1990年代以来、機能を持たないという不条理感と無骨な存在感を併せ持つ機械を作り続けているタムラサトルの個展です。
今回は銀座の高級ショッピングモール内の書店の展示スペースでの展覧会ということで、
電気火花をバチバチ飛ばす [鑑賞メモ] とか、
角材で鋼板をバンバン叩く [鑑賞メモ] とか、
壁いっぱい鉄パイプがビュンビュン回る [鑑賞メモ] とかの、
危険な作品ではなく、静かに鑑賞できる作品です。
少々無責任ながら高級ショッピングモール中の危険な作品という場違い感を楽んでみたいようにも思いましたが、
具体的な安全策とか考えるとこの展示は妥当な落とし所でしょうか。
今回展示されていたのは、ただ文字図形を描くだけで何も駆動しないチェーンと歯車の作品です。
機械油で光るといっても黒光りというほどではなく、むしろ錆も浮かず鈍く金属色に光るチェーンと歯車がニルニルとゆっくりと動いていきます。
その質感がフェティッシュに楽しめるという所もあるのですが、
Times のようなセリフ書体で「7」を描いた作品で、微妙な斜線の曲がりを小さな歯車を多用して丁寧に描いているところに、
そのラインへのこだわりが感じられました。