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大道芸ワールドカップ in 静岡 2015

Text Last Update: 2015/11/15 |撮影 on 2015/11/01 in 静岡市内
静岡市内
2015/10/31-03

11月1日(日)から一泊で 大道芸ワールドカップ in 静岡 2015 を観てきました。 昨年行かれませんでしたし、今年は家康公四百年祭のスペシャルプログラムで夜に大規模なショーがあるということで、一泊としました。 日曜は快晴で昼は暑いほどだったのですが、月曜は朝から冷たい雨が強く降るという状態。 もし雨が上がっても大道芸を観るには辛いコンディションということで、早々に諦めて帰りました。 日曜は10辞頃に静岡入りして、開始の11時からナイトパフォーマンスが終わる20時半までフルに観ることができました。

家康公四百年祭のスペシャルプログラムとしては、 夜の駿府公園での Theater Tol の大規模なショーの他、 Delrevés Vertical Dance Company と “live cinema performance” の Zoomwooz がありました。 1日しか観られませんでしたが、スペシャルプログラム3組をはじめ 、ワールドカップ部門のパフォーマーを中心に初めて観るパフォーマーを集中的に観ることができ、充実感がありました。 といっても、1日ではどうしてもスケジュールが合わないパフォーマーが出てしまいますし、 そもそもオン部門、オフ部門のパフォーマーまで手が回らないので、2日かけてゆっくり観たかった、と。

スペシャルプログラムは期待が過大だったか、楽しんだ中にも何か物足りないものを感じたのも確か。 むしろ、Cie Hydragon のエアリアルなのにこじんまりしてほのぼのとしたものを感じさせるパフォーマンスが 最も印象に残りました。

過去の大道芸ワールドカップ in 静岡の写真集: 1999年2000年2001年2002年2004年2005年2006年2007年2008年2012年2013年

以下に観たカンパニー/パフォーマの中から主なものを個別にコメント付き写真で紹介。 パフォーマー名演目名については、自分で調べられる限り、 パフォーマーの公式サイトや、海外の大道芸関係のフェスティバルのプログラム などで一般的に用いられている表記に従っています。 調べがつけられなかったものについてのみ、 会場で配布されていたパンフレットに用いられていたものを用いています。

Karen Bourre & Mike Leclair: Have a Ball
11/01 11:00〜 @ 駿府公園 富士見芝生広場1

フランスからの男女ペアのジャグリング。 ベンチを使うということで、もっと演劇的な演出を期待しましたが、 ベンチは段差として使う程度で、ダンスするといっても軽くステップを踏む程度。 普通のジャグリング・ショーでした。

ベンチを使ったジャグリングのショーといえば、フィジカルシアター色の濃い Cie Banc Public: Banc Public [写真] の方が好みでしょうか。

ちなみに、女性の Karen Bourre は ヘブンアーティスト TOKYO 2009 に Cirque Baroque の一員として出ていました [写真]。

Cie Hydragon: La Corde et On
11/01 12:00〜 @ クリエイター支援センター

フランスのカンパニー Cie Hydragon の ちょび髭で小太りの老人 Gus とすらっとして比較的若い (といっても中年) の Valentin Bellot の2人による、 のんびりしたエアリアル・ショー。

大きな荷物を持った二人が登場し、荷物を解いて、櫓を組む所からショーが始まります。 オレンジのつなぎの作業着を来た2人が、ひょこひょことのんびり三本足の櫓を組んでいくのですが、その様子もユーモラス。 櫓を立てて綱を下したところで、作業服を脱ぐと、下にはちゃんとした衣装。 荷物の中にあった accordéon をまずは Velentin が取って、Gus が綱を登ろうとするのですが、当然ながら登れません。

ということで、役割を入れ替えて、Gus の歌と accordéon 伴奏で、Valentin による綱のエアリアル・ショーが始まります。 伴奏とはゆったり folk に。それに合わせて Valentin も綱の上を散策するかのようにゆっくりとした動きで技を見せていきました。 男性のエアリアルというと、力強くダイナミックでスリリングなものになりがちですが、それとは対極的な雰囲気がとても面白く感じられました。

