去年は新型コロナウイルス検査で関係者から陽性反応が出て直前に公演中止で 無観客配信となってしまった新国立劇場バレエ団の正月公演 [鑑賞メモ]。 今年も、演目の変更、指揮者の変更に続いて、年明け早々オミクロン株で感染者急増。 直前に関係者から感染者が出たもの、その他の公演関係者に対して検査で陰性を確認し、なんとか開催へ漕ぎ着けました [お知らせ]。 というわけで、15日のマチネで「劇場に初詣」を楽しんできました。
第1部は Balanchine の Theme and Variations。 古典バレエの身体語彙に疎いということもあって、 同年に初演された Le Palais de Cristal [鑑賞メモ] のコンパクト版の趣もあるシンフォニック・バレエです。 こういう、抽象的に集団での技術で見せるバレエも、このバレエ団らしいでしょうか。 正月気分に合ったゴージャスさを楽しみました。
第2部は、新制作で予定されていた Frederic Ashton: The Dream からの演目変更で上演されることになった、 David Bintley: "Still Life" at the Penguin Café。 去年の『ニューイヤー・コンサート』の上演配信で観たものとキャストもかなり被りますが [鑑賞メモ]、こうして生で観られて、感慨もひとしお。 おしゃれだったりユーモラスだったりする展開から、ラストの破局的な展開への転換が見事。 酸性雨の嵐の場面は、配信より生の方が、人々(というか、動物たち)を浮かび上がらせる照明も美しく、ダンサー達の動きもよりドラマチックに感じられました。 また、バレエ用にオーケストラ編曲された Penguin Cafe Orchestra の曲も、 チューバがベースラインを吹くような展開もあり、 弦中心のオリジナルと比べ、ブラスの音を効かせたアレンジだったことに気付かされました。 Humboldt's Hog-nosed Skunk Flea [豚鼻スカンクにつくノミ] の場面で舞台中央に落ちた帽子を、 次の Southern Cape Zebra [ケープヤマシマウマ] の場面で シマウマ 奥村 とゼブラガール 米沢 の見事な連携で回収するなど、 ハプニングに対する絶妙なフォローを見られたのも、生ならではでしょうか。
新国立劇場バレエ団はなんとか開催されましたが、 翌週の Batsheva Dance Company: Hora @ 彩の国さいたま芸術劇場 [公演情報] も、 2月頭の William Forsythe: Three Quiet Duets @ Bunkamura オーチャードホール [公演情報] も中止。 まだしばらくは、海外招聘公演は厳しそうです。