TFJ's Sidewalk Cafe > Dustbin Of History >
Review: 宮永 愛子 『詩(うた)を包む』 @ 富山市ガラス美術館 (美術展); Dale Chihuly: Glass Art Garden - Chihuly Experience @ 富山市ガラス美術館 (美術展)
嶋田 丈裕 (Takehiro Shimada; aka TFJ)
2023/11/18
MIYANAGA Aiko: Wrapping a Verse
富山市ガラス美術館
2023/11/03-2024/01/28 (第1・3水休;1/3開;12/29-1/1,1/10休), 9:30-18:00 (金土-20:00).

ナフタリンで作った造形物をガラスケースなどに封入した作品で知られる 宮永 愛子 の個展です。 グループ展では最近も観る機会がありますが [鑑賞メモ]、 美術館レベルでの個展は2012の国立新美術館 [鑑賞メモ] ぶりでしょうか。 3階、2階の展示室を使っての展示でしたが、前半の3階がナフタリン彫刻の作品、後半の4階がこの美術館らしくガラスを使った作品という構成でした。

ナフタリン彫刻の作品は手紙、時計や旅行鞄などのお馴染みのモチーフを使った作品がメインでしたが、 工芸家だったという祖父の東山窯の石膏型で型取った作品に、今までのクールさとは違う、大黒様や猫の造形の可愛らしさとナフタリンの儚さを感じました。

ガラスを使った作品は、ナフタリン彫刻をガラスに置き換えたような作品が半ばで、 東山窯の石膏型で型取った可愛らしい作品もありましたが、 石や枯葉・枯枝などに溶けた状態でかけて発泡したまま固まったガラスのオブジェの 偶然も含まれる不定形な造形に面白さを感じました。

3階と2階を使う階段室に青磁釉のたてる貫入音に耳を澄ます作品が展示されていました。 2011年に三宿CAPSULEで体験して以来でしたが [鑑賞メモ]、 耳が老化したか、その時のように微かな澄んだ音が聴き取れませんでした。

Glass Art Garden - Chihuly Experience
富山市ガラス美術館
常設展

規模の大きなインスタレーションも手がける1960年代から活動するアメリカのガラス作家の 収蔵作品を展示する常設のフロアが6階にあるので、そちらも観てきました。 泡のようだったり、海生生物のようだったりする、シンプルながら有機的な造形と、 鮮やかな彩色でストライプやドットを入れた色彩感は、 その作品の大きさもあって、ちょっとした没入感もあるインスタレーションでした。 彼が活動を始めた1960〜70年代的なサイケデリックなセンスも感じました。