Delrevés: Repite Conmigo
11/01 12:45〜 @ 札の辻 (静岡呉服町ビル)
11/01 15:15〜 @ 札の辻 (静岡呉服町ビル)

スペイン・カタルーニャ州バルセロナのカンパニー Delrevés による、ビルの壁面を使った vertical dance。 ワイヤーで宙づりになった状態で、エアリアルのテクニックなどを駆使して、壁面などの垂直面を水平面 (地面) に見立てて踊るというものです。 “vertical dance company” ということで5〜6名程度の編成かと思っていたのですが、 Saioa Fernández の Eduardo Torres の2人による男女デュオでした。 (服装が同じで、遠くからは見分け難いですが。)

vertical dance ならではの浮遊するような動きは十分に楽しめましたが、 大道芸フェスティバルの雰囲気の中では、演出が若干地味に感じられてしまいました。

移動中に15:15〜の回を偶然に目撃することができたので、その際の別アングルからの写真も。

vertical dance といえば、2006年にフランスの Compagnie Les Passagers による、live painting を交えたダイナミックなショー [写真] を観たことがあります。 そんなこともあって、スペシャルプログラムということだし、この規模のものが来るのかと勘違いしてしまったという。 日本では vertical dance/theater はなかなか観る機会がないので、是非もっと呼んで欲しいものです。

Aurélie Dauphin
11/01 14:00〜 @ 富士見広場2

フランスの女性エアリアリスト Aurélie Dauphin による、シンプルなシルク・エアリアル。 青いシルクに、波のような模様の衣装ということで、ダイビング (潜水) しているよう。

今回の静岡のパフォーマンスは、舞台での作品である “I Opened My Eyes And I Saw” [YouTube] に基づくものではないかと思われます。 同時に投影されている映像からして、イルカやクジラ、魚たちの動きに着想した作品のようです。

うつしおみ
11/01 14:30〜 @ 富士見広場2

カンパニー ながめくらしつ を主宰するジャグラー 目黒 陽介 と、 エアリアリスト 長谷川 愛実 のデュオ。 まずは、リング・エアリアルとディアボロ。 それぞれの動きをしているようでありながら、緩く同期しつつ、あえて逆側に位置取ったりする所が、 空間が広く感じられて良かったです。

続いて、目黒の滑らかな小さなトスとコンタクトのジャグリングに、長谷川が踊るように絡むという展開。 流れるような展開に、写真を撮るタイミングを捉えるのも難しく感じました。

最後は長谷川の青のシルクのエアリアル。

デュオの大道芸としては初めて観ましたが、 ながめくらしつ [関連レビュー] の良い所をダイジェストしたという感もありました。 フランスのエアリアリストに挟まれてどうなることかと思っていましたが、作品として見劣りしませんでした。 むしろ、エアリアルのソロではなくジャグリングと組み合わせていることもあるかと思いますが、比べても構成の面白さが感じられました。

Charlotte de la Bretéque
11/01 15:00〜 @ 富士見広場2

フランスの女性エアリアリスト Charlotte de la Bretéque による、 1, 2本のロープでもシルクでもなく、細かいロープを並べた物 (multicordes) を使ったエアリアル。 ショーの構成は普通でしたが、multicordes は初めて観たので興味深く、 音楽に合わせて観客から手拍子が出るほどなポップなノリも楽しめました。

11/01 16:30〜 @ ミライエ・リアン

ドイツ出身の Karla Kracht と スペイン出身の Andrés Beladiez という ベルリンを拠点に活動する2人による “live-cinema-performance”。 バンドデシネというか風刺コミック風に描かれた模型をハンドカメラでライブに撮影しつつ、 それを投影しての映像ショーでした。 効果音はありますが、セリフ無しで、風刺がかったディストピアの物語を描き出していました。

11/01 17:00〜 @ メイン広場2

今年も出ていました、SPAC (静岡芸術劇場)。 まずは、SPAC Enfants によるワーク・イン・プログレスで制作中のダンス Merlin Nyakam (振付・演出) 『ANGELS』のダイジェスト。

