセプトでしょうか。
ピアノ曲を伴奏に使い静かな動きも美しい作品です。
Devised and performed by Alex Harvey, Charlotte Mooney, Tina Koch;
Director: Ruth Naylor-Smith;
Music composer: Derek Nisbet;
Costume designer: Tina Bicat;
Lighting designer & Technical Manager: Justin Farndale;
Equipment Designer: Ockham's Razor
Premiere: January 2007, The London International Mime Festival, The Linbury Studio, Royal Opera House.
Producer: Alison King (Turtle Key Arts)
Filmed live at Stratford Circus, London on 7th November 2008,
22min.
同じく Ockham's Razor による作品です。
パイプを縦3本横7本格子に組み、真ん中の横パイプを両端で格子をワイヤで吊り下げ、
その格子を使って
Ockam's Razor のコアのパフォーマーである
Alex Harvey, Charlotte Mooney, Tina Koch という男性1人女性2人でエアリアルを演技します。
構成はメロドラマチックな三角関係の物語を感じさせるものです。
最初は格子が水平になるよう四角がワイヤで固定されているのですが、
その格子の上で戯れ合い叩き合い、やがて中盤になると一組の男女が親密な雰囲気となり、
残された女性が嫉妬で四角の固定ワイヤーを外してしまい、格子は二本のワイヤーのみで吊るされた不安定な状態になります。
そして、3人の位置関係で回転してしまうような不安定な格子の上で和解が静かに演じられます。
吊るされた格子の不安定さが人間関係の不安定さのメタファーにもなっているかのような面白さがあります。
LIMF 2007 での初演の際は、Momento Mori と
Every Action [トレイラー] とのトリプルビルでしたので、
Every Action のストリーミングが無かったのが惜しまれます。
Ockam's Razor はLIMFの常連で、
トレイラー動画やスチル写真で以前から気になっていたのですが、やっと2作品を通して観ることができました。
Conception: Josef Nadj, Miquel Barceló
Avec: Josef Nadj, Miquel Barceló
Création sonore: Alain Mahé;
Création lumière: Rémi Nicolas;
Costume: Fabienne Varoutsikos;
Potene: Jean-Noël Peignon.
Création: Eglise des Célestins – Festival d’Avignon, 16 juillet 2006.
filmé par Bruno Delbonnel.
40 min.
ハンガリー出身でフランスを拠点に活動するダンサー/振付家 Josef Nadj が、
スペイン・バレアレス諸島マヨルカ島出身の現代美術作家 Miquel Barceló と組んで制作した作品です。
ダンスというより粘土 (クレイ) の床と壁へのライブペインティングならぬライブ粘土造形です。
造形的に面白いというより、フォーマルなスーツ姿でぐちゃぐちゃになりながら粘土と格闘する様子は見応えありました。
しかし、闘牛風のダンスを意味する Paso Dobre がタイトルである意味は掴めませんでした。
2000年に世田谷パブリックシアターで来日公演した Woyzeck [鑑賞メモ] も
ストリーミングされていました。
20余年ぶりに見直しましたが、意外と覚えていて、
不条理でシュールな東欧のクレイ/人形アニメーションのような世界を舞台上で人で演じているようという観た印象も大きく変わりませんでした。
あれ以来、様々な Woyzeck / Wozzeck の上演を観てきているので、もっと理解できるかと期待したのですが、
やっぱり、役も Woyzeck, Marie, 中隊長くらいしかわかりませんでしたし、物語もほとんど原形を留めていないように思われました。
Auteurs / Jongleurs:
Nicolas Mathis,
Denis Fargetton,
Julien Clément;
Jongleur replaçant de Denis Fargetton: Alexandre Leclerc;
Pianiste / Interprète: Aline Piboule
Auteur / Regard extérieur: Simon Carrot;
Créayion lumière: Arno Veyrat;
Régie générale: François Dareys;
Régie: Martin Barré;
Identité visuelle: Aude Poirot
Production Collectif Petit Travers
Création en février 2009 à l'Arche de Béthoncourt en pertenariat
avec les scènes nationles de Montbéliard et Belfort.
Spectacle filmé le 4 février 2011 à la scène nationale de Mâcon
par Systemik Production
52min.
フランスのリヨンを拠点とするジャグリングのカンパニーです。
ピアノ生伴奏で、ジャグラー3人ボールジャグリング。
暗い舞台で黒の衣装で、白のボールのみを使い、他の道具もボールを入れる籠と、
人の姿をトリッキーに増やすため等身大で同じ服装の人形を加える程度。
客席に背を向けている時間が長く、手元もほとんど見えず、無駄な動きも少な炒め、
白いボールが不自然に飛び交う様だけ浮き上がるような面白さがありました。
ミニマリスティックに音楽を可視化するようなジャグリングの演出は好みなのですが、
それだけで1時間は少々長く感じられてしまいました。
Concept et mise en scène: Gabriela Carrizo
Aide à la mise en scène et dramaturgie: Franck Chartier
Création et interprétation:
Eurudike De Beul, Maria Carolina Vieira, Marie Gyselbrecht,
Brandon Lagaert, Hun-Mok Jung, Yi-Chun Liu, Simon Versnel, Charlotte Clamens
Composition sonore et arrangements:
Raphaëlle Latini, Renaud Crols, Glenn Vervliet, Peeping Tom.
