東京都と Tokyo Arts and Space (TOKAS) が始めた現代美術の賞 Tokyo Contemporary Art Award (TCAA) の受賞記念展の第3回です。 第1回はピンと来なかった [鑑賞メモ] ものの、 第2回の 藤井 光 の作品が興味深かった [鑑賞メモ] ので、今年も定点観測してみました。 去年に続いて、歴史的な出来事や現在の社会の問題に対するリサーチに基づくインスタレーションという方向性は継続でしょうか。
志賀 理江子 のビデオ・インスタレーション《風の吹くとき》 (2022-2023) と写真や壁への直接のドローイングからなるインスタレーション《あの夜のつながるところ》 (2022) は、 東日本大震災の復興に圧倒されるという経験に基づく作品とのこと。 以前に観た東京都写真美術館での個展 [鑑賞メモ] と比べて粗い展示です。 《風の吹くとき》のビデオの内容よりも、《あの夜のつながるところ》の作りに圧倒していくものに対する憤りのようなものを感じました。 しかし、《風の吹くとき》の中で「戦後日本のデジャブ」と言うものの、その言葉のレベルに留まって、何を何を比較してデジャブと感じているのかなどの掘り下げが無いので、 ポリティカル・パンクのグラフィックのような少々ステロタイプなインスタレーションもあって、 図式的な所に止まってしまっているようなつまらなさも感じてしまいました。
竹内 公太 の作品は、インスタレーション《地面のためいき》 (2022) などの太平洋戦争中に日本軍が開発使用した風船爆弾に関する一連の作品と、 劇場の解体現場を疑似体験させる映像インスタレーション《三凾座の解体》 (2022)。 こちらは、自分の興味関心がすれ違ってしまった感がありました。