3日に『ふじのくに⇄せかい演劇祭2024』を観た後は、静岡で一泊。 4日は、去年 [鑑賞メモ] に引き続き ストリートシアターフェス『ストレンジシード静岡2024』を観てきました。
東京を拠点に活動する「まちなか演劇」ユニットによる、約40分のパフォーマンスです。
頼りなさげで優しそうなロボットが恋をするという設定を描くところから入りますが、
後半になるとロボットを応援させる形で観客を巻き込みはじめます。
その設定も造形も、微笑ましいパフォーマンスでした。
埼玉のダンサーと福岡/東京の空間演出ユニットによるコラボレーションです。
竹製のフレームを組み合わせた障害の多い空間の中をダンサーが動き踊る、動きも空間もアブストラクトなダンスです。
(途中から観ることになりましたが、ナラティブな構成でなくて良かったです。)
オープンな空間でも存在感あるダンサーの俊敏な動きの切れ味の良さは、新体操でキャリアを始めたということもあるのでしょうか。
野外ですが借景とかも特に使わず、むしろ、屋内のブラックボックスでの公演の方が映えそうな抽象度でした。
京都のカンパニーで、普段は演劇の文脈で活動してるようですが、今回上演したのはセリフはほぼ使用しないストーリーテリング・ダンスというかマイム劇でした。
衣装からも道化的な性格付けを感じる3人が繰り広げる不条理なお茶会を思わせました。
コンテンポラリー・ダンスの文脈で活動する 鈴木 ユキオ が、
アーツカウンシルしずおか主催「マイクロ・アート・ワーケーション2023」の経験を経て制作したという
公募出演者、観客をも巻き込んでの群集パフォーマンスです。
東御門前広場をスタートし駿府城公園中央の庭園(沈床園)を抜けて二の丸御門跡広場まで、
パフォーマーにそれを取り囲む観客を含めて100名以上がゾロゾロと移動する様はなかなか見応えあります。
といっても、ストーリーのあるスペクタクルを展開するというわけではなく、かといって、イベントで見られるような無秩序な移動でもなく、
タイトル『風景とともに』にあるように、風景に積極的に介入するのではなく、風景を異化するギリギリの線を狙うかのような、そんなパフォーマンスでした。
東京を拠点に活動する野外劇コンビ。
駿府城公園 東側芝生のステージを出発点に、ガーデンステージ脇、おでんやおばちゃん横、児童公園を抜けて二の丸橋まで移動しながらの上演です。
公園内をピクニックと言いつつそれが上手くいなない様を演じつつ、
一方 (アンジー) が 太宰 治 『待つ』に基づくセリフを語り、
それと絡むでもなく (実際別々に動いた時も少なくない) もう一方 (栗栖 のあ) がコロナ禍下で青春期を過ごした不条理をぼやく、というもの。
そのセリフよりも発話や動きに不条理を感じました。
京都のエアリアル/ヴァーティカルダンスのカンパニーによるウォーキングアクトです。
大道芸ワールドカップin静岡ですが札の辻界隈でヴァーティカルダンスを観たことがあったので
[鑑賞メモ]、
青葉シンボルロード沿いのビル壁にヴァーティカルダンスで登場するのではないかと期待しましたが、
さにあらず、B2ブロックの地下駐輪場出入口から登場。
ブルガリアの кукери (クケリ) を可愛くしたような白いモコモコ姿で、
言葉は発しないものの、アコーディオン生伴奏付きで、
葵スクエア、静岡市役所新館前を、時折、観客をグリーティングしながら、ゲートで小規模なエアリアルをしたりしながら移動。
市役所本館脇の鏡池のある駐車場上広場に立てたエアリアル・リグを使ってハーネスを使ったワイヤー・ワークのパフォーマンスを見せました。
異形で視線や注意を誘導しながら、その場を異化して回りました。
京都府を拠点に活動しているカンパニーによる野外劇です。
お茶の間を舞台に、しかし、お茶の間の日常らしからぬ奇抜な衣装で繰り広げるシュールでオフビートな新喜劇を見るようでした。
안재현 [Ahn Jae-Hyun] が主宰するコンテンポラリー・サーカス・カンパニーによる、
チャイニーズ・ポールと韓国の伝統音楽を組み合わせた作品です。
チャイニーズ・ポールの演技は 안재현 自身が演じていました。
分解したポールを担いで静岡県庁本館前を出発し、二の丸橋を渡った側の石垣にポール伝いに登るパフォーマンスを挟みつつ、たどり着いた二の丸御門跡広場にポールを立て、
チャイニーズ・ポールの演技でボロボロにする服へ着替えます。
第二部は、韓国伝統の竹横笛 대금 [daegeum, テグム] と太鼓を伴奏にして
アクロバティックなポーズからの落下技をメインにチャイニーズ・ポールのパフォーマンスをひとしきり。
フィニッシュして一休みしているかのような所を、daegeum を吹いていたミュージシャンに促され、第三部が始まります。
今度は、daegeum を吹いていたミュージシャンによって大きな扇子を手に歌われる (男性ですが) pansori 風の歌に合わせてチャイニーズ・ポールを演じました。
見たことのないような大技や派手な演出はありませんでしたが、
堂々と力強い演技、抑制の効いた演出に、韓国の伝統的な音楽が生演奏で合わさることにより、余韻を残す渋みのあるパフォーマンスになっていました。
さすがコアプログラムと思わせる完成度、貫禄のパフォーマンスでした。