1911年フランス生まれで1930年代にニューヨークへ移住、1940年代から2000年代まで現代美術の文脈で活動した Louise Bourgeois の回顧展です。
それなりに観る機会のある作家ですが、美術館規模の回顧展で観るのは
Homesickness (横浜美術館, 1997) [鑑賞メモ] 以来の四半世紀ぶり。
Annette Messager [鑑賞メモ] などども共通する、
後のフェミニズム・アートへの影響も大きい、部屋のようなインスタレーションなどを改めて体感しつつ、
1940年代から作品を制作していたものの、1970年代からフェミニズム・アート的なインスタレーションを手がけるようになり、70歳代となる1980年代に注目されるようになった、という時代性を、改めて認識し直しました。
しかし、Bourgeois の作品そのものよりも、展示室に Bourgeois の言葉を投影する Jenny Holzer の
Bourgeois × Holzer Projections (2024) のシャープさが強く印象に残りました。
「おぞましきもの」を示す作風という点で Bourgeois と共通するところもある Cindy Sharman がむしろ社会の中での女性のイメージを扱うのに対し、Bourgeois が扱うのは自身の親との関係性などグッと私的。
こういうところが後の世代の作家 [関連する鑑賞メモ] との違いだと思いつつも、
Holzer のプロジェクションによって「私的なことは政治的なこと」と言われたような気分になりました。