Mixage audio: Yannick Willox, Peeping Tom;
Conception lumière: Giacomo Gorini, Amber Vandenhoeck;
Costumes: Diane Fourdrignier, Kristof Van Hoorde (intern), Peeping Tom;
Conception décors: Amber Vandenhoeck, Peeping Tom
Premiére: 29 Septembre 2016, Theater im Pfalzbau, Ludwigshafen.
Spectacle filmé à La Maison de la Dance de Lyon, le 14 septembre 2017
par Fabien Plasson.
77 min.
度々来日しているベルギーのダンスカンパニー Peeping Tom の
Vader-Moeder-Kind 三部作の2作目です。
舞台はセリフからすると美術館ですが、ガラス張りの録音 (放送) ブースや休憩コーナーもあり、
展示されているのもプライベートは作品のようであり、
繰り広げられるパフォーマンスもあって、絵画なども展示されている病院の待合コーナーのよう。
そんな空間で、亡くなった老母、臨月や幼子のいる母などの「母」のイメージが
明確なストーリー無く演じ連ねられていきます。
心臓を描いた絵が血を流したり、引きつり倒れるような踊tたり、と、
日常的な場面が崩壊しては (微妙な裂け目を残して) 戻るというのを繰り返す約1時間半。
三部作1作目 Vader [Father] でも強烈な印象を残した
[鑑賞メモ]
Maria Carolina Vieira の、軟体的に崩れ落ちるような動きはもちろん、
空中前転して倒れるような動きなども目に止まりました。
Moeder [Mother] は去年3月に世田谷パブリックシアターで公演予定で、
チケットも取っていたのですが、COVID-19で中止になってしまったのでした。やはり生で観たかったです。
2017年に世田谷パブリックシアターで来日公演した三部作1作目
Vader [Father]
もストリーミングされていました。
観て数年でそれなりに記憶にも残っているので、今回は観ていません。
Wilton's Music Hall, July 2018.
Eleanor Perry (Queen Victoria),
Daniel Hay-Gordon (Miss Havisham)
Costumes: Tim Spooner, working with underskirts by Yolanda Sonnabend. Crown by Sheila Hay;
Make-up & wig: Darren Evans
Music: Turangalila Symphony: Developpement de l'amour, by Olivier Messiaen;
Bernard Parmegiani, Scott Walker, Walker Brothers, Leonard Cohen, Martita Hunt as Miss Havisham, Fats Waller & Basil Kirchin.
Originally commissioned by DanceWest's Ignition Dance Festival 2017.
33 min.
ダンス、マイム、演劇、ドラァグをミックスした作品を作っているというイギリスの2人組です。
男性がコルセットにクリノリンという異性装でしたが、ドラァグクイーンというより、
この作品ではホラーというかゴスのイメージの方を強く感じました。
表現の文脈が捉えられなかった感もあり、
客席から度々笑いがあがっていましたが、笑いのポイントを掴めそこねてしまいました。
d’après “Les Elfes” des frères Grimm
Avec: Joséphine Biereye, Patrick Sims, Richard Penny
Patrick Sims: Conception, mise en scène, marionnettes, musique;
Josephine Biereye: Marionnettes, masques, costumes, accessoires;
Richard Penny, Nicolas Hubert: Décor, accessoires et machines et mécanismes;
Karine Dumont: Création musique et son;
Sophie Barraud: Création lumière et régie générale
Performed at The Pit, Barbican, as part of London International Mime Festival 2019.
54 min.
主宰の Patrick Sims はアメリカ出身ですが、フランス中部ブルボネ地方というかアリエ (Allier) 県を拠点とするマリオネット・カンパニーです。
グリム兄弟 (Brüder Grimm) の童話『小人の靴屋』Die Wichtelmänner に基づく作品ですが、
丁寧に物語るものでは無く、イメージの源泉という程度でしょうか。
鳩時計のような機械仕掛け、被り物というかマスクをしてのマイムに、
マリオネットを組み合わせてのパフォーマンスでした。
レトロ不気味可愛いセンスはさすがフランスの劇団でしょうか。
客席からも子供の笑い声が聞こえるように子供向けで、
国内の公共劇場がよくやってる夏休みの子供向け公演に向いてそうとも思いましたが、
原作通りのクリスマスに近い夜という設定は夏休み向けではありませんね。