静岡芸術劇場で上演中の 大岡 淳 (脚本・演出) 『王国、空を飛ぶ!~アリストパネスの『鳥』~』 を題材とした寸劇も。

2012年に観たときと同じく [写真]、 オリジナルの作品ではなく、公演中の作品の紹介、PRをメインとした内容なのは残念なところですが、 仕方ないでしょうか。

11/01 17:30〜 @ メイン広場1

フランスのカンパニー Cie RasOTerrA の 男性1人女性2人によるアクロバットと自転車軽乗によるショー。 タイトルの La baleine volante は「飛ぶクジラ」の意。 服の下に詰物入れて不器用そうなぶっちょ体型になりながら身軽に演じたりするところも、コミカルなショーでした。

11/01 18:00〜 @ 富士見芝生広場

ベルギー・アントウェルペンのカンパニー Theater Tol による 大規模な野外ショー。 はっきりとしたストーリーらしきものはなく、もちろんセリフもなく、大空に舞い上がるイメージを中心に組み立てたパフォーマンスでした。

まずは、足漕ぎで移動する台車に乗った女性たち (おそらく天使相当) が登場。 2人の女性歌手の歌に合わせて踊りながら、少しずつ移動します。 空を見上げると、自転車に乗った二人乗りのカップルが空を舞っています (クレーンで釣られているのですが)。 最後は Bizet: Carmen の Habanera で盛り上げて、花火。

天使たちが乗った台車をそのまま円形スクリーンの下にぶら下げて、 円形スクリーンごと空中高くクレーンで釣り上げます。 女性たちは、風船を放ったり、紙吹雪を舞いたりしつつ、台車の上で踊ったり、下にぶらさがってエアリアルしたり。 この時の音楽は、確か、ジプシー音楽風。 円形のスクリーンには、地元静岡の風景を写していました。

一旦下に降りて、赤い大きなスカート様の舞台に女性歌手を乗せて中央に吊るして、 Franz Schubert: Ave Maria を歌いながら、空高く再浮上。 スカートの中から女性が登場し、エアリアルをしながら紙吹雪を撒いたり。 台車上の女性たちも体をうねらすように、途中で傘を広げて踊ります。

円形スクリーンのフレームから花火を吹き出して、フィナーレ。

巨大な円形スクリーンを宙高く釣り上げて、そこでパフォーマンスを繰り広げ、 花火や紙吹雪も駆使した、圧巻なパフォーマンスでした。 派手に盛り上げるといっても、レーザー光やビートのある大音響の音楽を使ったりはせず、 クラシカルな歌曲を多用し、ライティングも比較的抑えた色合いで、 落ち着いた雰囲気で見せる所はヨーロッパのカンパニーらしくも感じました。

クラシカルな曲を使いつつも、ちょっとキッチュな所はオペラというよりオペレッタ的なセンスでしょうか。 2012年に六本木ヒルズで観た Compagnie Off: Les Girafes: Opérette Animalière [レビュー] に近いものを感じました。

11/01 19:00〜 @ 富士見芝生広場1

母がモロッコ人というアメリカ出身の Paul Morocco によるショー。 Olé! を1993年に始め、 2005年に Olé! をベースをとした 2番目のショー Lost Locos! を始めたとのこと。

静岡では Lost Locos! Olé! でエントリしており、 2つのネタを取り混ぜてやっているのかもしれません。 ウェブサイトを見ると Ole! がフラメンコ、Lost Locos! はテックスメックスあたりを意識し、 ジャグリング等も交えたショーをやっているようですが、 自分が観た回はジャグリング等の技を交えることなくフラメンコ色濃いもの。 フラメンコギター漫談のようでした。

Sons Company
11/01 19:30〜 @ 富士見芝生広場1

スウェーデンの Sons Company (Anton Graaf & Elnar Kling Odencrants) によるシーソー・アクロバットのデュオ。 シーソー・アクロバットの技を見せるだけで、ショーらしい演出は無し。 シーソーの技だけでショーにするのは厳しいのでしょうか。

11/01 20:00〜 @ 富士見芝生広場1

ワールドカップ部門最年少、まだ十代だというアメリカの女性コントーショニスト Jordan McKnight によるコントーション。

いわゆる軟体芸とも言われるパフォーマンスですが、 小道具を使わなかったこともあるのか、見世物っぽさは薄め。 むしろ体操・新体操のようでもあり、可愛らしく踊るようなコントーションのショーでした。